福島牝馬S
皐月賞は○コスモキュランダが2着、☆アーバンシックが4着となんとも惜しい結果になったが、コスモキュランダをちゃんと見抜けたのは素直に自画自賛したい。ジャスティンミラノは来たらしょうがないとは思っていたが、あそこまで強いとは思わなかった。あの折り合いの良さというか競馬のうまさは素直に評価。G1何個取れるかな。
さて、今週は福島牝馬Sから。福島1800mで1コーナーまでの距離は305mとローカルの中では比較的長いが、高低差は2m前後でほぼ平坦。直線は短く、芝の荒れ具合にもよるが最後方からの追い込みはほとんど届かない。3コーナーから押し上げていく馬の方が良い。ただし、最終週とは言え、Bコース替わりで内芝が復活する可能性が高い。
過去10年でBコース替わりだったレースを見ると、
2023年
上位4頭は外を通って、3着のクリノプレミアム以外は差し馬。ただし、この年は直線向かい風が強く、時計がかかって脚質にも影響を及ぼした。
2020年
番手追走のランドネが大穴を開けて3着。1着のフェアリーポルカ、2着のリープフラウミルヒはそれぞれ3コーナーからポジションを上げて差してきた馬。直線の進路も内~外とトラックバイアスはなさそうだが、基本は外差しだった様子。
2019年
トラックバイアスはなく、時計は標準よりやや遅い1,3着は3コーナーから押し上げて差してきた馬で2着のフローレスマジックは3コーナーで3番手追走から2着。ただし、どの馬も外を回しており、比較的外差しが優勢。
2018年
1着は4コーナー9番手から大外を差してきたキンショーユキヒメ。2着は逃げ馬で1番人気。3着は3コーナー6番手、4コーナー2番手と押し上げていったデンコウアンジュ。
2017年
1~3着は4コーナー後方にいた馬で独占しており、差し馬による決着。
2016年
2着のシャルールは4コーナー7番手から2着だが、1着と3着は前の馬でスローペースの前残り展開だった。
2015年
2着は番手追走からの4コーナー先頭。1,3着は3コーナー7番手から差してきた馬。
2014年
前の止まらない馬場で1着はケイアイエレガントの逃げ馬。ただしスローペース。2,3着も4コーナー2,3番手の馬で前残り決着が演出された。
ここまで見ていくと、Bコース替わりとはいえ、内芝のダメージをカバーしきれていない馬場となっており、外からの差しが決まりやすい。ただ穴をあける馬は前々で粘った馬が多く、淡々とマイペースで逃げる馬には要注意。トラックバイアスも前が有利とはいえない馬場が多く、あまり内外差はない。例年通りだと、最初は内有利だが、芝の傷みやすいコースであるため、重賞の頃にはトラックバイアスがなくなっている傾向にあると思われる。風や雨の影響が大きくなければ基本的には速い時計が出やすいため、時計のかかる馬場で台頭してくる馬は軽視したい。
というあたりを考慮に入れながら、予想していく。
現時点で除外馬はピンクジンのみ。
ウインピクシス
去年の福島牝馬Sは3番人気ながら先行して13着と大敗。直線は前をカットされたが、途中で動く馬に押し込められた形。とはいえ、差し決着に敗れており、展開は向いていなかった。一方で早めに手ごたえが悪くなっていたし、あまり揉まれるのには強くない。次走のクイーンSは3か月の休養明けで番手追走からの2着。内枠にも恵まれ、割と完璧な競馬をしての2着。相手が軽斤量馬のドゥーラでは仕方ない。ただ恵まれた展開で2着ということを考えるとちょっと足りないし、後ろの馬との着差も小さい。また洋芝条件ということもあり、時計のかかる馬場もプラスに働いたか。ここ3走は成績を残せておらず、3走前は各馬が内を開けて走っている中で内ラチ沿いを選択して勢いをそがれる。2走前も同様に馬場の悪いところを走り、16着。前走は愛知杯で先行してバテて13着。速いペースに巻き込まれていたし、やはりマイペースで淡々と行けることが大事。時計のかかる馬場の方がいいし、総合的に考えると今回はあまり食指の動かない脚質と成績。福島1800mはコース形態からも最初に速くなりやすく、前の馬にはスタミナが要求される。
エミュー
