安全保障輸出管理の国際レジームと拘束力
国際レジームの拘束力
国家(参加国)が自発的に従っている。
安全保障輸出管理の国際レジーム
輸出管理レジームには上記の4つが存在し、それぞれ参加国は自発的に従っています。
各国は法令に落とし込むことで、その国では拘束力を持つことになります。
国連総会決議(General Assembly)の拘束力
勧告のみとなり、拘束力はありません。
事例:
パレスチナ関連の国連決議(General Assembly)は加盟国の3分の2の賛成で即時停戦などいくつか成立しています。
安全保障理事会が機能しないことから、国連総会で決議を行なっています。残念ながら拘束力はありません。
2023年10月27日 即時停戦、人質解放
2023年12月12日 即時停戦、人質解放
2024年3月25日 ラマダン中の即時停戦
2024年5月10日 パレスチナの国連加盟
2024年9月19日 イスラエルに1年以内の占領終結を求める
第10条
総会は、この憲章の範囲内にある問題若しくは事項又はこの憲章に規定する機関の権限及び任務に関する問題若しくは事項を討議し、並びに、第12条に規定する場合を除く外、このような問題又は事項について国際連合加盟国若しくは安全保障理事会又はこの両者に対して勧告をすることができる。
Article 10
The General Assembly may discuss any questions or any matters within the scope of the present Charter or relating to the powers and functions of any organs provided for in the present Charter, and, except as provided in Article 12, may make recommendations to the Members of the United Nations or to the Security Council or to both on any such questions or matters.
第11条
1 総会は、国際の平和及び安全の維持についての協力に関する一般原則を、軍備縮小及び軍備規制を律する原則も含めて、審議し、並びにこのような原則について加盟国若しくは安全保障理事会又はこの両者に対して勧告をすることができる。
2 総会は、国際連合加盟国若しくは安全保障理事会によって、又は第35条2に従い国際連合加盟国でない国によって総会に付託される国際の平和及び安全の維持に関するいかなる問題も討議し、並びに、第12条に規定する場合を除く外、このような問題について、1若しくは2以上の関係国又は安全保障理事会あるいはこの両者に対して勧告をすることができる。このような問題で行動を必要とするものは、討議の前又は後に、総会によって安全保障理事会に付託されなければならない。
3 総会は、国際の平和及び安全を危くする虞のある事態について、安全保障理事会の注意を促すことができる。
4 本条に掲げる総会の権限は、第10条の一般的範囲を制限するものではない。
Article 11
1 The General Assembly may consider the general principles of co-operation in the maintenance of international peace and security, including the principles governing disarmament and the regulation of armaments, and may make recommendations with regard to such principles to the Members or to the Security Council or to both.
2 The General Assembly may discuss any questions relating to the maintenance of international peace and security brought before it by any Member of the United Nations, or by the Security Council, or by a state which is not a Member of the United Nations in accordance with Article 35, paragraph 2, and, except as provided in Article 12, may make recommendations with regard to any such questions to the state or states concerned or to the Security Council or to both. Any such question on which action is necessary shall be referred to the Security Council by the General Assembly either before or after discussion.
3 The General Assembly may call the attention of the Security Council to situations which are likely to endanger international peace and security.
4 The powers of the General Assembly set forth in this Article shall not limit the general scope of Article 10.
第12条
1 安全保障理事会がこの憲章によって与えられた任務をいずれかの紛争又は事態について遂行している間は、総会は、安全保障理事会が要請しない限り、この紛争又は事態について、いかなる勧告もしてはならない。
2 事務総長は、国際の平和及び安全の維持に関する事項で安全保障理事会が取り扱っているものを、その同意を得て、会期ごとに総会に対して通告しなければならない。事務総長は、安全保障理事会がその事項を取り扱うことをやめた場合にも、直ちに、総会又は、総会が開会中でないときは、国際連合加盟国に対して同様に通告しなければならない。
Article 12
1 While the Security Council is exercising in respect of any dispute or situation the functions assigned to it in the present Charter, the General Assembly shall not make any recommendation with regard to that dispute or situation unless the Security Council so requests.
2 The Secretary-General, with the consent of the Security Council, shall notify the General Assembly at each session of any matters relative to the maintenance of international peace and security which are being dealt with by the Security Council and shall similarly notify the General Assembly, or the Members of the United Nations if the General Assembly is not in session, immediately the Security Council ceases to deal with such matters.
