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患者さんからブラジャーのホックを外してくださいとお誘いがあった話


Q:医者として病院で働いているときに、患者さんからの誘いはあったりするの?


今回はこのテーマについて・・・

先にアンサーから! ボクのアンサーは Yes.

実際にボクは患者さんからお誘いを受けたことがある。



女性の患者さんから ブラジャーのホックを外してくださいと言われたことがあるのだ。

どう言った経緯でそうなったかが知りたい方は、読み進めてほしい。


研修医中の救急科 


研修医であったボクは、当時、ER、救急科をローテートしていた。

今となっては眼科医であるボクも、昔は救急の現場で、初期研修医としての研鑽をしっかりと積んでいた。

救急科のローテートも2ヶ月目に突入! 


☎️トゥルルルルル・・・


ER室に救急要請の電話の音が鳴り響き、現場は緊張に包まれる。

◯◯救急隊からの救急要請です。


主訴:胸痛


70代の女性。
主訴は胸痛。 

バイタルはコレコレで安定しています。

受け入れ可能でしょうか。

👨‍⚕️「お願いします


胸痛の患者さんが来院した。 

救急の現場で「胸痛」と聞くと、アドレナリンが出てくる。


狭心症、心筋梗塞、肺血栓塞栓、大動脈解離・・・


研修医の時にお世話になった本にも色々書いてある。

ER(救命救急室)のNs(看護師)さんたちも、心筋梗塞や狭心症を念頭に置いた、検査の準備を始めだす。


心電図、心エコー、トロポニンT、BNP、D-dimer、レントゲン、CTまでいくか・・・ 


救急車が到着


ピーポーピーポー🚑


救急車にのって患者さんが到着。 


研修医のボクは、手袋を両手にピチッとはめ、ER(救命救急室)の扉を開け、

誰よりも早く一番にストレッチャー(担架)に乗せられた患者さんに近寄っていき、救急隊から状況を聞いていく。


ファーストインプレッション:obisity(オべシティ:肥満)傾向あり



これは狭心症心筋梗塞か!?



救急隊:「胸が締め付けられるような痛み」があるということで救急要請です。


ストレッチャーをER🏥のベッドに移すまでの間に、大体の問診を聴き終える。


看護師さんの手際よいアシスト


看護師さんたちが 手際よく 、心電図やサチュレーション(酸素飽和度)モニターを装着していく。


明らかな ST上昇なし。 
(👨‍⚕️モニター心電図で大雑把に、明らかな心筋梗塞や不整脈があるかを確認)


サチュレーションも問題ない。

その間に、準備してあったルートをキープし、採血を行う。

今回は、血まみれにならなくてよかった。




そして看護師さんたちが、準備していた胸部12誘導の心電図を 手際よく 装着していく。 

ここでも、特に手際よくということを強調させていただきたい

日々の診療は、全ては看護師さんの素晴らしい介助のおかげで成り立っている←
医者は医療の現場ではいいとこどりとしているだけなのだ 

心電図は問題なさそう。
心電図にST上昇がなかったとしても、NSTEMI (ノンステミ)なんて言ったりする。 


心電図の異常が出ない心筋梗塞も存在したりするので、安心はできない。


心エコーで確認


ここで心エコーを行う。
アシナジー(異常収縮)なし
肉眼的EF(駆出率)十分で問題なし

僕は心エコーが出来る眼科医なのだ。 


正直この技能は、全く役に立っていない。

研修医スタートの時、「眼科医にオレはなる!」とワンピースっぽく決めていたわけではなかったので、とりあえずローテートする科では研修医として、体が常に前のめりになるくらいに、ひたすら全力で向き合っていた。

ん〜 大丈夫そうだな。

とりあえず、採血の緊急検査でオーダーした時の、トロポニンTBNPの結果を待ちますか。


そして問診を詳しく進めていくことにした。


👨‍⚕️今も胸が痛いですか?

患者さん:痛いです。 締め付けられるような痛みがします


👨‍⚕️こう言ったことは初めてですか?

患者さん:いえ、毎回ブラジャーをつけると締め付けられるような痛みがするんです。 


👨‍⚕️・・・ん?


👨‍⚕️:ブラジャーを外しているときは?

患者さん:大丈夫です。 ブラジャーを外してもらってもいいですか?


ブラジャーのホックを優しく外してあげると、胸痛は改善した。

認知症の疑いがあると考え、翌日一般外来の受診をすすめた。

おしまい


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