不良馬場のフラワーカップで勝利するもその後は奮わず。前走は中山金杯で鼻出血となってしまい、今回が鼻出血明け。4か月近く経っているし、鼻出血の影響はもうないだろう。不良馬場で勝っているように、時計のかかる馬場やぬかるんだ馬場が得意で、Bコース替わりで比較的時計の速い決着が想定される今回はあまり食指が動かない。ただ小回りは得意だろうし、展開が向けば3着くらいには来てもよいとは思う。輸送の影響もそんなに考慮しなくていいのはGood。
エリオトローピオ
まだ3勝クラスの馬で3勝クラスの成績も0-0-1-12と勝ち上がりも遠い馬。唯一3着に入ったのは阿武隈Sで今回と同じ舞台。福島のコースはかなり得意で福島成績は3-1-1-0。阿武隈Sでは早めに動いてしまい、2番手で4コーナーを迎えるもゴール前で差されて3着。去年の福島民報杯は50㎏という軽斤量で2着。斤量が軽いのもあったが、稍重で時計のかかる馬場だったのが好走の要因の1つ。馬格の小さい馬で中山の急坂は苦手で、右回りが得意かつ切れ味に欠けるということで東京も苦手。時計の速い馬場はどうかも、勝利は全て福島の圧倒的福島巧者であることを考えると、ここがベストではある。展開や枠に恵まれれば一発大穴を開けてもよいとは思う。時計面のみが心配。
エリカヴィータ
フローラS勝ちで斤量が唯一の56㎏。2走前のディセンバーSで4着となったが、重賞ではワンパンチ足りない。ブリンカーをつけたり、手探りの状態ではあるし、出遅れる癖がついてしまっている。小回りであっても4コーナーは後方で3コーナーからポジションを上げられないのでここはよほど鋭い脚を使えないと厳しいか。
カヨウネンカ
3勝クラスの馬で3勝クラスは0-0-0-6と一度も馬券なし。溜めれば速い上りは使えるが、3勝クラスでの馬券内の戦績がないので重賞だとやや力が足りていないか。ここは厳しいと思う。
キミノナハマリア
3勝クラスは1戦だけして1番人気4着。前走は左にモタれるところがありながら伸びに欠いた。2走前の2勝クラス1着が優秀な内容で前走だけで見限るのは速い。2勝クラスは6馬身差の圧勝だし、休み明けは基本的に戦績が良い。ただ前走の敗因として時計が速いというのがあげられるので、コース替わりで時計の速くなる福島だと分が悪いか。馬格のある馬でスタミナもあるので先行しても十分。ただ2勝クラスの圧勝を考慮するとやや人気しそうな感じもある。
グランベルナデット
秋華賞で狙ったが、惨敗。一度立て直しを図った前走がスムーズに立ち回りつつ、理想の形で運んで1着。展開面が向いたこともあるが、自己条件のハンデ戦で54㎏背負っての勝ちと考えると、別定戦の55㎏での勝負はやや分が悪い。個人的な格言でハンデ戦で軽量だった馬の次走は軽視というのがあるのでここは素直に軽視してもよいかも。ハンデ自体は他の牝馬と同じではあるが。何よりも2走前の良馬場での自己条件で普通に走って普通に伸びを欠いて負けた内容が微妙。
ただし、秋華賞のメモでは
”前走は紫苑Sで1番人気も10着と大敗。オークスは腸炎で回避しており、前走が休み明け。紫苑Sは馬場の割に時計がかなり速く、好位を取れたとは言え、外を回された上に展開も速く、きつい展開。腸炎で休養していた時期もあるし、休み明けで万全の仕上げではなかったと思われる。忘れな草賞の時計はかなり速く、同日に走ったセイウンハーデスと0.3秒差。初の関西輸送とはなるが鞍上は松山だし、前走からの上積みにも期待したい一頭。忘れな草賞は評価したい。”
と書いてあり、時計自体は速いものを持っている。稍重以上が苦手な馬という目で見ると良馬場ならチャンスは十分にあるか。
ただどちらかといえばスローからの瞬発力勝負みたいなレースが得意でペースが速いと追走に苦労するかもしれない。2000mを主戦場としていたのも加味すると軽視する要素も十分にある。
コスタボニータ
前走は中山牝馬Sで5着。稍重の馬場で展開も途中でマクってくる馬がいて、窮屈な競馬を強いられてしまった。最後は馬群を捌いて伸びてきたが、差は詰められず。
以下は前走のメモ。
”阪神牝馬Sは内枠で恵まれた結果だと思い、その後はことごとく軽視したが、意外と走ってくる。3走前の府中牝馬Sは得意の東京コースだったが、8着。時計が速かったり、直線のキレ負けを考えると少し足りない内容。次走のディセンバーSはコーナー4つの中山で今回と同じ舞台で2着。小回りコースの方が結局得意そうで直線もスムーズで前が開き、反応良く抜け出すも最後にさされた。前走は愛知杯で3着。小倉開催でトップハンデの中でインを攻めて最後200mで脚色が衰えた。おそらく2000mは少し長い。またこれまでのオープンクラスのレースはほとんど内枠に入って内を突いて好走しており、大外枠だったメイSは好位でいっぱいになった。基本は内枠から好位で競馬するのが理想で外枠に入った場合は要注意。割と馬場と展開に恵まれている印象。”
