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26 親子の関係

泣き崩れている健太郎をなんとかなだめ、道彰の家に向かった。その途中、健太郎から聞かれた。

健太郎「一輝はどうなんだ?高校、上手くいってんのか?」
一輝「俺はなんとかやってるよ。特に何事もなく済んでる。」

何事もないことは正直ないけど、そこまで大きな影響も今のところないしな。心配されんのも嫌だし、黙っておこう。

健太郎「そうか、すげえな。やっぱ一輝俺らの中でも1人だけズバ抜けて賢かったもんな。」
一輝「んなことねえよ。」

…にしても、俺らのグループだった5人だけがノンケのままでこの世界のことに気付いてるのか。だから違うグループだった誠慈は気付いてないし、ゲイになった…。

俺らだけが、こんな目に…。
これってやっぱり、中学時代の…。

そして道彰の家に着いた。

一輝「鳴らすぞ…。」

ピンポーン

道彰の父「はい?」
一輝「あ、あの、道彰くんいますか?」
道彰の父「道彰?…ん〜、何の用ですか?」

一輝「道彰くんの友達なんですけど、ちょっと話したいなと思いまして…。」
道彰の父「友達?道彰の?」

少しの間、沈黙が流れる。

道彰の父「…道彰に友達なんかいません。」


ガチャ

一輝「あ、ちょっと待ってください!…切られた。」
健太郎「おいこれヤベえんじゃねえの。」

ピンポーン

もう一度インターホンを押す。でももう出てはくれなかった。

一輝「これ…完全に親にもバレてて受け入れてもらってないパターンだな。」
健太郎「なんだよ、親のくせに!…道彰、大丈夫かよこれ。」

ここで諦めて帰ったら道彰が…。でも、どうにも…。と、そのとき。

健太郎「おーい!道彰!いるんだろ!俺だよ!健太郎!出て来いよ!!話そうぜ!!」

家の中の道彰に聞こえるように大声で直接呼びかけるって…。
健太郎…そうか、こいつはそういうやつだったな。

一輝「道彰ー!中学のときの一輝だ!健太郎から話聞いた!出て来て話そうぜ!」

すると、2階の窓のカーテンが揺れた。隙間から道彰が顔を覗かせた。ホントに俺がいたから驚いたんだろう。一瞬ビクッとして、そして消えた。

出て来るかな。祈りながら待っていると、玄関から鍵を開ける音が聞こえた。来た、と思って見ていると、出て来たのは道彰の父さんだった。

道彰の父「ちょっと大声出すのやめてくれませんか…。周りにも家あるんですよ…。」
一輝「あ、すみません!でも、僕たち道彰くんと話したくて。」

道彰の父「道彰はなんも心配いらないんで!帰ってください!」
健太郎「いや、でも…。」
道彰の父「迷惑です!もうお願いなんで!」
一輝「一瞬だけ、ホントに…」

道彰の父「帰れっつってんだろ!!!」


………!!!
2人ともとっさに無言になった。これ以上粘っても逆効果だ。くそ、すぐそこに道彰はいるのに…。

諦めて帰ろうとしたそのとき。

道彰「一輝っっっ!」

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