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懸念顧客情報とITシステムでの照合

安全保障輸出管理の業務のひとつに顧客審査があります。
顧客、輸出者、輸入者、運送業者、倉庫、部品メーカ、計測器メーカ、製造設備メーカなどサプライチェーンに登場する会社、団体について、
身辺調査、信用調査など、いろいろな観点で確認をします。
安全保障輸出管理では、懸念顧客リストに該当しないかを確認します。

人間系でCHASERコーナで調べるのには限界があり、ITシステムで何とかしたいものです。
懸念顧客情報は数日おきに更新され(世界レベルで見ると)、顧客・取引先情報等も毎日のように更新されます。
また、ITシステムは万能ではなく、ある程度人間が面倒を見なくてはなりません・メンテナンスをしなければなりません。
課題はともかく、どのような懸念顧客情報があり、どのようなITシステムがあるかを見てみました。

懸念顧客リスト(禁止顧客含む)

会社・団体により懸念顧客リストの選択が異なることがあります。またどれを参照するかということもあります。
まず押さえなければならないのは、国際的なリストと日本のリストです。
次のリストになります。

・国連安保理決議による経済制裁
・経済産業省の輸出禁止者
 残念ながらリスト化されていない。
経済産業省の外国ユーザリスト
財務省の経済制裁措置及び対象者リスト
 以下で構成される。
 ・国連安保理決議による経済制裁
 ・国際協調による制裁(ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、イスラエル)
 ・日本独自(北朝鮮)

国連安保理決議による経済制裁のリストは、実質、財務省の経済制裁措置及び対象者リストに含まれます。

域外適用の米国法については各社の判断が入ります。
米国で事業展開、ドル決済をしている会社・団体であれば、自己防衛のために確認しなければならなくなります。
米国関係で基本的に押さえなければいけないのは次のリストになります。

・米国商務省BISのリスト
 ・DPリスト
 ・Entityリスト
 ・MEUリスト
 ・Unverifiedリスト
米国財務省OFACのSDNリスト、Non-SDNリスト
 ・国連安保理決議による経済制裁
 ・米国独自(多数、個々に法律などがある)

注意点として、これらのリスト掲載されていると取引ができないというわけではありません。リストごとにそのあたりが違い、輸出禁止リストもあり、用途や品目で禁止していたり、お金のやり取りを禁止しているリストもあり、それぞれ詳細をみて判断することになります。

こうしたリストとの照合をする場合、人間系で行うには一つのファイルになっているとありがたいですね。ITシステムで行う場合も、なるべく少ないほうがよいです。

政府による懸念顧客リストの提供

米国の各種制裁リストは統合リストが提供されています。
検索エンジンも提供されています。
データだけを取得できそうです。

日本では、経済産業省の外国ユーザリストと財務省の経済制裁措置及び対象者リストはそれぞれ1つのファイルで提供されますが、経済産業省の輸出禁止者はリストになっていません。

安全保障貿易情報センター(CISTEC)の懸念顧客情報

こうした懸念顧客情報を一つにまとめてくれているのが、CISTECです。
CISTECは、3つの懸念顧客情報を提供しています。
基本はCHASERコーナの、頻繁に更新される「DPL等顧客情報」、
約3か月ごとに更新される「CISTEC顧客情報」、
昨年でしたか?「統合制裁リスト情報」が登場しています。

CHASERコーナのDPL等顧客情報、CISTEC顧客情報
多くの会社、団体はこちらを利用しているのでしょう。
CHASERコーナの検索エンジンが利用でき、
「DPL等顧客情報」(数日おきに更新されており、即時性あり)、
「CISTEC顧客情報」(約3か月ごとに更新)が提供されます。
オンライン利用 (賛助会員)  月額 9,900円
        (一般)    月額 19,800円
別料金ですが、LBS(ローカルバッチシステム)があり、ITシステムからの利用が可能なようです。
CISTECジャーナルの記事を参照のこと。
2018年5月号 ◇進化するCHASER検索システム リターンズ
2017年3月号 CHASER検索システム―検索対象データソースの追加、検索結果詳細内容の充実等
注意点:経済産業省の輸出禁止者は掲載されていません。

統合制裁リスト情報
「「統合制裁リスト情報」は「CHASER」情報から制裁リスト群を抽出し、廉価で提供するサービスです。」とあり、PDFで提供されます。
そのためITシステムで利用するには向いていないと思われます。
年間料金:79,200円(税込)
注意点:経済産業省の輸出禁止者は掲載されていません。

照合システム

Babel Street
ずいぶん前のHP情報で、今の状況は不明ですが、当時、東芝が採用ということのニュースを見ました。
ECONOSEC JAPAN 2024にも出展してました。
名称の揺れを解決するシステムのようです。
公表リスト(懸念顧客リスト)については採用企業に任せるという感じです。

日立ソリューションズ 安全保障貿易管理ソリューション
懸念取引先情報は経産省、CISTECのリストを使うようです。

日立ソリューションズから

S・安貿
懸念顧客リストは外国ユーザリストだけのように読めます。
米国法対応、Entityリスト、DPリスト対応は不明です。

トムソン・ロイター
HP情報からはよくわからない。

トムソン・ロイター

e2open Global Trade
Due Diligence Screening 詳細情報は見つけられなかったが、複数の懸念顧客情報でスクリーニングをすることができる。検索や照合でAIを使用した揺らぎ等の対応をしているようです。

e2open

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