速い時計にはあまり対応ができず、内枠が得意な馬。1800mはベストだが、多頭数の外枠に入ると厳しい。先行して粘るタイプでもあるので、枠順とポジションが大事な馬。
シンリョクカ
前走は中山牝馬Sで3着。
以下は前走のメモ。
”秋華賞ではなく3歳時は古馬戦に挑んで府中牝馬S10着、エリ女9着、前走は古馬になって日経新春杯で10着と奮わず。ズブさが出てきているようで府中牝馬Sは外枠が災いしたものの、エリ女は大外から伸びがひと息。前走はいいスタートを切れたが、流れてしまったため、ハイペースで先行させられてキツい競馬になった。切れ味勝負だと分が悪く、時計が速いのもあまり良くはなさそう。重馬場は却って良いかもしれない。斤量は54kgだが、この舞台は比較的期待しても良さそう。”
前走はしっかりと評価できて3着。鞍上も継続騎乗で内枠からスムーズに運べたのも好走の要因。馬場は悪くない方がよく、時計勝負もおそらく対応できる。小回りも問題ないだろうし、多少の人気はやむなしも、ここは普通に買い時。
タガノパッション
小倉巧者ではあるので福島も比較的得意だとは思う。そもそも中山牝馬Sでは展開も向かないと考えていたので軽視したし、結果的に6着で馬券には入らなかった。まだ3勝クラスの馬で別定の重賞は初めて。ただ前走は軽視した割には最内を突いてしっかり伸びてきたし、この馬らしい競馬はできた。福島牝馬Sは差しも決まるレースではあるので展開次第では馬券に来てもよい能力はある。ただ常に4コーナーは後方なので届かない可能性の方が高い。もう少し開催の進んだ福島なら届いていたかもしれないが、Bコース替わりだと分が悪い。
トーセンローリエ
リステッド勝ちでオープン馬ではあるが、ここ3走は桜花賞、クイーンS、京成杯AHで重賞3走するもすべて掲示板外。重賞ではやや足りていないというのが素直な評価。京成杯はハンデ52㎏で3コーナー過ぎからペースアップしたところでプレッシャーをかけられて後退。牡馬相手だと見劣りする。2走前はクイーンSで51㎏だったが、枠が悪く、最後は伸びるも6着まで。桜花賞はそもそも枠順で負けていたのでやむなし。
ただ、この馬の春菜賞は当時の出来で同開催の3勝クラスと0.3秒差という時計で走破しており、アネモネSはここ5年では最速のタイムとなっている。折り合いは問題ない馬でアネモネSではコンクシェル相手に半馬身差先着できている馬。牝馬相手ならもっとやれてもいい馬。
ファユエン
3走前に関ケ原Sを勝利し、オープン入り。2走前の新潟記念は6番人気8着。ハンデ53㎏だったが、勝負所でのギア入りがゆっくりでスムーズさに欠いた。前走は府中牝馬Sで12着だったが、完敗。前走を見る限りでは重賞は厳しい。しんがりから大して差を詰められなかったあたり、1800mのペースも合わないのだろうと思う。ここは軽視妥当。
フィールシンパシー
ターコイズSで2着になったが、次走のニューイヤーSは9着。前走は中山牝馬Sで4着となっており、牝馬相手ならまあまあ通用する。前走は1800mが少し長かったし、大外枠から番手を取る競馬になったのでつらい競馬になった割には4着だった。1800mは少し長いが、慣れも見込める。ただ時計のかかる馬場がよかったうえに内が有利な馬場でもあったので前走から比べると妙味はない。前走はククナ以外前残り決着しているのもあり、ここも展開の恩恵は欲しいところ。
ペイシャフラワー
まだ3勝クラスで3勝クラスは2戦連続完敗。センテニアル・パークステークスにも登録しているようだし、本命はそちらか。
ライトクォンタム
シンザン記念勝ちも折り合いはあまりよくない。クイーンSは逃げて惨敗しており、距離が長いかもとコメントがある。ターコイズSはやや細いが、力み加減もうまくなだめて、少しずつペースを上げていくも伸びは一息。前走は小倉日経OPで2000mへの延長だったが、むしろこれで良く3着に着たという印象。今回も折り合いはカギで、前走は力みがありながらもなんとか粘っての3着。正直折り合い面では軽視。ただ牡馬相手にも勝っているので能力としては上位。
