月面着陸への第一歩 サターン1ロケット 目で見るロケット図鑑
※どうしても「目で見るロケット図鑑」を書きたくなったので、書きます。
今日は、アメリカで月への道のりを短くした「サターン1ロケット」について説明していきます。サターン1ロケットがなければ、その後に控えるアポロ計画も順調に遂行できなかったかもしれません。
<データ>
・打ち上げ国:アメリカ
・運用開始:1961年
・運用終了:1965年
・全長:55m
<歴史・構造>
今日紹介するのは月への一歩を踏み出したロケット「サターン1ロケット」です。いくつかポイントに分けて紹介していきます。
①エンジンをクラスター化
サターン1ロケットでは、エンジンを複数組み合わせて打ち上げる「クラスター」方式を採用しています。アメリカのロケットで本格的なクラスター式ロケットが開発されたのは、サターン1型ロケットが初めてではないかと思われます。
具体的に言うと、ジュピターロケットなどで使用されたH-1エンジンを8基束ねたエンジンが使用されました。クラスター化することで、ロケットの持つ力、つまり宇宙へ物を運ぶ力(これを推力という)が強くなります。また、新たに推力の強いエンジンを開発するよりも開発費用や時間を抑えて作ることができます。おそらくアポロ計画で先を急いでいたのかもしれません。
②既存の技術を再活用
エンジンをクラスター化させたように、燃料タンクも既存の技術を使用しました。サターン1ロケットのタンクの構成は、真ん中にジュピターミサイル・ロケットで使用された燃料タンクが配置され、その周りを囲むようにレッドストーンミサイル・ロケットで使用されたタンクが取り付けられました。
③段階的な打ち上げ実験
サターン1ロケットの打ち上げは、2つの「Block」に分かれていました。
Block1は、1961年から1963年にかけて4回の打ち上げが行われました。この時は、第一段ロケットのみで上部にはダミーのロケットを搭載。1段目のエンジンを確実に開発させていきました。
続くBlock2は1964年から1965年にかけて全6回にわたり打ち上げを行いました。Block2では、第二段にS-Ⅳロケットと呼ばれるエンジンを搭載し、打ち上げられました。このエンジンも一段目エンジンと同じように既存の技術を活用したものでした。
第二段には、アポロ宇宙船の模型を取り付けて打ち上げました。以下の写真がBlock2で使用された機体ですが、最上部にある避雷針のようなものは、緊急脱出用のロケットの模型だと思われます。
このようにして、アメリカは月面着陸に向けて巨大なロケットの開発をしていきました。この成果がのちの「サターンVロケット」へと繋がっていくことは言うまでもありません。
<参考文献>
・ロケットの科学 谷合稔著 サイエンスアイ新書 p132−135
<写真出典>
NASA Image and Video Library で「Saturn 1」と検索
<参考ページ>