47 拳の戦い
雅也が亮佑の腹に一発くらわせた。
亮佑「あっ!」
確実な腹への一撃で、亮佑は地面にひざまづいた。
雅也「…あいにくお前は俺のタイプじゃないんでね。これ以上お前と戦うつもりはねえんだよ。おい、こいつは任せたぞ。」
そういうと雅也は周りの輩の方に歩いていった。
雅也「おほ〜、カッコいいお兄さんばっかりだねぇ。」
康太「ちょっと、雅也だって僕がサファイアオーシャンで透け乳首デブを見たときと同じ声出してるじゃん〜。気持ち悪いって言ったくせに〜。」
雅也「いやあマジでヤりたいわ。ヤンキーって最高だね。…とりあえずこれから一戦交えるけど、そのあとゆっくり、夜の一戦交えねえ!?」
戦闘が始まった。
こっちは動けない3人と動ける5人、向こうは亮佑と夢花と輩4人、五分五分ってとこか。
俊と康太は亮佑と戦い、雅也と残りの2人は輩たちと戦っている。
雅也…強い…っ!あんな大きい大人の輩たちに全然見劣りしない強さだ。他のやつらもすごい。みんな…。
だが、輩が2人倒されたところで、大きな声が響いた。
夢花「動かないで!」
夢花はナイフを服に仕込んでいた。人質をとって首にナイフを当てた。みんなの動きが止まった。
人質にとられたのは、俺だった。
なぜ俺なんかを人質にしたんだ。確かに俺は何発も殴られてまともに動ける状態じゃない。だけど、人質にとるなら有希さんとかの方が普通じゃないか。
ああ、俺のせいでみんなが動けない。その間にみんな輩に反撃されてる。くそっ、俺の体がもっと動けばこんな女ぐらい…。
そのとき、女が俺にだけ聞こえる声で囁いた。
夢花「私がノンケなのはホントよ。」
一輝「え…!?」
耳を疑った。
夢花「ここにはいないけど…あたしたちのグループのボスにそれがバレたのよ。それで家族とか周りにバラされたくなかったら俺たちのグループに入れって脅されて…。」
一輝「…本当か?それ。」
夢花「ええ。でもボス以外は私がノンケだって誰も知らないわ。ボスは亮佑がお気に入りで高い位に置いてるけど、その亮佑も私は女が好きだと思ってる。」
一輝「…今まで散々言ってること二転三転させておいて、それすんなり信じられると思うか。」
夢花「分かってるわよ疑われるのは。でも本当なの。じゃあこれ言ったら信じてくれる?あのね、ビーノンは本当にあるの。」
一輝「え…。」
夢花「ノンケは、自分がノンケだからノンケについての知識と経験があるの。多数派と違う些細な言動とか見た目の雰囲気とかが何となく分かるから、この人がノンケかもって気付けるの。もちろん外れることもあるけど…。それがビーノン。」
一輝「…特殊能力というより、知識と経験から感じるものってことか。」
夢花「そうよ。それなら存在し得るでしょ。特殊能力ならファンタジーでも、知識と経験は実在するもの。」
夢花「説得力あったでしょ。どう?ちょっとは私の言うこと真実かもって思ったでしょ。」
一輝「…いや?別に。」
夢花「…あのね、私も、あんたが自分とテレビの中の人以外で初めてのノンケだったの。だから嬉しかったのよ、ホントは。敵として動かないといけなかったからあれ以上接触出来なかったけど。…あのときのキスだって…。」
キス…!
こいつの今言ってることが本当だとすれば、今のこの 俺が人質にとられている状況を確実に脱却出来る…!
俺は左手を夢花の後頭部に回し、最後の力を振り絞って自分の首を捻った。あのときはお前から来たよな。今度はこっちから…。