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毛が生えた日

「大人になると、大事なところに毛が生えます」
小学校5年生の時に保健体育の授業で教わった。

大事な場所に生える毛のこと、何て呼びます?
「おちんちん に生える 毛」だから「ちん毛」って私たちは小学校の時に言っていたので、ここでは「ちん毛」と呼びながら書き進めていきたいと思う。
ちなみに女の子の大事なところも「ちんちん」と呼ぶと思っていた(友人も含め)ため、女子に生えるものも「ちん毛」と言っていた。

小学校5年生の授業で「大人になるとちん毛が生える」と教わったものの、どこか遠い話で、当時は自分もそうなるなんて想像していなかった。デリカシーもなく、アホな小学生だったので友達と「ちん毛~」とか言って騒いでゲラゲラ笑ってた。
そうやって笑っていた自分たちが、まだ誰もちん毛が生える兆候もなかったからだろう、ちん毛など自分たちには一切関係ない遠いものだと思っていた。大人がもつ、汚い毛、ウンコと同列の笑いをとるワードだった。だから女の子に「おい、ちん毛生えたか?」とか言って女子をからかった記憶もある(女子の方がからだの成長が早いから本当に危険で失礼な発言をしていた自分が恐ろしい)
そんな意識たっだから、自分にちん毛が生えるなんて日が来るとは全く思っていなかった。

中学1年生の11月頃だった。
風呂に入っていてお湯に浸かりながらふと自分のちんちんをみた。
すると「きんたま袋」のところに、黒いひじきのような物が数個ついているように見えた。
(なぜか覚えていないが、黒く太くはっきりと見えた気がする)
そのうち一つをつまんではがそうと、引っ張った。

!!!!!!!!!!!!!
激痛が走り痛みのあまり「うわぁ~、いってぇ~」と声がでるほど。
電気が走ったような痛みが体中に走った。
「何なんだ、この付着物は!?」
よ~く観察を始めた。
片側が尖っていて、もう一方は丸くなっている。そう、毛の形をしている。
「なんで金玉にこんな毛がついてるんだ!?なんではがれないんだ!?」
なんだか大事件が起きている気がした。
トイレの変なところにちんちんが当たって、付いたのかな?
マジックペンの落書き!?
何かの怪我!?
何かの病気!?

その時ふと思い出した。小学校5年生の保健体育の授業を。
先生が「大人になると大事なところに毛が生える」といっていた。
「これがそうかぁ~」
大人の一歩を踏み出した気がした。
だけど散々今まで笑いのネタの言葉にした「ちん毛」が自分にも生えてしまった。恥ずかしいものが自分にも存在するようになって、一段と自分の裸姿が「他人には見せられない恥ずかしいもの」になった気がした。
それと同時に、また他人に裸を見られたくない理由ができ、学校の宿泊を伴う活動でお風呂に入りたくなくなる理由ができた。

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