惑星のサイズは居住可能性の絶対的な基準ではない
地球型惑星の冷却と居住可能性(=生命が生存可能かどうか)についての研究がarXivに掲載されている(https://arxiv.org/abs/2102.01077)。地球型惑星(=岩石惑星)は高温の状態で生まれて次第に冷却されていく。惑星内部の熱は、惑星表面に、惑星の居住可能性に必要な地質活動をもたらす。これらのことから、惑星内部の冷却がゆっくりしているほど長期的な居住可能性に有利と考えられている。惑星の冷却速度を決める重要な要素はそのサイズ(半径や質量)だ。惑星が小さくなるほど体積に対する表面積の比が大きくなり、熱を保ちづらくなる。このためある閾値(研究により異なる)よりも小さい惑星を一律に居住可能と見なす取り扱いが一般的になされてきた。
今回の研究の著者らは、惑星のサイズ以外の要素について、これまで十分に考慮されてこなかったと指摘し、プレートテクトニクスに支配される地球型惑星を想定して、惑星の質量や冷却に関するパラメータを変えながら、100億年の期間にどのように惑星内部が冷却されるかを計算した。その結果、条件によっては、5~10倍の質量差を覆して、小さい惑星が大きい惑星よりもゆっくりと冷却する場合があることが分かった。質量は冷却速度を決めるパラメータの1つに過ぎず、岩石の組成などの他の要素も惑星の冷却を大きく左右しうることを示す結果だ。著者らは、単純に質量だけで判断してその惑星を居住可能な惑星の探査の対象から外すべきではないとしている。
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