15 急転直下
一輝「え…男が好きって…。」
夢花「私もノンケってこと。あなた、今まで自分以外のノンケを見たことある?あ、テレビの人はナシで。」
一輝「いや、ないです…。」
夢花「やっぱそうよね。」
一輝「あ、あの、なんで俺がノンケって分かったんですか…?」
夢花「ノンケにはビーノンっていうお互いがノンケだって分かる能力があるの。」
一輝「そうなんですか…?ビーノン…?」
俺には実はそんな能力が…?
戸惑いながらも、そんな秘めた能力があるとか、俺 漫画の主人公みたいじゃね?とか考えてた。そしたら…。
夢花「目をつぶって…。」
は?展開早すぎだろ。いや、ちょっと待って…。
夢花「早く。」
もう急展開すぎてわけが分からない。だけど、とにかくなるようになれと、目をつぶった。
唇が当たる感触がした。
そして次の瞬間、
輩A「ウェェェイ!何やってんだよお前ー!!!」
一輝「えっ!」
慌てて女の人から離れる。着替えのボックスのカーテンが開けられ2人の男が立っていた。1人はニヤニヤしていて、もう1人はちょっと驚いているような雰囲気だった。
輩A「お前ノンケだな!オラ出て来い!こんな所でイチャつくとか迷惑考えろよ!クソノンケがよ!」
上半身裸のまま腕を引っ張られ地面に倒された。女の人の方はもう一人の輩に引っ張られてどこかに連れていかれた。
一輝「すみません、やめてください。」
突然なんでこいつは現れたんだ。なんでボックスの中の俺が分かったんだ。周りに他の人いるのに叫ぶのはやめてくれ。
輩A「おい、お前!こんなみんな使うところで何考えてんだよ!男のくせに女が好きとかマジでノンケはどうしようもねーな!」
バシッ バシッ
なんども背中を叩かれる。痛い。やめてくれ。どうしよう。
そのとき、俊の声が聞こえた。
俊「一輝!?」
一輝「しゅっ、俊…!」
俊「お、お前、何やってるんだよ!」
輩A「チッ。」
男は去っていった。
俊「一輝、大丈夫か!?」
一輝「あ…うん、大丈夫…。」
俊「何?何があったんだよ!?」
一輝「いや…その…。」
周りもザワついてる。ヤバい、誰かがここのクルーか警察を呼んでたらマズい。俊にも学校全体にも俺がノンケだってバレるかもしれない。とりあえずさっさと服を着てここから離れないと。
一輝「と、とりあえずここから出よう!あ、そうだ、あの会場に戻ろう!」
俊「え、うん、ホントに大丈夫なの?」
一輝「大丈夫だから!」
あの女の人に誘われたとはいえ、俺も公共の場でああいうことをしたのは確かだ。一方的にあの男たちが悪いとは言えない。
それに通報とか目立つことをしたら俺がノンケだって広まるかもしれない。だから何も出来ないんだ。
とにかく走ってその場から逃げ出した。