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ジェネリックな天使

オリエンタル食材店で白菜だのもやしだの餃子だのを買って帰宅する。まあリスボンの人の多さ、観光客の多さといったらない。クリスマスマーケットも始まっているのでとんでもないことになっている。すべての経済活動が観光客を中心に回っている街に住むのは大変だろうな、ベネチアとか。引っ越して本当によかったと思いながら、さっさと帰ろうと(背が低いので)前が見えないほどの人混みをかき分けるようにコルメシオ広場を横切ってフェリー乗り場に向かう。

途中でふと背中に違和感を感じて後ろに手をまわすとなんとバッグが開いている。あれっと不安になり慌てて中を確認していたら、若い女性が「これを落としましたよ」といって私の赤い財布を渡してくれた!!!えええ〜〜〜〜、落としてたのか!」とものすごく動転してお礼すら口から出ないうちに彼女は人混みに消えてしまった。

はっとわれにかえって、彼女を探してお礼を言わなければと思い隣を歩いていた息子に「どんな女性だったか覚えてる?」ときいたら「ジェネリックな感じ」という。(ちっ役に立たねえな)

翌日、日本大使館から「移動や観光時はバッグやリュックを必ず前に持ち(背中にリュックを背負っていて、気がついたらリュックのチャックが開き、財布等の貴重品がなくなっていたという事案がよく報告されています)、周囲に不審者がいないか気をつけてください。最近の事例では、コルメシオ広場を観光している時に、、、」というメールが届いた。

もしあの時、スリにカバンを開けられたのか自分が閉め忘れたのかわからないが、もしあの時財布をなくしていたら、落としたまま気づかずに歩き去っていたら、IDもクレジットカードもすべてはいっている財布を失くしていたら、今どんな気持ちで年末を過ごしたかと思うとどんなに感謝してもしてもしてもし足りないぐらい彼女に感謝している。(日本と違って失くしたものが戻るとは思っていない)

彼女がどんな感じの女性だったかを思い出そうとしているうちに、私のなかではFreida Pinto (スラムドッグミリオネアの女優)と重なってきた。

Freida Pinto似の天使に会いました。