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便意との戦いと、オナラ

私の通っていた小学校は、昼休みが約1時間あった。
小学校3年生の時「パソコン室」という部屋の存在を知った。
パソコン室がその時からできたのか、3年生になって使用ができるようになったのか、はたまたパソコン室の存在に3年生の時に気が付いたのか・・・
細かい事は覚えていないが、パソコン室のパソコンで、「百人一首」のCDロムを入れて、「坊主めくり」をするのが流行っていた。
まだパソコンブームの火付け役となる「windows3.1」「windows95」とかが出てくる少し前の時代。それをやるために、開放の時間をパソコン室前の廊下に座って待っていた。
何人で遊ぶ予定だったか覚えていないが、友達と2人でパソコン確保のため並んでいた記憶はある。

廊下に座って待っていると、お尻に何かの刺激が・・・そう。ウンコだ。
学校でウンコをしたくなってしまったのだ。

やってきてしまった。ときどきやってくる、学校での試練の日。学校での試練の時間。
でも「今日は絶対に勝てる」という自信の持てる便意だ。今日も我慢してウンコの波をやり過ごす作戦を開始した。
我慢している最中、ガスがたまっていくのを感じた。
「あ、オナラ出そう・・・」
そう思った。だが、ここは学校。こんなところでオナラなんてできない。ましてや友達やほかの生徒も並んで待っている。しかし「このオナラを出せば、便意の波は楽になる」体のどこかのセンサーがそう検知している。

私はオナラをする決意を固めた。
それが、今までの人生の「ウンコ我慢」の経験と、私の体内センサーの検知結果、そこから私のスーパーコンピューターがはじき出したこの戦いの勝ち筋だった。
でもウンコ同様、人前でオナラだって重罪だ。そこで、誰にもバレずにオナラする、世間一般に言う「すかしっ屁」でこの戦いの勝負をつける決意をした。

音の正体は振動。中学1年生の理科で学習する内容であるが、小学校3年生ながら「オナラで音が出るのは、お尻の肉が振動するから」と分かっていた。だから、お尻の片方の肉を床に引っ掛けるようにし、片側のお尻を上げるようにして斜めに座ると、お尻の割れ目が広くなる。これで肛門周りの通気性を良くし、音が鳴るリスクを減らした。
そして肛門の筋肉をうまく使い、肛門の穴を大きく開けることも重要。
そしてもう一つ、気体の放出速度だ。放出の勢いが強ければ、絶対に音が鳴ってしまう。
肛門に神経を集中させて、放出速度が上がりすぎないように気をつけながら、ゆっくり腹圧をかけていく。お尻の肉を広げ、肛門の穴を筋肉で大きく広げながら・・・
3つのバランスを取りながらミッションを進める。
一つでもバランスを崩せばミッションは失敗だ。
そして静かに音もなく、放出が完了した。そして便意は消えた。

勝った。
勝ったのだ。
便意との戦いに勝利を収めた。
そして、オナラもバレずにできた。

その瞬間
「おい、臭ぇな。屁こくな」
隣に一緒に並んでいた4年生の男の子が言ってきた。
忘れていた…「すかしっ屁は、通常よりも臭い」ことを。
自分の鼻にも臭いが届く。確かにこれは臭い!!

しかし、ここでバレてはならない。ここでバレたら、先ほど述べた絶妙なバランスでの放屁の価値がなくなる。そして、ウンコした人と同じ、罪人だ!!
「俺じゃないっ。ホントだなんか臭いぞ。誰だよ!」
そう言って誤魔化す。
「じゃあ誰なんだ??」
犯人探しが始まる。4年生の男の子とその友達、そして私の友達が、犯人探しに盛り上がろうとした瞬間、それと同時くらいにパソコン室の鍵が開いた。
「助かった」
私はこうして危機から逃げ切ったのだった。

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