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2-23 本当の過去

突然入って来た村人の集団に拘束される敦志。

敦志「わっ…なんだよ、痛い痛いっ!」

悠介「え、ちょっと、待ってください!」

悠介の静止など全く意味はなく、あっという間に敦志は縄で拘束されてしまった。そして担がれてどこかに運ばれていく。

悠介(この人たち、なんでこんな急に…!?)

〜敦志が悠介の家に入る直前〜

村人A「あれ、あいつ、敦志じゃないか?」

村人B「ホントだ。あ、悠介くんの家に入って行くぞ!」

村人A「マジか!あいつ、俺らには全然話しに来ないのに、悠介くんとこには行くのかよ!」

村人B「…分かった!あいつ、ショタコンなんだ!」

村人A「なるほど!だから俺らに興味がなくて話さなかったんだ!ていうか、じゃあもしかしてあいつ、悠介くんに手を出すんじゃ…。」

村人B「マジかよ!ヤベェじゃん!コッソリ聞き耳立ててみようぜ!」

敦志「…実は俺、ノンケなんだ。」

村人AB「!?!?!?」

村人A「お、おい、マジかよ…。」

村人B「でも…その後の話も聞く限り、マジっぽいぞ…。」

村人A「やべえよ、早くみんなに知らせないと!」

村人B「そうだな、村が終わる前に急ごうぜ!」

〜〜〜〜〜

イベントエリアの広いグラウンドの真ん中に、敦志は柱にくくりつけた状態で置かれていた。周りには村人がほぼ全員集まっていた。

村人A「悠介、大丈夫だったか?あのノンケに変なことされなかったか?」

悠介「い、いや…僕は大丈夫です…。」

村人A「ホントに?それなら良かった。でも、何かあったなら正直に言えよ。ノンケなんか何しだすか分からないんだから。」

村人B「ホントにそうだよな。ノンケなんか人間のクズだ!こんなゲイだけの村に潜入するようなことをしてるんだからな。それが証拠だよ!」

悠介(…これが…あのとき言ってた…"儀式"…。)

迅「あ〜あ、ついにこのときが来たか。」

悠介「迅さん!」

迅「悠介…この村に悠介が来たとき、村に呼ぶ人の条件を3つ言ったの、覚えてるか?」

悠介「え?どうして今それを…。」

迅「すぐに分かるさ。覚えてるなら答えてみて。」

悠介「…。」

悠介は戸惑いながら、そのときのことを思い出した。

悠介「一つ目がゲイであること、二つ目がそのことで辛い状況にあること、三つ目がこの村に合う人間であること…だったと思います。」

迅「そう。だけど実はもう一つ、四つ目の条件があるんだ。」

悠介「え、それって…?」

迅「ノンケのことを憎んでいること。」

悠介「えっ…。」

迅「ただゲイで辛かっただけじゃない。そんな自分に嫌なことをしてきたノンケたち、そしてノンケを中心に作られた社会そのものを憎んでいる人たちがこの村に呼ばれるんだ。」

迅「もちろん俺もその一人だよ。」

悠介「迅、さん…?」

迅「前に話した、俺が元の世界にいたときに会社でゲイバレしたってのは本当だ。そして一人だけ変わらず接してくれていたやつがいたのも本当だ。…見かけ上は。」

悠介「見かけ上…?」

迅「その実、そいつもグルだったんだ。俺に優しくするフリして、俺からいろいろな情報を聞き出して、裏で繋がってたグループと笑い者にしてたんだよ。」

悠介「そんなことが…。」

迅「もう完全に裏切られたよ。そして信じていた俺がバカだった。何で俺は『変わらず接してくれていてありがとう』なんて下手(したて)に出てたんだろうって気付いたんだ。」

迅「目の前のやつがゲイだろうと何も変わらず今まで通り普通に接する、これが普通だろ?何でノンケの方が上かのように俺らがヘコヘコ『差別しないでください』なんて態度とらなきゃいけないんだよ。」

迅「…だから俺はもうノンケなんか信用するのをやめた。そして出来ることなら復讐してやりたい。この辛さをあいつらにも味わわせてやりたい。そう思った。」

迅「そんなときだったよ。夢に村長が出て来たのは。迷わず待ち合わせ場所に向かったね。」

迅「村に来てしばらく生活していると、一人の村人がノンケだということが分かった。そしてみんなで追い詰めて殺した。」

迅「そのとき村長に明かされたんだ。この村でやっている本当のことについて。」

悠介「本当のこと…?」

迅「ノンケを生贄としてこの村に呼ぶことだよ。そして分からせてるんだ。元の世界でゲイがどういう立場にいたのかを。周りに味方がいなくて嘘ついて隠さないといけなくて、バレたら恐ろしい目に遭うってことの辛さを。」

悠介「そんなことを…。」

少し考えて悠介は言った。

悠介「でも、それだと…ノンケがしてるのと同じことをしてることになってるんじゃ…。」

千紘「差別してるノンケたちは何も悪いことしてない普通のゲイにも関係なく攻撃してくるけど、私たちはゲイを差別してくるノンケにしかこうやって反撃してないのよ。それだけでもあいつらとは全く違うと思うけど。」

悠介「千紘さん…!」

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