7 危険な情報収集
ある日、学校で俊と2人になる瞬間があった。ファミレスで喋ったときに出てきたオケ専の意味をずっと誰かに聞きたかったけど、聞くなら俊が一番安全だと思っていたから今のタイミングだと思って聞いた。
一輝「なあ、この前ファミレスで康太が言ってたオケ専ってどういう意味なんだ?」
俊「え、一輝知らなかったのか。オケ専ってのは、棺桶に入るぐらい歳をとった人が好きな人のことだよ。老け専のさらに高齢版みたいな。」
一輝「あ、へえ、そういう意味なんだ。」
そんな言葉があるのか。てかなんだその言葉。
俊「…やっぱり一輝、あんま恋愛に興味ないだろ。ファミレスのときもあんな感じだったし。」
一輝「いや、うーん…。」
俊「でも不思議だな、全然恋愛に興味無さそうな感じじゃないのに。なんかトラウマでもあるとか?いや、そもそも知識がないわけだしな…。」
一輝「あ、恋愛に興味ないわけじゃないけど、友達と遊んでる方が楽しかったからさ…。」
俊「中学のとき彼氏とかいなかったの?」
かれ、彼氏か…彼女なら一応いたことあるけど。あ、そうだ、彼女を彼氏に置き換えて話せば話しやすいかもしれない。
一輝「…いたことはあるよ。」
俊「彼氏?あ、そうなんだ。どんな人だった?」
一輝「あ〜えーと、大人しい感じの人だった。」
俊「見た目は?髪型とか体型とか。」
一輝「え?え〜髪は黒髪のロン…いや、ちょっと長めの髪で、体型は…小さめ…かな…。」
俊「だからなんでそんなぎこちなくなっちゃうの。(笑)」
ホントは彼女だからだよ!…と言いたいのを必死で抑えた。
俊「ホントに彼氏いたんだよね?」
一輝「うん…いたよ。」
嘘じゃないようで嘘なんだよな、これ。別に嘘をつくこと自体はいいけど、これはなんか本来つく必要のない嘘な気がしてしんどいな。
俊「黒の長めの髪で、体は小さめで、大人しい…。中性的な男が好きなの?」
中性的か…俺は女が好きなわけだし、そういうことにしといた方が今後何かと楽かもしれない。
一輝「ああ、そうかもな。」
〜〜〜〜〜
その日の夜、いつものように父さんとリビングで夜ごはんを食べながらテレビを見ていた。同性愛が当然になった世の中で同性愛についての知識がないまま過ごすのは自殺行為だ。テレビには同性愛の話題は溢れているから、これで勉強が出来る。
おしゃべりナイン。9人の芸人が毎回ゲストを呼んでトークするバラエティ番組。今日の内容など知らず、ただ前番組を見ていてそのままつけていた。
司会者「さあ本日のゲストこの方ですどうぞ〜!」
後ろの扉が開いた。スモークとともに男の人が登場した。