5 避けられない話
教室に入った。もしみんなの視線が集まったらと思うと怖かったけど、特に見られることもなかった。
誠慈とは一瞬目が合ったけどすぐにお互い目を逸らした。気まずいけど、席は離れてるからとりあえずは問題ないだろう。
席にすわると、隣の男子が話しかけてきた。
俊「おはよう。俺、俊。よろしくな!」
一輝「あ、おう。俺一輝。よろしく。」
すごく気さくに話しかけてくれた。どうやら誠慈はバラさないでいてくれてるみたいだ。流石にそれは大丈夫か。でも、先に世界が変わってることに気付けていれば誠慈にうっかり喋っちゃうこともなかったのに。
それから数日、特に問題なく日々が過ぎた。意外と黙ってればバレないもんなんだな。ああ、元の世界でもこんな感じで隠れ同性愛者がいたのか。
俊とはよく話す仲になった。そして他に二人、康太と雅也とも仲良くなり、よく4人で行動するようになった。
ある日、学校終わりに4人でファミレスに行った。
4人「お疲れー。」
雅也「よーし、せっかく俺ら喋るようになったし、いろいろ話してこーぜ!」
康太「だね〜。みんな中学どこだった〜?僕は南陵中学でさ〜。」
普通に話は進んでいった。中学までの話、高校に入ってからの話、後はテレビの話とか。そして、少し会話が途切れたとき、雅也が切り出した。
雅也「なあお前らさ、どんな男が好き?」
俊「おっ、来たね。」
雅也「恋バナは仲を深めるのにもってこいだからな。みんな正直に話せよー。」
康太「じゃあ言い出しっぺの雅也から言ってよ〜。」
ヤバい、始まった。どこかで不安に思いながら、別に普通にだべるだけだから大丈夫だろうと思って来たけど、やっぱこうなるか…。
雅也「俺は決まってるぜ。ヤンキー系!悪そうな見た目の奴が大好きなんだ。いつかヤンキーたちと一戦交えたいね!」
俊「おおー。俺は結構タイプ広いんだけど、まあ割と普通な感じの人が好きかな。」
康太「僕は太い人が好き〜。」
雅也「出た、王道じゃん。」
うわ、ついていけない。みんな当たり前のように好きな男のタイプを話してる。次は俺の番だ。何か言わないと。考えておけば良かった。
雅也「おい、一輝はどうなんだよ?みんな言ってんだからお前も言えよ。」
一輝「あ〜えっと、俺はまあ…お、男らしい感じの人とか…?」
ピタッ
沈黙が走る。さっきまであんなに盛り上がってたのに一気に場が固まった。ヤバい、これは答え方をミスったか…?
すると、雅也が口を開いた。