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Photo by
a7_nanago
セミの羽化を見た
小学校1年生の夏休みの夕方、当時住んでいたアパートの植え込みで、セミが脱皮しているのを見つけた。
同じアパートで一緒に遊んでいたヨシくんと、1学年上のケイスケくん、3人でしばらくの間見ていた。
だんだん暗くなってきて、夕食もある。
「明日の朝、脱皮したセミを捕まえよう」
誰かが言って、翌日朝6:00に集合という話でその日は解散した。
初めてセミの脱皮を見た私は、ワクワクしていた。
そして、脱皮したばかりのセミが白かったことの驚きや、見て感じた感動を熱心に父や母に伝えた。
そして「明日の朝にそのセミを捕まえるんだ」ということを楽しみにしていたし、そのことを両親にも伝えたはずだ。[
が、翌朝起きると、もう時間は7:00前だった。
「あれ?セミ!! 6:00集合だったのに・・・」
だれも起こしてくれなかったのか、それとも両親は私を起こすことを忘れてたのか・・・
「約束していたのに、やってしまった・・・」
そんな気持ちが強すぎて、起こしてくれなかった両親に怒ることもできなかった。
それどころか、起きれなかった自分がどこか恥ずかしい気がして、何もセミの件について触れることができなかった。
その後、ヨシくんとケイスケくんに昨日のセミを、今朝捕まえたものを見せてもらった。その時も「起きれなかった自分」「約束の時間に行かなかった自分」そんな自分のことを考えると、何か気まずい気がした。
もしかしたら彼らは朝6:00にウチにきて、母に「まだ起きていないよ」と言われたりしているのだろうか?
それとも、私のことはお構いなくセミを捕まえて解散したのだろうか。
恥ずかしいのか、疎外感なのか、悲しいのか・・・何だか分からない複雑な気持ちになった。