効率化が会社を潰す...効率化の罠
高度情報化社会が到来してテクノロジーが変化し
コロナ禍により在宅勤務や働き方の変化が加速し
そんな時代が抱えた生産性向上という課題に対して、インターネットを開けば「効率化」という文字が溢れかえっています。
でも、効率化って...その本質は何なんでしょ?
〇 効率化の本質
業務効率化とは「ムリ」「ムダ」「ムラ」を取り除くことにより業務の生産性を高めることだと言われます。
つまり「インプット(時間・経費)の削減」を指しています。
8時間かかっていた仕事が4時間で済むよう効率化できたので仕事が楽になった...仕事が終わらず毎日残業していた場合には当然必要なことだと思います。
ただ、業務効率化をしただけでは組織の価値は何ら変わりません。
インプットが削減され目の前の経費が減り人員整理がされるだけです。
効率化によりインプットを減らして効率化前と同じ価値を生み出すことができるのであれば、その減らしたリソースを新たな業務の創造に振り向けられるか否かに本質的なキーポイントがあります。
〇 効率化と生産性向上
生産性の向上とは「より少ないリソースでより高い価値を生み出すこと」にあります。
ここでとても大切なのは「価値を高める」ことと「インプットを減らす」ことはそれぞれの取り組みが必要であり同一ではないということです。
もっと極端に言うと、業務効率化に囚われすぎると価値を高めるための取り組みや挑戦が非効率的に感じられてしまうという相反する性格を有していることに注意する必要があるということです。
〇 企業の目的
企業の目的は常に高い価値を生み出すことによる顧客満足の追求・顧客の創造にあります。
業務効率化により仕事が楽になっても...それだけでは大きな価値も意味もありません。
効率化にしろ生産性向上にしろ、最終的にはサービスの価値を高めることに結びつかなければ、企業として何の意味も持たないということなのです。
企業の目的はそれぞれの企業の外にある
( PF ドラッカー )
特に顧客満足・売上という明確な指標を持ちにくい間接部門の業務効率化に対しては明確な指標と貢献目標を示す必要があります。
顧客貢献意識や新たな挑戦や成長意欲、業務の拡充意識を失って業務効率化が単なる自部門の仕事を楽にすることが目的に置き換わってしまたときに組織は内部から腐り始めます。
それがどこの企業でも目にする「間接部門のお局化現象」です。
目的が価値を高めることにあるとすれば、効率化は生産性向上のプロセスの一部であり一手法であるということです。
「何のための、何をするための、何を創り出すための効率化なのか?」
それが大切なのです。
〇 効率化の罠と真の効率化
最終的にサービスの価値を高めることを目的にしない効率化は企業の革新や未来に挑戦する力をそぐことになります。
なぜなら、新しい仕事への取り組みは、経験もなく手間もかかり、失敗による無駄も発生する非常に非効率な挑戦だからです、
業務効率化はインプットを削減しムリ、ムダ、ムラを省きますが、それは限定的な現状の枠の中での効率化にしか過ぎずそこから真の効率化は生まれません。
真の効率化を図るには現在の業務を根本的に離脱し次のステージに進む必要があります。
現在の延長線上には次のステージを支える真の効率化は存在しません。
組織のミッションに基づいた根本的な視点から多面的、長期的戦略の基づく革新が必要です。
価値の創造という明確な目的を持たない安易な効率化は未来を閉ざし企業を衰退化させることを肝に銘ずる必要があります。