長寿命ロケット 血筋は長く アトラスミサイル・ロケット(summary) 目で見るロケット図鑑
アトラスミサイル・ロケットは、アメリカ初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)として開発され、実戦配備されました。その後、打ち上げ実験に成功しました。しかし、様々な事情から同時期に開発されたミサイルにその役目を受け渡しました。ただ、新たに開発された数種類のアトラスミサイルはロケットへと改造され、アメリカ初の有人宇宙飛行を成功させました。
(写真;wikipedia) アトラスAミサイル
アトラスロケットは今なお人工衛星の打ち上げに使われ、アメリカの主要ロケットとしての務めを果たしています。
この項目では、アトラスミサイル・ロケットの大まかな歴史に触れていきたいと思います。
<名称の由来>
アメリカ空軍で最初に開発された大陸間弾道ミサイル(ICBM)です。ギリシャ神話に登場する巨人「アトラス」が由来とされています。
<歴史>
1957年12月に初の打ち上げ実験に成功。その後、核弾頭を搭載して実戦配備されました。しかし、液体燃料を使用していることが原因で退役を迫られました。
ここで少し本題から外れ、なぜ、「液体燃料」が理由なのか考えてみたいと思います。
ミサイルは一般に、自分たちの領地から敵地に攻撃を仕掛ける兵器です。例えば、敵がミサイルを発射し、領地に着弾した場合や緊急時(何か敵に対して攻撃を仕掛けなければならないとき)にすぐに攻撃する必要(=即効性)が生じてきます。
次にミサイルやロケットの燃料について軽く説明します。大きく分けて、固体燃料と液体燃料の2種類があります。固体燃料のほうが、温度管理や構造が楽です。一方で、一度点火すると止めることができないなどの難点があります。反対に液体燃料は、再着火ができ、細かな軌道の制御が可能です。
しかし、温度管理が非常に難しく、打ち上げの直前まで厳しい管理をしなければいけないのです。なぜでしょうか?液体燃料に使われる液体酸素や液体水素は、沸点(液体が気体に達する温度)が非常に低く(ー250度!!!)温度管理を怠ると、燃料として扱うことができなくなってしまうのです。(いつの間にか気体に。。)
ですから即戦力としてミサイルを配備する場合、厳密な温度管理を必要とする液体燃料ではなく、いつでも簡単に使用できる固体燃料の方が適していると言えます。
話を元に戻すと、液体燃料を使うアトラスミサイルにはその即戦力を認められなかったのです。
その後、アトラスミサイルはNASAの衛星打ち上げ用ロケット・アトラスシリーズとして発展しました。シリーズの血筋は現代にも引き継がれています。
そして1962年には、アメリカ初の有人宇宙飛行をアトラス・マーキュリーロケットで成功させたのです。
ここから先の連載は、アトラスミサイル・ロケットの派生系を中心にみていきます。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。
<さらに写真を見たい方へ>
https://commons.wikimedia.org/wiki/Atlas_(rocket)
<参考になるサイト>
<見学できる場所>
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