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【旧約聖書:10】エジプトのヨセフ③

3日後は、ファラオの誕生日であった。
彼は、宴を催し、投獄されていた家臣たちを呼び戻した。
そして、その二人の家臣はヨセフの予言の通りになった。
しかし、生き残った方の家臣はヨセフのお願いをすっかり忘れてしまっていた。

それから二年後、ファラオは夢を見た。
夢の中で、彼はナイル川のほとりに立っていた。
すると、ナイル川から、肉づきが良くツヤのいい雌牛が7頭やってきて、
草を食べはじめた。
そこに、醜く痩せ衰えた別の雄牛7頭が、雌牛のそばにやってきた。
そして、雄牛たちは雌牛たちを食い殺してしまった。
そこで、ファラオは目が覚めた。
しかし、彼はまた眠りに落ち、夢を見た。
1本の茎に、実りのついた7つの穂がでてきた。
そこに、しおれた7つの穂が現れた。
そして、しおれた7つの穂が、よく実った7つの穂を吞み込んでしまった。
そして、ふたたびファラオは目を覚ました。
朝になって、ファラオは胸騒ぎを抑えきれず、エジプト中の占い師を
呼び寄せた。
しかし、その夢を解き明かせる者はいなかった。
そのとき、あの投獄され生き残った家臣は、自分の夢にまつわる出来事を思い出し、
事の次第をファラオに告白した。
すると、エジプトの王は急いでヨセフを牢獄から連れ出した。
ヨセフは、身づくろいをし、ファラオの前に再びその姿を現した。
ファラオは、ヨセフに尋ねた。
「お前は、夢を解き明かせると聞いたが、それは本当か?」
ヨセフは、答えた。
「私ではありません。
 神がファラオの繁栄を教えてくださるのです。」
エジプトの王は、ヨセフに夢の詳細を話した。
すると、ヨセフはそれを聞いてこう言った。
「それは、神がこれからなさろうとすることをあなたに告げているのです。
 それはこういうことです。
 7頭の雌牛は7年のことで、7つの実りの良い穂も7年のことです。
 醜い雄牛と、しなびた穂も同様に7年のこと。
 これから、エジプトに7年の大豊作が訪れます。
 しかしその後、7年間の大飢饉が起こり、大地は荒れ果てるでしょう。
 その飢饉は大変ひどいものとなります。
 ファラオは、これから豊作の年のあらゆる食糧を全て集め、
 穀物を蓄えさせるべきです。
 これらが、やがて来る大飢饉の備えとなるでしょう。
 そうすれば、この地は滅びることがありません。」

これを聞いて、ファラオはたいそう感心した。
「お前ほど、賢く知恵のある者はいない。
 これからは、お前がこの地を治めるがいい。
 私にはもはや王位のみで充分であろう。
 さぁ、エジプト全土を支配してみせよ。」
そして、エジプトの王は自分の指輪を外し、ヨセフの指にはめ、
亜麻布の服を着せ、首に金の首飾りをかけた。
こうして、彼にエジプトの支配権を彼に譲った。
「これからは、お前の許しなくしては、何もすることができない。」
この時、ヨセフは30歳であり、同時に妻を迎えた。

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