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幼馴染はキュートな吸血鬼 102話 ジーナの涙

それから交代で旭の様子を見た。

旭はもう5日もうなされている。

父さんは旭の色んなデータを取った。少し取った血を調べて驚く。

「彼の血はまるでオセロのように変わっていく、普通の血ではなくてヴァンパイアの血へ急激に変わっている」

「旭はどうなるの?ヴァンパイアになるの?」私は不安になった。

「分からない……………」父さんはただ項垂れる。

「パパ、もうすぐヴェロウス卿が来るの?」ジーナは不安そうに聞いた。

「俺がいる事が分かると来るかも知れないな」アレクセイさんは俯く。

「パパも一緒に戦ってくれるんでしょう?」

「それが………できないんだ…………」

「どうして?」

「俺はヴェロウス卿に弱点を知られている、だから俺がいると皆んなに迷惑がかかる」眉を寄せた。

「パパ、一緒に戦って、そしてヴェロウス卿をやっつけようよ」ジーナは見つめた。

「すまない……………パパには無理なんだ……」

「ジーナちゃん、パパの事を分かってあげて」ルナさんがジーナの頭を撫でている。

「パパ……………………」ジーナは寂しそうな顔をして外へ出ていった。

「ルナさん、あなたはジーナの母親の事を知ってるんですね?」

「アレクセイさん、私はティナさんの事を知っています、だから私に任せてください」

「あなたに未来が少しでも見えてるなら、ジーナを託します」深く頭を下げる。

私は二人の話はよく理解できなかったが、二人はジーナの母親の事を知っているらしい。

私は旭の事で頭が一杯になっている。不安でそれ以外の事が考えられなくなっている。

自分の不甲斐なさに苛立ちと怒りを覚えた。

しかしヴェロウス卿との戦いが迫っている事は間違いない。

「旭、早く目を覚まして、お願い」私は旭の手を握りしめた。

「熱い……………」旭の手はびっくりするくらい熱かった。

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