第14条
第12条の規定を留保して、総会は、起因にかかわりなく、一般的福祉又は諸国間の友好関係を害する虞があると認めるいかなる事態についても、これを平和的に調整するための措置を勧告することができる。この事態には、国際連合の目的及び原則を定めるこの憲章の規定の違反から生ずる事態が含まれる。
Article 14
Subject to the provisions of Article 12, the General Assembly may recommend measures for the peaceful adjustment of any situation, regardless of origin, which it deems likely to impair the general welfare or friendly relations among nations, including situations resulting from a violation of the provisions of the present Charter setting forth the Purposes and Principles of the United Nations.
第18条 (表決)
1 総会の各構成国は、1個の投票権を有する。
2 重要問題に関する総会の決定は、出席し且つ投票する構成国の3分の2の多数によって行われる。重要問題には、国際の平和及び安全の維持に関する勧告、安全保障理事会の非常任理事国の選挙、経済社会理事会の理事国の選挙、第86条1cによる信託統治理事会の理事国の選挙、新加盟国の国際連合への加盟の承認、加盟国としての権利及び特権の停止、加盟国の除名、信託統治制度の運用に関する問題並びに予算問題が含まれる。
3 その他の問題に関する決定は、3分の2の多数によって決定されるべき問題の新たな部類の決定を含めて、出席し且つ投票する構成国の過半数によって行われる。
Article 18
1 Each member of the General Assembly shall have one vote.
2 Decisions of the General Assembly on important questions shall be made by a two-thirds majority of the members present and voting. These questions shall include: recommendations with respect to the maintenance of international peace and security, the election of the non-permanent members of the Security Council, the election of the members of the Economic and Social Council, the election of members of the Trusteeship Council in accordance with paragraph 1 (c) of Article 86, the admission of new Members to the United Nations, the suspension of the rights and privileges of membership, the expulsion of Members, questions relating to the operation of the trusteeship system, and budgetary questions.
3 Decisions on other questions, including the determination of additional categories of questions to be decided by a two-thirds majority, shall be made by a majority of the members present and voting.
国連安全保障理事会決議の拘束力
これは国連憲章 第25条により、国際連合加盟国は拘束されます。
事例:
1 パレスチナ
2023年11月15日 パレスチナ自治区ガザでの「緊急かつ延長された人道的な戦闘の一時休止」と人質の即時解放を求める決議第2712号
2 大量破壊兵器の開発等を試みる非国家主体にする支援等の差し控え
国連安保理決議第1540号(2004)
国連安保理決議第1540号(2004) 和訳 外務省告示第239号
これを元に国連加盟国は輸出管理を行っている・行おうとしている。
ただし、大量破壊兵器関連のみ。
3 北朝鮮
北朝鮮制裁決議第1718号 S/RES/1718 (2006)
第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動
第39条
安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。
Article 39
The Security Council shall determine the existence of any threat to the peace, breach of the peace, or act of aggression and shall make recommendations, or decide what measures shall be taken in accordance with Articles 41 and 42, to maintain or restore international peace and security.
第41条 (非軍事的強制措置)
安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。
Article 41
The Security Council may decide what measures not involving the use of armed force are to be employed to give effect to its decisions, and it may call upon the Members of the United Nations to apply such measures. These may include complete or partial interruption of economic relations and of rail, sea, air, postal, telegraphic, radio, and other means of communication, and the severance of diplomatic relations.
第42条 (武力の行使を伴う軍事的な強制措置)
安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。
Article 42
Should the Security Council consider that measures provided for in Article 41 would be inadequate or have proved to be inadequate, it may take such action by air, sea, or land forces as may be necessary to maintain or restore international peace and security. Such action may include demonstrations, blockade, and other operations by air, sea, or land forces of Members of the United Nations.
第25条
国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾し且つ履行することに同意する。
Article 25
The Members of the United Nations agree to accept and carry out the decisions of the Security Council in accordance with the present Charter.
強制力のある国際レジームは限られる
その他では、WTOおよび国際司法裁判所の判決。
合意は拘束する(pacta sunt servanda)原則に基づいています。
安全保障輸出管理に関して
大量破壊兵器
大量破壊兵器の拡散については、国連安保理決議第1540号(2004)で国連加盟国は守ることを求められています。
通常兵器
通常兵器については、強制力のある国際レジームは存在しません。
強制力はないですが、ワッセナーアレンジメント参加国の一部の国・地域で通常兵器キャッチオールは実施されており、実施レベルが各国で違います。
湾岸戦争後の国連査察で、イラクがリスト規制に該当しない製品を使用して大量破壊兵器の開発等を行っていた事実が判明したことで、
1991年に米国が通常兵器キャッチオール規制を導入、
EUは1995年、
2003年にワッセナーアレンジメントで規制(Statement of Understanding on Control of Non-Listed Dual-Use Items)に合意。
日本は2008年から実施。
参考:放送大学「現代の国際政治」第6回 国際レジームと国際規範
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