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41 最終決戦
従うしかなかった。有希さんが人質にとられている。昨日俺たちが話しているの、見られてたのか。雫のときが大丈夫だったから油断してた。
橋の下。人目につきにくい場所に移動させられた。
亮佑「俺がバラしたって全部教えてもらったんだろ?こいつは何も口を割らなかったけどな。」
有希「一輝くん…逃げて。」
有希さん…俺のせいで…ごめん…!
亮佑「俺は証拠が欲しかった。誠慈からお前のことを聞いたときはまだ半信半疑だったからな。」
亮佑「ちゃんとした証拠もなくお前がノンケだって広めようとしても、多少疑念を抱かせる程度で終わるだろ。逆に俺が悪者になる可能性も高い。だから俺はお前がボロを出すまでじっくり待ったんだよ。」
一輝「…周到なんだな。」
亮佑「当然だよ。確実にお前を潰すためだからな。…最初に俺たちが動いたのはいつか分かるか?」
一輝「エルジーランドか。」
亮佑「そうだ。まあ、俺は会珠のグループで園内を回ってたから、行動は全部こいつらに任せてたけどな。」
亮佑「あのとき俺たちはずっとお前が1人になるタイミングを伺ってたんだ。そして昼過ぎにお前がトイレに行ったときに仕掛けた。」
一輝「まさか、あの女の人も…。」
亮佑「そうだよ。俺らのグループのやつ。まさかホントに偶然出会ったとでも思ってたのか?あんな偶然あるわけねーだろ!」
亮佑「それで予定通り着替えの箱に誘導して証拠の写真を撮ったんだよ。目を瞑ってれば、カーテンの隙間からカメラを入れても気付かないからな。」
亮佑「でもこいつが勝手なことしやがってよ。写真だけこっそり撮ってバレずに終わらせるつもりだったのに介入しやがって!」
輩A「すいませんっす!」
輩B「俺が写真撮るまで我慢してくれてギリギリセーフって感じでしたよ全く。あの後、焦って夢花と逃げることしか出来なかったしよお。ホントにお前は!」
輩A「いやだってあの状況見てからかいたくならない方がおかしいっすよ!」
明らかに何歳も年上のこんな輩たちに敬語使わせるって…。亮佑って一体どんな立場なんだ。
一輝「でも…写真が撮れたなら音声はいらなかったんじゃないのか。」
亮佑「証拠は多い方がいい。急ぐ必要もなかったしな。それに…お前、最初クラスにバラしたの誰だと思った?」
一輝「え…。」
あのときのことを思い出す。俺は最初…
一輝「…俊が…。」
亮佑「そうだろ。お前を確実に陥れたうえで、お前には別のやつがバラしたって勘違いさせた方が面白いだろ?クラスのやつらは俺が口止めをしたし、そもそもみんなお前を避けるから本当のことを聞き出すことも出来ないしな。」
一輝「でも、あのとき俊にカミングアウトしたのはたまたまなのに、なんで都合よく盗聴出来てたん…あ。」
亮佑「あれは偶然だったんだよなぁ。本当はさあ…。」