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コンテンツ検索方法の進化

デジタル時代において、多種多様な情報を効率的に管理するための「第二の脳」の重要性が高まっている。10年ほど前はEvernoteが主流だったが、最近ではNotionやObsidianなどの新しいツールが注目を集めている。私自身も「第二の脳」と呼べるコンテンツ管理方法を実践しており、ここで自分用の備忘録も兼ねてその方法と今後の展望について記しておく。

まず前提として、自分の場合、オンラインに置くのに相応しくないコンテンツも多数あるため、規約違反や情報漏洩のリスクを考慮し、オンラインストレージに全てを委ねることはせず、ローカルで管理している。ただし、モバイル端末からのアクセス性を確保するため、QNAPのNASを活用している。さらに、コンテンツの一部についてはDropboxやEvernoteなどのオンラインツールも併用している。

ローカルで膨大なファイルを管理する際の課題は、必要な情報をいかに効率的に探し出すかということだ。例えば、20年前のメールの内容をおぼろげに覚えていても、それをサルベージできるだろうか。または、昔読んだ本のどこかで見たエピソードから、どの本のどこに記載されていたか特定できるだろうか。このように、記憶だけからでは探し出すのは非常に困難である。
そこで、自分の触れた情報を電子化し、適切なフォルダ構造に分類したり、ファイル名を工夫するなどの整理が不可欠となる。ただし、長年の運用の中でファイルやフォルダの整理方法は変化するものであり、整理自体が目的化してはならない。

無秩序な情報の山から必要なデータを見つけ出すには、全文検索ツールが必須である。かつてはGoogleデスクトップが優れた選択肢だったが、現在は利用できない。試行錯誤の末、現在は高速ファイル検索のEverythingと、全文検索にはSearch++(全文検索くん)を使用している。全文検索では、あらかじめファイル内のテキストをインデックス化するが、大容量ファイルの場合インデックス化が不完全なツールが多い。Search++はたとえ1GBのテキストでも全てインデックス可能で、さらに対応拡張子が多く、IFilterで様々なファイル形式に拡張できるメリットがある。

オンラインストレージの場合、デフォルトで全文検索に対応していることが多い。さらに、最新の一部のサービスでは、OCRで画像内のテキストを抽出したり、手動ではあるが音声ファイルから文字起こしを行い、それらも検索対象に含めるなどの高度な機能を備えている。

これらの機能拡張をローカルでも行えると便利だ。QNAPのNASで利用できる全文検索アプリのQsirchは画像内OCRに対応している他、AIによる被写体の認識やセマンティック検索も可能で、単体のWindows版も提供されている。また、オープンソースの全文検索エンジンFessではOCR機能を追加することができる。ただし、これらのサービスは大容量ファイルのインデックスが不完全だったり、対応している拡張子が不十分で、メインでは使用していない。音声については、今のところ既存の大量の音声ファイルを自動で文字起こしできるツールは見当たらない。自動化のスクリプトを自作するスキルがあれば開発したい。

一方で、少し変わり種になるが、Rewind.aiというサービスは、PC操作の全てを記録するコンセプトで、稼働中の画面を2秒ごとにキャプチャしOCR処理を行う。またマイクやスピーカーの音声もすべて文字起こしして検索することができる。検索データはChatGPTと連携し、アシスタントとして使うことも可能だ。現在はMacのみ対応で、試用したところ日本語の認識精度は実用レベルではなかったが、将来に期待できると感じた。

さらに、生成AIを活用した革新的な検索サービスが出てきている。例えば画像などのコンテンツにテキストが直接含まれていない場合にも、画像そのものの内容を認識して検索できる。Elasticsearch Relevance Engine(ESRE)では、ベクトル検索を織り交ぜたハイブリッドAI検索が特徴とされるが、非常に高コストで個人向けではない。もっとも、生成AI関連は今後急速に普及が見込まれ、AIを活用した手頃な検索サービスは数年内には登場すると思われる。

試しにChatGPTのGPTsで、全ファイルのメタデータのリストを渡して試行錯誤したところ、現状でも限られた情報から想像した以上のレスポンスを得られた。将来のコンテンツ管理ではAIが中心的な役割を果たし、全文検索のみならず総合的なアシスタントとして活用ができると期待できそうだ。

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