残念!高血圧の定義は変わらないのよ
国際的な基準、循環器関連の学会のガイドライン、日本でのガイドラインでは、高血圧症の定義は何でしょうか?
高血圧症の定義は、国際的な基準や循環器関連の学会、日本のガイドラインによって若干異なります。以下にそれぞれの定義を示します。
国際的な基準(WHO)
世界保健機関(WHO)は、高血圧症を次のように定義しています:
収縮期血圧(SBP)140 mmHg 以上、または
拡張期血圧(DBP)90 mmHg 以上
アメリカ心臓協会(AHA)およびアメリカ心臓学会(ACC)のガイドライン
2017年に改訂されたガイドラインでは、高血圧症を次のように定義しています:
収縮期血圧130 mmHg 以上、または
拡張期血圧80 mmHg 以上
日本高血圧学会(JSH)ガイドライン
2022年に改訂された日本高血圧学会(JSH)ガイドラインでは、高血圧症を次のように定義しています:
収縮期血圧140 mmHg 以上、または
拡張期血圧90 mmHg 以上
欧州高血圧学会(ESH)および欧州心臓学会(ESC)のガイドライン
2018年に発表されたガイドラインでは、高血圧症を次のように定義しています:
収縮期血圧140 mmHg 以上、または
拡張期血圧90 mmHg 以上
これらの定義に基づき、治療の開始や目標値が決定されますが、個々の患者のリスクファクターや全体的な健康状態も考慮されます。
年齢で調整される必要はあると思うのですが?
年齢に応じた高血圧の管理は重要ですが、定義自体は年齢に関係なく統一されています。以下に年齢による調整が必要な理由と考慮点を示します。
高齢者の高血圧管理
高齢者においては、血圧が高い状態が長期間続いていることが多く、動脈の硬化が進んでいる場合があります。このため、高齢者の高血圧管理は慎重に行う必要があります。
考慮点
血圧目標値の設定
高齢者では、過度に低い血圧を目指すと、転倒や脳梗塞のリスクが高まる可能性があります。
一般的に、高齢者では140/90 mmHg未満を目標とすることが多いですが、個々の健康状態により調整されます。
薬物療法の選択
高齢者は多くの薬を使用している場合があり、薬物相互作用や副作用に注意が必要です。
利尿薬やカルシウム拮抗薬が選ばれることが多いですが、個別の状態に応じて他の薬剤が使用されることもあります。
非薬物療法
食事療法(塩分摂取の制限)、運動療法(適度な運動)、体重管理などが推奨されます。
若年者の高血圧管理
若年者における高血圧は、将来的な心血管リスクが高いため、早期の介入が重要です。
考慮点
血圧目標値の設定
若年者では、一般に130/80 mmHg未満を目標とします。
高リスク群(糖尿病、腎疾患など)の場合は、さらに低い目標が設定されることがあります。
生活習慣の改善
若年者は生活習慣の改善によって血圧がコントロールされることが多いです。
運動、食事(塩分やアルコールの制限)、ストレス管理が重要です。
結論
年齢により血圧管理のアプローチは異なりますが、高血圧の定義自体は統一されています。年齢に応じた個別の治療計画を立てることが重要です。医師と相談しながら、最適な管理方法を見つけることが推奨されます。
塩分感受性の高血圧患者以外には、あまり塩分摂取制限に効果はなさそうですね。
塩分摂取制限が高血圧の管理に有効であるかどうかは、患者の塩分感受性によるところが大きいです。しかし、一般的には塩分摂取制限は多くの高血圧患者に効果があります。以下に理由と背景を詳しく説明します。
塩分感受性と高血圧
塩分感受性の高血圧患者
これらの患者は塩分摂取量に対して血圧が敏感に反応します。
塩分摂取を減らすことで、血圧が顕著に低下します。
塩分感受性の低い患者
塩分摂取量に対する血圧の反応が鈍い患者もいます。
これらの患者では、塩分摂取制限が直接的な血圧低下に結びつかない場合があります。
一般的な効果
塩分摂取制限は、以下の理由から高血圧管理の基本的な戦略の一つとされています。
広範な研究による支持
多くの研究で、全体としての塩分摂取量を減らすことで集団の平均血圧が低下することが示されています。
高血圧予防の観点からも、塩分摂取量の削減は推奨されています。
合併症の予防
塩分摂取が過剰な場合、高血圧だけでなく心血管疾患や腎疾患のリスクも増加します。
塩分摂取を減らすことで、これらの疾患のリスクを減らすことができます。
他の健康効果
減塩は、体重管理や腎機能維持、さらには一般的な健康状態の改善にも寄与する可能性があります。
個別対応の重要性
塩分感受性の程度やその他のリスクファクターは個々の患者によって異なるため、医師と相談しながら以下の点を考慮した個別の治療計画を立てることが重要です。
塩分感受性の評価
医師は、患者が塩分感受性が高いかどうかを評価し、適切なアプローチを提案します。
