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【実録!ロマンス詐欺】Day10(1): 仮想通貨ネタもムーディー勝山してしまう


このnoteでは、ロマンス詐欺により3ヶ月で3500万円をむしりとられたアラフォー女子が、この先同じ思いをする人が一人でも少なくなるよう、自身の体験を当時の心情とともに包み隠さず公開します。


最近は今現在の心情についての投稿が続いていたが、本論に戻って、ロマンス詐欺師CarlとLinkedInで知り合ってから10日目の記録。

この前日、Day9において、早くも「君は今、何か金融商品に投資しているの?」というバリバリのフラグが立ったものの、当時の私はそれについて何も感じていなかった。
そんな中でのDay10。

日本語訳すると・・


Carl: 「やあ、まさこ 😊
今日は僕たち、似たようなスケジュールで働いているみたいだね 🤣
僕は今日5つの会議をこなしたんだけど、長時間のセッションで疲れちゃったから、仕事の後にマッサージを体験してきたよ、あはは。

僕はシンガポールで一人暮らしをしているから、仕事の後は趣味に時間を使う余裕があるんだ。それで早寝の習慣が身について、なかなか変えられなくなっちゃった。遅くまで起きているのは女性の肌にはよくないから、君も少しずつ睡眠のリズムを整えていけるといいね 😊

もしまさこが投資を学びたいなら、僕が君の金融の先生になって、アドバイスやサポートをするよ。そうすれば、もっと早く学べるようになると思う 😁
今、伝統的な金融商品はほとんど飽和状態で、新しい市場の成長余地が少ないよね。だから、まずは仮想通貨について学ぶことをお勧めするよ。仮想通貨は今もっとも主流で、将来の成長可能性が一番高い金融商品だからね。君は仮想通貨について知っている?

アイスランドは火山、氷河、溶岩、渓谷、滝が混ざり合った国で、一番有名なブルーアイスケーブがあって、本当に探検する価値がある場所なんだ。僕が訪れた国の中で一番好きなのはフィンランドとスイスかな。君はこれまでどの国を旅したことがある? 🤔

ああ、君がいろいろ教えてくれたおかげで、僕の休暇の予定が決まったよ。本当は沖縄でダイビングと海を楽しみたいけど、この気温だと難しいかもしれないね 🤣 でも、来年の夏を待てばいいさ。日本のビーチ沿いを夕方のサンセットドライブするのって素敵だよね。自由を感じられるし、あはは。

それから、大阪も日本旅行では必見の街の一つって聞いたんだけど、そうだよね?インターネットで見たんだけど、熊本城が一度破壊されて、日本政府が多額の費用をかけてゆっくり修復しているんだって。日本の伝統文化は本当に面白いよ。シンガポールの国立博物館で鎧を見たことがあるけど、すごくかっこよかったし、相撲の試合も見たことがあるよ、笑 😄」


今こうやって振り返ってみると、前日の君は今、何か金融商品に投資しているの?」からの「君は仮想通貨について知っている?」という、投資詐欺のお手本のような流れである。

しかしながら、繰り返しであるが、当時の私はこのことについて何も思うところはなかった。
一番の理由は、Day10ともなると、Carlなる人物とメッセージのやりとりをすることが日課になりつつはあったものの、当時私の脳内は11歳年下の王子様のようなビジュアルのフランス人で99%が占められていたことによる。
特段の関心を持っていない男が何のトピックを出そうが、それについて深く考えることはなかったのだ。

ただ、この頃からはCarlに対して、ある種の下心は芽生えていたように思う。下心というのは、「あわよくばフランス人からこちらのシンガポール人にソフトランディングできまいか」というものである。

私の恋愛の終わり方はいつも同じだ。相手が冷たくなり、こちらがすがってすがって、それでも結局だめで、心身ともに廃人のようになる。
そして、そこからの復活の仕方もいつも同じだ。
次を見つけた途端に、前の相手のことなどすっかり忘れて生き返るのだ。

そのため、私にとって、恋愛がうまくいかないタイミングに差し掛かると、いかに早く次を見つけられるかが、ダイレクトに自身の廃人期間を左右することになる。
当時の私はフランス人のことで廃人一歩手前、それでも十分きついやーつ、の状態となっており、喉から手が出るほど「次」が欲しかった。

そうした中で、私の苦手な意識高い系でありプロフィール写真も到底信用できないながらも、私にとって物珍しい国であるシンガポールに住んでおり、こちらの話に関心を持って長文のメッセージを送ってくれるCarlに対しては、「次と言わずともつなぎくらいにはなるのでは?」という淡い期待をこの頃から持ち始めていたように思う。

また、私が仮想通貨についての話題を出されたタイミングで何も感じなかったその他の理由は、シンプルに、「投資詐欺、ロマンス詐欺なるものが我が身に降りかかってくるなどついぞ予期していなかった」ということに尽きる。
そんなものは新聞やネットニュースで見聞きするだけの、自分とは完全に無縁のことだと思っていた。

自分が投資詐欺、ロマンス詐欺と無縁だと思っていた理由をさらに分解すると、おそらく以下の3点である。

  • 金銭欲がそれほど強くないから

  • 英語が得意だから

  • 恋愛偏差値が高いから

1点目については、確かに私は友人から常々「人間の三大欲求の権化」、すなわち、食欲・性欲・睡眠欲のモンスターとして認知されており、その自覚もあったものの、「お金大好き」なタイプでは全くなかった。
そうした中で、投資詐欺に引っかかるのはお金への欲求が強い人だという先入観があり、自分はそれには当てはまらないので、ニュースを見ても対岸の火事の感覚があったように思う。

2点目については、今落ち着いて考えれば論理性が全くないのだが、当時の私は、「日本人が引っかかる投資詐欺=謎のカタコト日本語でメッセージが来る」というイメージが強く、「私なら直接英語でやりとりができるからそんなことにはならない」という、論理の飛躍も甚だしい考えをしていた。
世界的に見れば投資詐欺の被害者の中には当然英語ネイティブもいるわけで、なぜ当時の私が「英語ができる日本人である私は大丈夫」と思っていたのか謎である。

3点目、これが間違いなく、一番大きな理由である。
以前も述べた通り、私は人生このかた、「趣味/特技:恋愛」で生きてきた。恋愛経験が多いか少ないかで言えば当然多く、見た目は全く美しくないものの、正直、恋愛に関する自己認識は「剛の者」であった。
そんな剛の者である私がロマンス詐欺などというものに引っかかるわけがない、ロマンス詐欺に遭うのは恋愛弱者のみである、とたかを括っていたのだ。

以上のことから、当時の私はCarlから「仮想通貨」のワードを出されても、その他の意識高い系トピックのうちの一つとしか捉えておらず、右から左へ受け流していたのだ。

それにしても、こうやって改めて翻訳文の形でCarlからのメッセージを見てみると、「アイスランドは火山、氷河、溶岩、渓谷、滝が混ざり合った国で、一番有名なブルーアイスケーブがあって、本当に探検する価値がある場所なんだ」など、本当に気のある女に送る文章ではないだろう。
「熊本城が一度破壊されて、日本政府が多額の費用をかけてゆっくり修復しているんだって」に至っては、日本人である私がむしろ3へえくらいである。

この絶妙なChatGPT感と意識高い系が混じったロマンス詐欺師のメッセージのことは、「ロマンス詐欺師構文」と名付けたい。


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