初めての逮捕 (少年時の記録)
6月4日
僕は逮捕された。
突然の逮捕状にはショックとそれを上回る好奇心、
今思えば奇妙な感情だった。
18歳の朝、8時頃だった。
仕事もロクにせずフラフラと毎日を過ごし、
夜は友達と溜まり、補導ばかりされていた。
そんな屑のような生活を過ごしていた僕を起こしたのは、インターホンの音だった。
「○○警察署のもんです。2ヶ月前、○○(共犯者の名前)に心当たりあるやろ?」
寝起きの僕に、
刑事は手帳を見せ鋭い目付きで言い放った。
「知らんな。」
そう言って必死に不自然な震えと挙動を隠した。
刑事は黒いスーツを纏い、7人程で来た。
僕に手帳を見せた刑事は他の刑事と目を合わせ
ニヤニヤしている。
僕は尋常じゃないほどに焦っていた。
自分が本当に捕まるだなんて思っていなかった。
いや、捕まる可能性はあるにしろ現実になるなんて
思ってもいなかった。
「札出とんねん。逮捕状な。」
刑事はそう言いながら逮捕状を見せつけた。
罪名は強盗致傷罪。
僕は混乱しながらも携帯を取り出しすぐに友達に
連絡をしようとしたが、その瞬間、刑事に腕を極められ携帯を取り上げられた。
そのまま、テレビでしか聞いたことないセリフを聞いた。
「ワッパかけろ。」
初めて手首に掛けられた手錠は、
想像よりも遥かに冷たく重かった。
そのまま家を後にして、車に乗り込んだ。