14 この女
一輝「いや、あの、友達が…。」
夢花「大丈夫!すぐ終わるから!」
なんだこの人。水かけて人拘束して。
腕掴んで引っ張るの痛いって。周りからもチラチラ見られてんだよ。学校のやつに見つかったらマズいからやめてくれ。
腕を振り払った。
夢花「あ、ちょっと…。」
一輝「ついていくんで、腕引っ張るのはやめてください。」
夢花「分かったわよ。」
そう言ってついていった。
有希「…あれ?今の、確か同じクラスの…。」
有希の友達「どうしたの、有希。早く行くよー。」
有希「あ、うん…。」
そして連れて行かれたところは…。
一輝「…ロッカールーム?」
夢花「タオルと汗拭きあるからこれで拭いてあげるね!そこの着替えのボックス入ろ。」
ああ、体拭かせてくれんのか。…え?
"拭いてあげる"?
一輝「え!いや、ちょっと待ってください!」
夢花「いいからいいから。友達待ってるんでしょ。私がササっと拭いてあげる。」
一輝「いやでも、そんな女の人に…!」
夢花「男と女じゃ何も起こんないでしょ。ホラ早く。」
あ、そうだ!焦ってて同性愛の世界だって意識が飛んでた。ヤバい…。
そしてそのまま何も言えなくなり、一緒にボックスに入ってしまった。
夢花「ハイ脱いで。」
一輝「あ、はい…。」
そういえば何でこの人はこんな馴れ馴れしくなってんだ?初対面だろ俺ら。
夢花「スンスン…うわ、やっぱ匂いついちゃってんね。あーもう。服の方タオルで叩いてくれる?私体拭くから。」
普通逆じゃないか、と思いながら服をタオルで叩く。これ、他に体拭く方法無かったのか。
すると、なんだか違和感が。この女、なんかおかしい。拭かなくていい所まで拭いてくる。
一輝「あ、あの…。」
すると、女が小声で言った。
夢花「あなた、女の子が好きなんじゃない?」
一輝「……っ!!!」
衝撃で声が出なかった。
な、なんでこんな初対面の女の人がそのことを…。
夢花「…やっぱりそうなのね。」
一輝「あ…いや…あ…。」
夢花「大丈夫よ。私も男の人が好きだから。」
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俊「…一輝、遅いなあ。もうすぐショー始まっちゃうのに。」
雅也「トイレ混んでんじゃねえの。」
俊「うーん、ちょっと見て来ようかな…。」
康太「今から行ったらショー間に合わないよ〜?すぐ戻ってくるでしょ〜。」
俊「うん…でも…。」