総合的な生活習慣の改善
減塩以外にも、適度な運動、健康的な食事、体重管理などが重要です。
薬物療法の調整
塩分摂取制限だけでは十分でない場合、適切な薬物療法が併用されることがあります。
結論
塩分摂取制限は、特に塩分感受性の高い高血圧患者にとって有効ですが、感受性の低い患者でも全体的な健康改善に寄与する可能性があります。個別の健康状態に応じたアプローチが最も重要です。
近年、高血圧の診断基準を高い方にシフトするという噂があります。
近年、高血圧の診断基準についての議論が続いていますが、基準を大幅に高くする方向へのシフトは確認されていません。むしろ、いくつかのガイドラインでは高血圧の診断基準を厳しくする傾向があります。以下は最新の高血圧診断基準と治療目標に関する情報です。
国際的な基準とガイドライン
アメリカ心臓協会(AHA)およびアメリカ心臓学会(ACC)
欧州高血圧学会(ESH)
診断基準:140/90 mmHg 以上
治療目標:
65歳未満の成人:130/80 mmHg 未満
65歳以上の高齢者:140/90 mmHg 未満
80歳以上の高齢者や孤立性収縮期高血圧の患者:140〜150 mmHg (American College of Cardiology) (Mayo Clinic)。
日本高血圧学会(JSH)
診断基準:140/90 mmHg 以上
治療目標:
65歳未満:130/80 mmHg 未満
65歳以上:140/90 mmHg 未満 (BJGP)。
新しい動向
高血圧の管理において、特に高齢者では個別のリスクと利益を評価することが推奨されています。例えば、英国のNICEガイドラインでは、80歳以上の患者に対しては150 mmHg までの収縮期血圧を許容する場合があります (BJGP)。
結論
最近のガイドライン更新では、高血圧の診断基準を高くするという方向性は見られず、むしろ個々の患者のリスクに応じた柔軟なアプローチが求められています。診断と治療の基準は地域や学会によって異なるため、患者ごとの最適な管理を医師と相談することが重要です。
20~30年前の高血圧診断基準は、もっと高かったですよね。
20~30年前の高血圧診断基準は、現在の基準よりも高かったことは事実です。以下にその変遷を示します。
20~30年前の基準
1990年代から2000年代初頭にかけて、一般的に高血圧と診断される基準は現在よりも高く設定されていました。以下は主なガイドラインの例です。
1993年 日本高血圧学会(JSH)
診断基準:
収縮期血圧(SBP)160 mmHg 以上、または
拡張期血圧(DBP)95 mmHg 以上
1997年 Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure (JNC 6)
診断基準:
収縮期血圧(SBP)140 mmHg 以上、または
拡張期血圧(DBP)90 mmHg 以上
現在の基準との比較
現在の基準と比較すると、以下のように変化しています。
現在の基準(例)
アメリカ心臓協会(AHA)およびアメリカ心臓学会(ACC)(2017年改訂)
診断基準:130/80 mmHg 以上
日本高血圧学会(JSH)(2022年改訂)
診断基準:140/90 mmHg 以上
診断基準の変遷の理由
診断基準の変更は、多くの研究結果や臨床データに基づいています。特に、以下の点が影響しています。
心血管リスクの理解の進展:
収縮期血圧および拡張期血圧が130/80 mmHg以上であると、心血管疾患のリスクが顕著に増加することが示されています。
予防の重要性:
早期に高血圧を診断し、管理することで、将来的な合併症(心臓病、脳卒中、腎疾患など)を予防することが可能です。
ライフスタイルの改善:
食事、運動、体重管理などのライフスタイルの改善が、より低い血圧目標を達成するために有効であることが確認されています。
まとめ
20~30年前の高血圧診断基準は現在よりも高かったですが、最近の研究と臨床データに基づき、より低い血圧目標が推奨されるようになっています。これは、早期の介入と予防が、心血管疾患のリスクを減少させるために重要であるという認識の高まりによるものです。
個人的には、メガファーマから当時降圧剤が多数出てきて、売上向上のために診断基準に影響を与えたように思いました。
診断基準の変更が製薬会社(メガファーマ)の影響を受けた可能性についての懸念は、多くの人々によって共有されています。この懸念にはいくつかの根拠があり、以下にその背景と影響を示します。
背景と根拠
高血圧診断基準の変更
1990年代から2000年代にかけて、高血圧の診断基準が引き下げられた背景には、複数の要因が考えられます。その一つに、製薬会社の影響が挙げられます。
製薬業界の影響
研究資金の提供:
