LASIKと角膜クロスリンキングの組み合わせ【眼科専門医が解説】

こんにちは。眼科専門医のDR.LIGHTです。
LASIKやICLを比較検討するうえで、皆さまの中には「LASIKの近視もどり」を耳にしたことがあり、LASIKの安全性について不安を感じている方もいらっしゃるかと思います。
今回はその近年注目されている,LASIKと角膜クロスリンキングを組み合わせた新しい治療法について詳しくお話しします



近視、遠視、乱視の治療において高い成功率を誇るLASIK(Laser-Assisted in Situ Keratomileusis)は、視力矯正の分野で広く利用されています。
しかし、LASIK単独では術後に角膜が薄くなるため、稀に「術後角膜拡張症(Post-LASIK Ectasia)」というリスクが伴います。

一方で、角膜クロスリンキング(Corneal Cross-Linking, CXL)は、角膜の構造を強化し、進行性角膜疾患(例:円錐角膜)の治療に用いられている技術です。
近年、この二つの治療法を組み合わせることで、より高い安全性と持続的な視力矯正効果が得られることが報告されています。

本稿では、LASIKとCXLの組み合わせ治療の有効性、詳細な手順、適応基準を詳しく解説します。




LASIKとCXLの組み合わせの有効性

1. 術後角膜拡張症のリスク低減

LASIK後に稀に発生する術後角膜拡張症は、角膜が薄くなり変形する合併症です。LASIK単独では発生率が0.04%~0.6%とされていますが、CXLを併用することでこのリスクはほぼゼロに近づくとされています。CXLによるコラーゲン繊維の架橋形成は、角膜の強度を平均329%向上させ、角膜の構造を安定化させる効果があります。

ここから先は

2,231字

¥ 300

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?