ラリュエル
前走が豊橋S勝ちで今回が昇級戦。とはいえ、3歳の時にはチューリップ賞やローズSにも出走している。ローズSは先行して4着に粘っており、能力はありそう。前走はリズムよく走り、先行して向正面からは後続に
0.8秒差の大逃げを打ってそのまま逃げ切り。今回も行けたら行くという競馬だろうが、1800mは少し長い印象。前走はマイルで一皮むけたという感じがするので、ここで距離を延長してくるのはプラスとは言えない。馬体重も減らしがちで毎回休み明けがベストな馬。叩き2戦目だと毎回成績が落ちるので、今回は軽視。
枠によるところは大きいと思うが、現時点での印は
◎シンリョクカ
〇トーセンローリエ
▲キミノナハマリア
☆エリオトローピオ
△エミュー(展開次第)、コスタボニータ(枠次第)、タガノパッション(展開次第)、ライトクォンタム(折り合い不安)
正直あまり積極的に買いたいなという馬がいない。その中でもシンリョクカは一番軸に最適かなと思う。グランベルナデットもコスタボニータもウインピクシスも不安要素が結構大きい。故にオッズは結構割れると思うが、その中で妙味を見出すのならトーセンローリエとエリオトローピオあたりとみている。ここら辺からワイドで大きいところを取れれば良いかなという気持ち。
4/19追記
枠が決まったので追記。3番ピンクジンはカヨウネンカ回避で繰り上がり出走となったが、力は足りていないと判断して軽視。
1番コスタボニータ
内枠の時に好走しがちな馬で小回り、立ち回りがうまいのだろう。今回は内枠に入ってしまったのでさすがに抑えざるを得ない。ただそれでも勝ち切るだけの力はなく、展開の恩恵も欲しいところ。また最内に進路を取る場合、芝が荒れている可能性があるのでそういう点でも頭はちょっと考えにくい。
5番トーセンローリエ
枠は悪くない。鞍上も丹内で小回りが得意だし、内はコスタボニータとペイシャフラワーがいるくらいでそこまで激しいポジション争いにもならなさそう。スタートを決めれば逃げにも出られるが、基本的にはインのポジションは取りやすいと思う。
6番エリオトローピオ
ポジションはちょっと読みにくいが枠なりに出てレースをしてほしい。福島は得意なのでそのあたりを味方につけてどうか。
8番ウインピクシス
今年は真ん中の枠に入ったので去年のようにインで揉まれるようなことはないだろうと思う。内の馬に逃げたい馬がいないのでここはウインピクシスが逃げるという展開でも良いとは思う。その場合は好走するかもしれない。
10番キミノナハマリア
少し時計面が心配だが枠は普通。
11番タガノパッション
どうせ後ろからになるので枠はどこでもよいだろう。
12番ラリュエル
一番逃げたいのはおそらくラリュエルで、折り合いもあまりよいほうではないのでハイペースを演出するとしたらこの馬。そのハイペースに巻き込まれたくないのはウインピクシスだろう。
13番ライトクォンタム
輸送が心配だし、外枠に入ったので前に壁を作って折り合いをどうにかできるかどうか。
14番フィールシンパシー
この馬としては外枠には入りたくなかっただろうと思う。おそらく外から好位につける競馬をすると思うが、距離が微妙なこの馬にとって1800mで外を回されるのは厳しい。
15番シンリョクカ
枠は良いとは言えないが、差しの決まりやすいレースでポジションもごちゃ突かない好位の外あたりにつける競馬ができれば…。
16番グランベルナデット
好位の外につける競馬を希望していると思うが、先行集団として内にはフィールシンパシー、ラリュエル、ウインピクシスがいるし、内の各馬もポジションを取っていくとなると、大外からうまく競馬をするためには強引にでもポジションを取りに行く必要がある。末脚にかけても良いが、これまでのレースで1着だったパターンは全て4コーナー3番手以内。2000mに比べてペースも速くなるし、外で追走に苦労する可能性も十分にある。
最終の印は
◎シンリョクカ
〇トーセンローリエ
▲エリオトローピオ
☆コスタボニータ
△キミノナハマリア
この5頭で行きたい。ここまで絞ると3連系はヒモ抜けとかが大いにあり得るが、ここはワイド狙いで行く予定。