製薬会社は多くの臨床研究に資金を提供しており、その結果がガイドラインに影響を与えることがあります。
例えば、降圧薬の有効性を示す研究に製薬会社が資金提供を行っている場合、その結果が診断基準の変更に寄与する可能性があります。
マーケティング活動:
製薬会社は新しい基準に基づく治療法を積極的に宣伝することがあります。これにより、医師や患者に対する新しい治療法の認知度が高まります。
利益動機:
診断基準の引き下げは、新たな患者層の創出を意味し、降圧薬の市場が拡大する可能性があります。
具体例と議論
以下の文献や記事でこの問題について議論されています。
The Lancet:
記事「Pharmaceutical industry sponsorship and research outcome and quality: systematic review」では、製薬会社の資金提供が研究結果に与える影響についてのメタアナリシスが行われています。この研究は、製薬会社が資金提供する研究が、資金提供者に有利な結果を出す傾向があることを示しています。
BMJ:
記事「Why we can't trust clinical guidelines」において、ガイドライン策定過程における利益相反の問題が指摘されています。特に、ガイドライン委員会のメンバーが製薬会社からの資金提供を受けている場合、そのガイドラインがどのように影響を受けるかが議論されています。
American Journal of Public Health:
記事「The Influence of the Pharmaceutical Industry on Healthcare Practitioners' Prescribing Patterns」では、製薬会社のマーケティング戦略が医師の処方行動にどのように影響を与えるかについての調査結果が報告されています。
まとめ
高血圧の診断基準が変更された背景には、複数の要因が絡んでいますが、製薬会社の影響も一因として挙げられます。この問題に関しては、透明性の確保と利益相反の管理が重要です。診断基準の改訂が患者の健康に最善の結果をもたらすよう、独立した科学的証拠に基づいて行われることが求められます。
降圧剤の市場は大きいですからね。基準を10mmHg下げただけで、売上は相当増えますね。
降圧剤の市場規模は非常に大きく、診断基準の変更が薬の売上に与える影響も無視できません。以下にその背景と影響を詳しく説明します。
降圧剤市場の規模
降圧剤は高血圧の治療に用いられる主要な薬であり、心血管疾患の予防にも重要です。世界中で数多くの患者がこれらの薬を使用しており、市場規模は非常に大きいです。2019年のデータによると、降圧剤市場は約600億ドルに達しており、年々増加しています。
診断基準の影響
診断基準が10mmHg引き下げられることは、以下のような影響をもたらします。
患者数の増加:
高血圧と診断される患者数が増えるため、治療を必要とする人が増えます。
例えば、米国心臓協会(AHA)と米国心臓学会(ACC)の2017年のガイドライン変更により、高血圧の診断基準が140/90 mmHgから130/80 mmHgに引き下げられました。これにより、米国内で高血圧と診断される患者数が約3100万人増加しました (AAFP) (Mayo Clinic)。
薬剤の売上増加:
新たに診断された患者が降圧薬を処方されることにより、薬剤の売上が増加します。
診断基準が10mmHg引き下げられることで、降圧剤の需要が急増し、市場規模が拡大することが予想されます。
製薬会社の利益:
新しい診断基準に対応するために、製薬会社はマーケティング活動を強化し、新製品を市場に投入することができます。
これにより、製薬会社の利益が増加し、さらなる研究開発投資が促進されます。
薬剤使用の増加とその影響
薬剤使用の増加には、いくつかのメリットとデメリットがあります。
メリット
予防効果:より多くの患者が治療を受けることで、心血管疾患の発症リスクが低減され、健康寿命が延びる可能性があります。
健康管理の向上:早期診断と治療により、患者の健康状態が改善されることが期待されます。
デメリット
薬物依存:多くの患者が薬物治療に依存するようになるため、薬物の副作用や相互作用が懸念されます。
経済的負担:薬物治療の増加に伴い、医療費が増加し、患者や保険システムに経済的負担がかかる可能性があります。
まとめ
降圧剤市場は非常に大きく、診断基準の引き下げは薬剤の売上増加に直結します。このため、製薬会社が診断基準の変更に影響を与える可能性についての懸念もあります。患者の利益を最優先に考え、独立した科学的証拠に基づいた診断基準と治療ガイドラインの策定が重要です。
降圧剤には、カルシウムブロッカー、βブロッカー及び利尿薬がありますが、どの系統が第一選択でしょう?
