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米国商務省BIS 直接製品規制のグローバル輸出管理連合除外

EAR Part736.2 (b)(3)にて、一般禁止事項3 General Prohibition Three として、直接製品規制 Foreign-direct product (FDP) rules があります。
これはさらに EAR Part734.9 Foreign-Direct Product (FDP) Rulesで記述されています。

以前の記事でも触れたように項目、非常に多いです。
米中対立が始まる前は(b),(c),(d)の3つだけでしたが、現在は(j)まで6つ増えました。
しかしよくよく見てみると、そのうち3つ、(f),(g),(j)は日本は除外されています。
注意しなければいけないのは、事業展開している国からの再輸出、国内移転は確認の対象です。

直接製品(FDP) EAR Part734.9

次の項目が直接製品の対象です。
(b) National Security FDP rule:従来の一般的な直接製品規則
(c) 9x515 FDP rule:9x515 直接製品規則(衛星品目)
(d) “600 series” FDP rule:600 番台直接製品規則(機微度の低い武器品目)
(e)(1) Entity List FDP rule: Footnote 1: Entity List 脚注1直接製品規則
(e)(2) Entity List FDP rule: Footnote 4: Entity List 脚注 4直接製品規則
(f) Russia/Belarus/Temporarily occupied Crimea region of Ukraine FDP rule:
     ロシア/ベラルーシ/クリミア直接製品規則
(g) Russia/Belarus-Military End User and Procurement FDP rule:
    ロシア/ベラルーシ軍事エンドユーザー・調達直接製品規則
(h) Advanced computing FDP rule: 先端コンピューティング直接製品規則
(i) “Supercomputer” FDP rule: スーパーコンピュータ直接製品規則
(j) Iran FDP rule: イラン直接製品規則EAR Part734.9

(f)、(g)のグローバル輸出管理連合(GECC)の除外

EAR Part746.8 (a)(12) Exclusions from license requirements and scope of U.S.-origin controlled content.
(iii) Global Export Control Coalition (GECC)  において、Supplement No. 3 to Part 746 に掲載される国は、直接製品規制の(f)、(g)は対象外になっています。

(j)のグローバル輸出管理連合(GECC)の除外

EAR Part746.7(a)(1)(iii) Foreign-produced items subject to the EAR under § 734.9(j) of the EAR (Iran FDP rule) においてSupplement No. 3 to Part 746 に掲載される国は、直接製品規制の(j)は対象外になっています。

グローバル輸出管理連合 Supplement No. 3 to Part 746

Supplement No. 3 to Part 746 に掲載される国は以下です。
2023年に台湾が追加されています。現在は38か国。

2022年3月3日:オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、
カナダ、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、
フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、
オランダ、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、
スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、英国
2022年3月10日:韓国、
2022年4月12日:アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス
2023年4月12日:台湾

関連するSTC Expert 試験問題

2023年度 
該当する問題なし

2022年度<問題19>(配点:1)
日本からロシア又はベラルーシに輸出・再輸出する場合の米国 EAR 規制に
関する記述について、正しいものの組合せを後記1から5までの中から1つ選びなさい。

A (略)
B (略)

C ロシア・ベラルーシ向け直接製品規制に該当する製品を日本からロシア又
はベラルーシに再輸出する場合、そのBISの許可が免除されることはない。

コメント:間違い。日本はGECCに含まれ、対象外。

D (略)
E (略)

1.A・B
2.B・C ← 間違い
3.C・D ← 間違い
4.D・E
5.E・A

2021年度<問題19>(配点:1)
直接製品(direct product)のルールに関する記述について誤っているものの組
み合わせを後記1から5までの中から1つ選びなさい。なお、ここでの米国原産品目は、600 番台の品目でもデミニミス・ルール適用対象外とされている特別な品目でもなく、一般的な品目であることを前提とする。また、Entity Listにおいて脚注1(footnote 1)で指定されている同リスト掲載者向けの場合の直接製品ルール(昨年施行)についても考慮すること。

A (略)
B (略)
C (略)
D (略)

E 日本において米国原産技術に基づき直接製造した製品を日本からワッセナーアレンジメント加盟国所在企業に提供する場合は、直接製品としてEAR規制対象になることはない。

コメント:間違い。
Entity Listにおいて脚注1(footnote 1)で指定されている同リスト掲載者向けの場合において、そのような除外項目はなく、間違い。
直接製品規制はここ数年で規制強化され、当時より厳しくなっています。

1.A・B
2.B・C
3.C・D
4.D・E
5.E・A

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