顧客審査で使うコマンド、アプリ
前回は顧客審査で使えるHP・URLの紹介でした。
今回は顧客審査でよく使うコマンド、アプリの紹介です。
これは該非判定情報、安全保障輸出管理情報取得にも使えたりします。
ところで、OSINT (Open Source Intelligence)という用語があります。
オープンな情報を収集し、突合せ、分析する手法のことで、安全保障輸出管理の業務の中、例えば、顧客審査でこの手法を使っているかと思います。
以前、NHKスペシャルで北朝鮮の活動をOSINTの手法を使って分析する団体が紹介されていましたね。
Copilot
前回も紹介しましたが、まずはCopilotです。
Copilot 情報のソースを示してくれるので、正確性を検証することも容易です。
コマンドで工夫することが求められます。
「○○はどんな会社?」
「パキスタンの○○はどんな会社?」
「○○の親会社は?」←米国財務省OFACのSDNリスト 50%ルール対応
SEやIT部門に相談して、業務に使用していいか確認してください。
業務に使用できるように働きかけましょう。
Google検索 コマンド
私がよく使っているコマンドです。
”検索語句”
完全に一致するフレーズを検索することができます。*
ワイルドカード。国を限定する、特定のサイトを検索するときに使います。site:
特定のサイトを検索するときに使います。
site:*.intel.* www.intel.comやwww.intel.co.jpなどのサイトを検索します。after:
ある年以降の情報を表示することができます。
after:2022 とすると2022年以降(2022年は含まず)の記事がみつかります。
先日の記事で登場したUVLを具体例として使ってみます。
元情報は今回はこれにします。
会社名:Marshal Traders
住所:Office-5, 41st Street, Block-H Soan Garden, Islamabad, Pakistan
Copilotに”Marshal Tradersはどんな会社”と聞くと、日本の別会社を教えてくれるので、”パキスタンのMarshal Tradersはどんな会社”と聞くことで、全く違う会社が2つ登場しますが、UVLに記載の住所に一致する会社も出てきます。
それはともかく、パキスタンの国コードはpkなので、
site:*.pk "Marshal Traders" と検索してみます。
site:*.pk "Marshal Traders" after:2022
afterを付けて最近の情報になるようにしてみます。
最初に登場する「Provisional list of voters of Islamabad Chamber of Commerce & Industry for the year 2024-2026 (CM-Class) 」に
Marshal Tradersとその住所がUVLのものと一致する会社として掲載されています。
こんな感じで効率よく探すことができます。
Googleの画像検索
Web版のGoogleで画像検索ができます。
名刺や注文書などで会社のロゴを入手したとき、
または、HPに掲載されている画像の出所を調べるときなど
に使えます・使います。
小さな会社だとHPに掲載している画像が他社の画像を流用していることがあり、そんなとき元画像、引用元を見つけることができたりします。
小さな会社は会社の信用度を上げるために、軍関連機器の写真をHPに掲載することがあります。日本の会社にとっては、顧客調査の詳細調査の要因になり、それがその会社で製造したものかどうか調べるのに使ったりします。
アプリ Google翻訳
最近はブラウザでほとんど翻訳できるようになっていますが、
画像の場合は翻訳できないので、google翻訳をカメラ入力で、使うことがあります。
該非判定情報の取得に使う
該非判定情報を探すとき、HPのURL構造を把握したのちに、下記のコマンドのようにすると見つかることがあります。
事例
site:*.intel.* ECCN after:2022
site:*.intel.* 該非判定 after:2022
site:*.amd.* ECCN after:2022
site:*.amd.* 該非判定 after:2022
site:*.nvidia.* ECCN after:2022
site:*.nvidia.* 該非判定 after:2022
安全保障輸出管理の情報取得に使う
上のほうで顧客審査、該非判定に使いましたが、輸出管理に関する情報を探すときにも使えます。
事例
site:*.meti.go.jp 北朝鮮 after:2022
site:*.intel.* 輸出管理 after:2022
site:*.intel.* "Export Control" after:2022
一部、URLが.com、.govなどを使っている企業などありますが、
上のほうで説明したパキスタンの事例のように所在国がわかっている場合、ISO 3166-1 alpha-2 の2桁の国コードを使って、その国の情報内で検索をすることができます。
事例
site:*.jp "輸出管理" "受理番号"
site:*.sg "Export Control" after:2022
以前にCP受理番号を公開している会社を紹介しましたが、上記のコマンドでヒットしたものを掲載しました。
おわりに
安全保障輸出管理の業務に役立ちそうなアプリ、googleコマンド、利用例などあれば教えてください。
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