降圧剤の第一選択薬は、患者の健康状態や特定のリスクファクターによって異なる場合があります。一般的には以下の薬剤が第一選択として推奨されています:
主要な降圧剤のカテゴリーとその使用法
カルシウムチャネルブロッカー(CCB)
使用例:アムロジピン、ニフェジピン
適応:高齢者やアフリカ系アメリカ人の患者に効果的
利点:血管の弛緩を促進し、血圧を下げる
副作用:浮腫、頭痛、動悸
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
使用例:ACE阻害薬(リシノプリル)、ARB(ロサルタン)
適応:糖尿病や腎疾患のある患者に適応
利点:腎保護作用があるため、糖尿病患者に適している
副作用:乾いた咳(ACE阻害薬)、高カリウム血症
利尿薬
使用例:ヒドロクロロチアジド
適応:広範な患者群に使用可能
利点:体内の余分な水分を排出し、血圧を下げる
副作用:電解質異常(低カリウム血症)
βブロッカー
使用例:メトプロロール、アテノロール
適応:心疾患のある患者に適応
利点:心拍数を低下させ、心臓の負担を減らす
副作用:疲労、抑うつ、気管支収縮
ガイドラインによる推奨
アメリカ心臓協会(AHA)およびアメリカ心臓学会(ACC)
日本高血圧学会(JSH)
推奨薬剤:CCB、ACE阻害薬、ARB、利尿薬が推奨されています。特に、日本では高齢者に対してCCBがよく用いられます (BJGP)。
適切な薬剤の選択
適切な降圧剤の選択は、患者の個々の健康状態、年齢、併存症、および特定のリスクファクターに基づいて行われます。例えば、糖尿病患者にはACE阻害薬やARBが推奨される一方、高齢者にはCCBがよく用いられます。医師と相談し、最適な治療計画を立てることが重要です。
日本の高血圧学会から、注意喚起が以下の通りなされていますね。
特定健診の第4期(令和6年度から)用いられている血圧の受診勧奨判定値につい て、一部で基準が変ったという誤解が広まっています。
厚生労働省による「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度度版)」の受診 勧奨判定値を超えるレベルの対応についてこの内容は、以下のようになっており、これは、日本高血圧学会による高血圧治療ガイドライン2019年版の推奨と同じです。
● 収縮期血圧≧160mmHg又は拡張期血圧≧100mmHg → ①すぐに医療機関の受診を
● 140mmHg≦収縮期血圧<160mmHg又は90mmHg≦拡張期血圧<100mmHg → ②生活習慣を改善する努力をした上で、数値が改善しないなら医療機関 の受診を
今回の誤解は、2つの記載の①だけを強調されたものと考えられます。
日本高血圧学会からの注意喚起について、以下のように整理します。
背景
特定健診の第4期(令和6年度から)の血圧の受診勧奨判定値に関して、基準が変わったという誤解が広まっています。この誤解に対する注意喚起が、日本高血圧学会から出されています。
厚生労働省の受診勧奨判定値
厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」では、以下の基準が設けられています。この基準は、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019年版に準拠しています。
収縮期血圧が160mmHg以上または拡張期血圧が100mmHg以上
対応:すぐに医療機関を受診することが推奨されます。
収縮期血圧が140〜159mmHgまたは拡張期血圧が90〜99mmHg
対応:生活習慣を改善する努力をし、その後も数値が改善しない場合は医療機関の受診を推奨します。
誤解の原因
今回の誤解は、特に収縮期血圧が160mmHg以上または拡張期血圧が100mmHg以上の基準(①)だけが強調され、他の範囲(②)が十分に理解されていないことに起因していると考えられます。
注意点
医療機関の受診:特に高血圧の重症化リスクが高い場合、迅速に医療機関を受診することが重要です。
生活習慣の改善:血圧が軽度に高い場合、生活習慣の見直しが有効です。食事、運動、ストレス管理などが推奨されます。
結論
