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【打倒!ロマンス詐欺】脱洗脳・1ヶ月記念日


このnoteでは、ロマンス詐欺により3ヶ月で3500万円をむしりとられたアラフォー女子が、この先同じ思いをする人が一人でも少なくなるよう、自身の体験を当時の心情とともに包み隠さず公開します。


2日遅れになってしまったが、先日1月17日は、私がロマンス詐欺師Carlの洗脳から脱して1ヶ月の記念日であった。

ご本人、あるいは親しい人がロマンス詐欺に遭ってしまった、という方にとって、「ロマンス詐欺被害に遭った・その後」はどのような心理状態になるのかご関心を持たれるポイントかもしれないため、今現在の私のもろもろの状態について記しておきたいと思う。

そもそも、何をもって「脱洗脳」と言っているかであるが、私の場合は「相手が詐欺師であったと100%認める」と定義している。
私は約3ヶ月にわたってロマンス詐欺師とメッセージでのやり取りをしてきたが、「あれ、おかしいかも?もしかして詐欺?」と思い始めたのは最後の1ヶ月ほど、そして、その後すぐに周囲に相談してからは、私以外の全員が「詐欺だと思うよ」とアドバイスしてくれているという状況だった。

しかしながら私は最後まで、相手のことを信じる気持ちを消せずにいた。
そんな私が「あ、これ詐欺だったんだ」とようやく確信することができたのは、当時日本に旅行で滞在していたはずのCarlと「12月17日の正午に会う」という約束が守られなかった、具体的には、12月17日の正午になっても彼からのメッセージがなかったことによる。

当時の私は、限度額まで借金し、家中のブランド品を売り払い、もうあと1万円も出せないところまで経済的に搾り取られた状態ながらも、「12月17日の正午になればCarlに会える」ということだけを心の拠りどころにしていた。

だが、現実は、前日に私から「明日はどこで会う?」というメッセージを送ったのを最後に、彼からの返信はないまま12月17日の正午を迎えた。

この正午を迎えた瞬間の私の率直な感想は、「これでやっと解放された」だったのをはっきりと覚えている。

それまで、本当につらかった。特に最後の2週間ほどは、睡眠薬を最大量まで飲まなければ眠れず、食欲も一切なく、会う人会う人に「なんか痩せた?」と聞かれる状態だった。

私が信頼している、しかも頭の良い友人たちが全員口を揃えて「詐欺だよ」と言っている、それはつまり、そちらが真実なのだろうが、どうしてもそれを信じきれない、そのことはすなわち、大事な友達の親身のアドバイスを無視した状態である、というのが、私はとても苦しかったし、シンプルに、悩みすぎて身体も限界でしんどかったというのもある。

そういった中で、約束の時間になっても彼と会えなかったことは、それまでさんざん詐欺の客観的な証拠を掴みながらも、「彼には何か事情があるんだ」と自分に都合の良い解釈をして見ないふりをしてきた私にとって、他のどんな証拠よりもパワーがあった。
それはシンプルに、それだけ彼が好きで、彼に会いたかったからだ。
もちろん、だからこそ全財産+借金までして身ぐるみ剥がされたわけだが、私にとって「好き=会いたい」であって、それが叶わないことがはっきりした時点でようやく洗脳スイッチが切れたことは、ある種不幸中の幸いだったようにも思う。

そこからの心と身体の状態は、自分でも驚くほどにすぐに良くなった。
以下、いくつかの観点からまとめてみたい。


食欲

私はもともと一般男性以上に食べる大食いだが、すぐにその状態に戻り、毎日もりもり食べている。
12月17日までの最後の2週間ほどは、心配した友人が一緒に食事を摂ってくれる時以外はほぼ何も食べていなかったが、洗脳が解けてからはすぐに食欲を取り戻した。

見た目

すぐに戻った。もう誰からも「なんか痩せた?」とは言われない。
一時期ストレス由来で増えた白髪と脱毛も、特にここ数日落ち着いた気がする。これはかなり嬉しい。

睡眠

これまたすぐに戻った。
毎日グースカとはいかないが、それはロマンス詐欺うんぬん関係なく、私は悩み事があると寝付けないタイプで、普通に生きている限りで普通に遭遇する悩み事の範囲で今も睡眠薬を使うことはあるが、総じて以前と同じ状態に戻っている。

性欲

これを「性欲」と表現するかは迷ったが、より正確には「特定の、私が魅力を感じる男性とセックスしたい気持ち」のことである。
こちらは、今はほぼない。
そして、ないことを喜ばしいと感じている。もしあるならば、それはすぐに解消されるものではない以上、もやもやするはずだからだ。
「ほぼ」と書いたのは、セックスしたいとまでは思わないが、「今日もよく頑張ったね、と言って抱きしめられたい」気持ちはあり、それが満たされないことに寂しさは感じている。
とはいえ、他のことで気を紛らわすことで対処できるレベルであり、問題はない。

やる気

ふわっとした表現だが、「前向きな気持ち、ポジティブなものの考え方」という意味で使っている。
これが自分でも一番驚いている点だが、私は洗脳が解けてすぐから、「よっしゃ、働くぞ!転んでもただでは起きねえ」という気持ちになっている。
当初、これはある種の自己防衛反応のようなもので、から元気ではないかと疑っていたが、少なくとも1ヶ月経った現時点でこの気持ちは変わっていないし、反動で鬱のような状態にもなっていない。
むしろ、とにかく借金をさっさと返し、元のように自由に好きなことをする生活に戻るためには兎にも角にもお金が必要であり、「稼がねば!」というマインドになっている。



