懸念顧客情報とITシステムでの照合 続き
この記事の続きです。
以前のアップル社の懸念顧客照合事故の記事です。
この時書いたようにITシステムの過信はいけません。
間違ったデータが入っているとITシステムは間違った会社・団体を見つけます。
ITシステムには、正しいデータを入れるようにしなくてはいけません。
正しいデータを維持するように、顧客情報のメンテナンスが必須です。
顧客情報・懸念顧客情報で難しいのは表記の揺れ(AIなどで解決?)もありますが、
米国財務省OFACのSDNリストの50%ルールです。SDNリストに掲載されている会社・団体が議決権を50%以上持っている(複数の会社・団体の場合、議決権を加算する)とその会社・団体も制裁対象となります。
これを解決する方法として、2022年にCISTECはSDN50%を超える会社・団体を含む懸念顧客情報を提供している会社を紹介しています。
「Kharon社のSDN 50%リストを含む制裁対象者情報のご紹介について」
しかし、高価なことから多くの会社は地道に株主構成を調べて懸念会社フラグを付けるということを実施しているようです。この方法では日々の懸念顧客情報の更新に追従するのがなかなか難しいです。
日々の活動として、次のことを実施することになります。
・新しく会社を登録するときに、確認して登録する。
・何か変更があったとき、データを変更する。
会社名、住所、株主構成(米国財務省OFACの50%ルール対応など)等
・不要なデータは消す。
・拠点、支店、グループ会社で必要なデータを同期する。
・社内、グループ会社でデータを統合する・共通データにする。
こうしたことを、会社・団体の規模が大きくなっても、実施・維持すること、これが簡単ではないです。
登録済の会社名、住所、株主構成などは、ダンレポなどを契約して維持していくなどの方法もあります。
会社の基本情報、与信情報は営業部門・営業会社や経理部門、IT・SE部門、監査部門、法務部門、調達部門などでも必要で、そうした部門と連携してどこか専門部署で実施してほしいです。それぞれの部署で必要な情報が違うこともあり、やることは調整していくことになります。
Excelでの管理ではなく、ITシステムで対応するのがよく、IT・SE部門の知識を持ち、彼らとの交渉も行っていくことになります。
上記で記事にしたように、米国商務省BISは住所でも懸念顧客を指定するようになっており、住所での照合もなんらかの確認方法を考えなくてはいけません。
現在は中国(香港)で11か所、トルコで1か所登録されてます。
懸念顧客確認はITシステム化し、日々増減する懸念顧客情報、顧客情報に振り回されないようになるといいですね。