高血圧の管理には、正確な情報に基づいた適切な対応が求められます。日本高血圧学会のガイドラインに従い、個々の健康状態に応じた対応が重要です。誤解を避けるためには、基準全体を正確に理解し、適切な行動を取ることが推奨されます。
140mmHg以上、160mmHg未満が、高血圧ではなくなったわけではないということですね。
そうです。140mmHg以上、160mmHg未満の血圧は依然として高血圧とされ、適切な管理が必要です。特定健診の第4期(令和6年度から)の基準では、140~159mmHgの収縮期血圧、または90~99mmHgの拡張期血圧は依然として高血圧の範囲に含まれます。
詳細
血圧の受診勧奨判定値
収縮期血圧が160mmHg以上、または拡張期血圧が100mmHg以上
対応:すぐに医療機関を受診することが推奨されています。
収縮期血圧が140~159mmHg、または拡張期血圧が90~99mmHg
対応:まず生活習慣の改善を試み、その後も改善が見られない場合は医療機関の受診を推奨されています。
誤解について
今回の誤解は、特に高血圧の診断基準が変わったという誤解が広まっていることによるものです。しかし、実際には基準が変わったわけではなく、特に高血圧の重症度に応じた対応の強調が異なるだけです。
現在の高血圧の定義
140/90 mmHg以上は依然として高血圧と定義されています。
生活習慣の改善:140~159mmHgの収縮期血圧または90~99mmHgの拡張期血圧の場合、生活習慣の改善が推奨されます。これには、塩分摂取の制限、体重管理、適度な運動、禁煙、アルコールの制限などが含まれます。
まとめ
140mmHg以上、160mmHg未満の血圧は依然として高血圧の範囲に含まれ、適切な対応が求められます。日本高血圧学会のガイドラインに従って、生活習慣の改善や必要に応じた医療機関の受診が重要です。誤解を避けるために、ガイドライン全体を正確に理解し、適切な行動を取ることが大切です。
生活習慣などの見直しで改善は見込まれるため、薬剤治療が必須かどうかは、医師の判断次第でしょうね。
おっしゃる通り、140~159mmHgの収縮期血圧や90~99mmHgの拡張期血圧に対する治療は、生活習慣の見直しがまず推奨され、その効果によって薬剤治療が必要かどうかは医師の判断によります。以下に、生活習慣改善の有効性と薬物治療の必要性に関する詳細を示します。
生活習慣の改善
高血圧の管理において、生活習慣の改善は非常に重要です。これには以下のような取り組みが含まれます:
塩分摂取の制限:ナトリウム摂取を減らすことで、血圧が低下します (AAFP)。
健康的な食事:野菜や果物を多く摂取し、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の少ない食事を心がけます。DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食事法が推奨されています (BJGP)。
体重管理:適正体重を維持することが血圧の管理に役立ちます。
定期的な運動:週に少なくとも150分の中強度の有酸素運動が推奨されています (Mayo Clinic)。
アルコールの制限:適度な飲酒にとどめることが推奨されています。
禁煙:喫煙は血圧を上げる要因の一つであり、禁煙が推奨されます。
薬剤治療の必要性
生活習慣の改善だけでは血圧が目標値に達しない場合、薬剤治療が検討されます。薬剤治療の開始は医師の判断に依存し、以下の要因が考慮されます:
血圧のレベル:収縮期血圧が160mmHg以上、または拡張期血圧が100mmHg以上の場合、即座に薬剤治療が推奨されることが多いです (BJGP)。
合併症の有無:糖尿病、腎疾患、心血管疾患などの合併症がある場合、より積極的な治療が必要となることがあります (Mayo Clinic)。
生活習慣改善の効果:生活習慣の改善を行った後も血圧が高い場合、薬剤治療が検討されます。
結論
生活習慣の改善は高血圧管理の基本であり、多くの患者において薬剤治療を回避または遅延させる可能性があります。しかし、血圧が高いままの場合や合併症がある場合には、医師の判断に基づいて薬剤治療が必要となります。患者ごとの状況に応じた個別の治療計画を立てることが重要です。