以上が今の私の心身の状態だが、正直なところ、私はもしかすると、詐欺被害のスケール(より重要なのは、絶対額ではなく、当人の元の経済状態と比較した時の相対的なインパクトだと思う)を考慮した上でも、「ロマンス詐欺に遭ったのに日本一元気なやつ」かもしれないと感じている。

念のためだが、3500万円という額は、私にとって全くはした金などではない。というか、全財産+消費者金融での借金Max+持ち物売り払いMax、である。
友人の中には「これは首をくくることが頭をよぎる額」と言う人もいたし、実際その通りだと思う。

それでも今の私が心身ともに元気でいられるのは、以下の2つの理由によるところが大きいと考えている。

  • 恋愛至上主義だから

  • 「大したことないよ」と言ってくれる友人とのみ話をしているから

1点目について。
私はとにかく、昔から「趣味/特技:恋愛」である。恋愛ほど楽しいことなんて世の中に何一つないと思っている。
特定の男を好きでいること、それが全てのパワーの源であり、彼に会える日が決まれば、そこからはどんな仕事も頑張れるし、世界が輝いて見える。逆に彼とうまくいっていない、冷たくされていると感じたら、食事も喉を通らず、眠れず、何をしても楽しくない。

だからこそ、最初はあんなに優しくて私に甘い言葉をかけてくれたCarlが、もう私から金を搾り取れないとなってからじわじわと冷たくなり、どんなに頼んでも会う約束を取り付けてくれず、私に対する関心を失っているのが手に取るようにわかった毎日が辛くて辛くてたまらなかった。

ただ、そのことは裏を返せば、「私が好きになったCarlという人間、私が思っている顔とものの考え方をした人間、はこの世に存在しない」ということが確信できた瞬間から、「彼」は存在しない以上、好きでいても仕方がないわけで、すっきりと洗脳が解けた、ということにつながったのである。

私はこれまでの人生、恋愛がうまくいかない場面に差し掛かるたびに、「あー、彼が死んでくれたらいいのに。死んでくれたら、さすがの私もあきらめられるから」と考えていた。
これは、いわゆる「ムカつくから死ね」という感情的なものではなく、私の好きで好きでどうしようもない動物的で暴力的な気持ちも、さすがに相手が死んだとなれば落ち着かざるを得ないわけで、自分の心の平穏のために相手の死を願う、という一応論理的な(?)考えによるものである。

今回は、相手はこの世に存在しないということがわかり、それは死んでいるのと同義であって、そこでスパッと狂おしい気持ちを消すことができた。

私は自分が恋愛至上主義であることをずっと残念に思ってきたし、そうではない人たちのことを心底羨ましいと感じている。
ただ、これはどうやら変えたくても変えられないものなのだと諦めがついている今は、むしろ「恋愛至上主義なのは仕方がないとして、その上で、また今回のような場面に出くわした時に財産身ぐるみ剥がされないようにするにはどうすれば良いか」と考える方向にシフトしている。

2点目について。
これは、周囲の大切な人がロマンス詐欺に遭った、という方にぜひお伝えしたいのだが、落ち込んでいる本人に対して「大したことないよ」というメッセージを、言葉で、態度で、全力で送ってあげることは本当に力になる
仮に心の中では、「これはやばい、もう立ち直ることは難しいかも」と思ったとしても、である。

私は今回自分がロマンス詐欺に遭ったことを、何人かの友人に伝えた。
この時の彼らの反応についてはまた別の機会にまとめたいと思うが、何より私を元気づけてくれたのは、「めっちゃ草www でもまあ大したことないじゃん、大丈夫だよ」という返しだった。

「めっちゃ草www」というのは大袈裟ではなく、「草」という表現は使わないまでも、「前から面白い奴だと思っていたが、今回も期待を超えてきている」という趣旨の反応だった。
なんなら「お前さすがだよ」「すごいよ(嫌味ではなく)」くらいに褒められすらした。

今の私は人生で最もDIOに近づいているという確かな手応えがある。

そして、ここが大切なポイントだが、彼らは必ずその後に、「まあもちろん小さい額ではないけど、大丈夫だよ」という言葉を続けてくれた。

信頼できる友人が「大丈夫だ」と言うのであれば、それは私にとって本当に大丈夫なのである。

もちろん、複数人に話をした中には、深刻そうなリアクションをする人もいた。当然、その深刻そうなリアクションは、私のことを親身になって心配してくれているがゆえのものである。
それでもやはり、私はそれがいやだったし、何よりこわかった

だから、私はその後今に至るまで、深刻そうなリアクションだった友人とはあまり話をしていない。向こうは心配して連絡をくれるが、「大丈夫だよ、ありがとう」という程度の返しでお茶を濁している。

確かに今の私は心身ともに元気ではあるが、やはりそれは薄氷の上のものかもしれない、という不安は常にあり、心が不安になる要素は極力避けたい、という無意識的な防御反応が働いているのだと思う。

このことについて、特に昨晩は、「今の自分は耳障りの良いことを言ってくれる人の言葉にだけ耳を傾けている、これは良くないことではないか。今の事態が深刻であると言う人とも話をしないといけないのではないか」と思い悩んだが、今の結論としては、「とにかく元気でいることが大切。特にいろいろと立て直すまでは落ち込んでなんていられない。そのためには、あえてしんどくなる話を聞きに行く必要はない」と考えるに至っている。

このあたりは、今後の時間の経過とともに自分の気持ちはどのように変わっていくのかも踏まえて、「ロマンス詐欺に遭った人に対する適切な態度の取り方」は何かを特定するのにつなげていきたい。

以上、長くなったが、これが「ロマンス詐欺・脱洗脳1ヶ月後のリアル」である。
まずは、脱洗脳おめでとう、自分。1万円単位でお金のやりくりをするのは楽しくないけど、毎日ごはんがもりもり食べられる心の状態でいられるのは本当に何より!


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