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米国財務省OFAC 制裁違反の時効延長に関するガイダンス発表 

4月の話ですが、米国財務省OFACの制裁の時効を7年から10年に延長する法案を施行しています。これに関するガイダンスを7月22日にOFACが公開しました。米国法遵守を掲げている会社・団体は安全保障輸出管理の文書保管期間に影響がありそうです。
4月24日に米国 バイデン大統領が署名し、国際緊急経済権限法(IEEPA)と対敵通商法(TWEA)の違反行為の時効を5年から10年に延長しました。これに合わせて記録保管も10年になる見込みのようです。これは当然の流れです。違反していないことを立証するには文書、記録が必要で法令に合わせることになります。
これは過去にさかのぼり2019年4月24日以降の制裁に対して適用されます。
外為法に従っていると、時効、記録保管期間等は5年だったり7年だったりするのですが、米国製品を扱っている会社・団体はこの改正に合わせて10年にすることになりそうです。簡単ではないです。

H.R.815 原文

DIVISION D--21ST CENTURY PEACE THROUGH STRENGTH ACT

(Sec. 3111) This section establishes a 10-year statute of limitations on violations of sanctions imposed under the International Emergency Economic Powers Act or the Trading With The Enemy Act.

H.R.815 - 118th Congress (2023-2024): Making emergency supplemental appropriations for the fiscal year ending September 30, 2024, and for other purposes. | Congress.gov | Library of Congress

JETROの記事

米財務省、制裁違反の時効延長に関するガイダンスを発表(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)

米国財務省OFAC Recent Actions

OFAC Guidance on Extension of Statute of Limitations | Office of Foreign Assets Control (treasury.gov)

White House Presidential Actions

Press Release: Bill Signed: H.R. 815 | The White House

外為法での時効・文書保管期間

懲役10年未満にあたる罪の場合は5年、 懲役15年未満の罪の場合は7年が公訴時効となっています。
外為法では武器や大量破壊兵器関連の場合、懲役は10年以下のため時効は7年となり、リスト規制品を扱う会社は安全保障輸出管理に関する文書の保管期間を7年にしています。
保管期間を条件で分けていると判断ミスの可能性があることから、7年に統一する会社が多いようです。

経済産業省発行の「安全保障貿易管理ガイダンス [入門編] 第2.3版 令和6年5月」では、貨物の輸出又は技術の提供日から

・武器及び大量破壊兵器等関連(輸出令別表第1及び外為令別表の1項~4項)のものは、少なくとも7年間
・通常兵器関連等(輸出令別表第1及び外為令別表の5項~16項)のものは、少なくとも5年間

と記載されてます。

安全保障貿易情報センター(CISTEC) モデルCP

一般財団法人 安全保障貿易情報センター(CISTEC)は自主管理用に輸出管理内部規程(CP)、モデルCPを公開しており、ここでは文書保管期間を少なくとも7年と記載しており、米国法を遵守する場合は少なくとも10年になるのでしょうか。

第17条 規制貨物等の輸出等に係る文書又は記録媒体を、貨物が輸出された日又は技術が提供された日から起算して、少なくとも7年間は保管する。

モデルCPのご紹介| 自主管理 | 安全保障貿易情報センター (CISTEC)

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