【旧約聖書:8】エサウとヤコブ①
イサクとリベカとの間には双子が産まれた。
最初に出てきた子は、全身が毛でおおわれていたため
”エサウ”と名付けられた。
後から生まれた子は、エサウの踵をつかんでいたため、
”ヤコブ”と呼ばれることになった。
二人は成長し、エサウは狩人となり、ヤコブは穏やかな人間に育った。
イサクは兄のエサウを愛し、リベカは弟のヤコブを愛していた。
ある日、エサウは狩りから帰宅したばかりで疲れ切っていた。
そして、ヤコブが煮ていた煮物を欲しがった。
すると、ヤコブはエサウに「代わりに、長子の権利を譲ってほしい」と言うと、
エサウは、そんなもの何のものであろう…と侮り、自分の権利をヤコブに譲った。
イサクが老人となり、目がよく見えなくなったときのことである。
イサクはエサウを呼び寄せて、こういった。
「息子よ、私は年老いてしまった。もういつ死ぬかわからない。
狩りでしとめた獲物を私のためにささげ、食べさせてほしい。
そうすれば、おまえを祝福しよう。」
その様子をリベカは聞いていた。
そして、リベカはヤコブにこういった。
「父上は、エサウがとった獲物を前にして、そのことで祝福しようと言っている。
よく聞きなさい。
今から、ヤギの群れのところへ行って、最上の子ヤギを私のところへ
連れておいで。
私は、それで美味しい料理をつくってあげましょう。
それを父上に差し出せば、あなたが祝福されるでしょう。」
しかし、ヤコブは母にこう言った。
「私の肌はなめらかで、兄のような毛深い体ではないのです。
すぐに見破られてしまうでしょう。」
リベカはなおもこう言った。
「わたしに従いなさい。子ヤギを連れてくるだけでいいのです。」