【旧約聖書:6】流浪するアブラハム①
ノアの末裔、アブラムの歴史である。
神はアブラムに言った。
「お前は、ここを離れて、わたしの示す土地へ行きなさい。
そうすれば、お前を祝福しよう。」
アブラムはこの言葉に従い、妻サライ、甥のロトとともに、
かの地カナンへ向かい、その地に入った。
神は言った。
「この地をお前に与えることにしよう。」
その後、アブラムは歩みを進め、エジプトへ入った。
そこで、アブラムは妻サライにこう告げた。
「あなたはとても美しい。
そのため、エジプト人は、私を殺して、あなたを奪うだろう。
だから、どうか私の妹だということにして、私の命を守ってほしい。」
その通りにしたところ、サライはエジプトの王宮に召し入れられ、
たくさんの財産を与えられた。
しかし神は、人妻を奪った罪で、エジプトに災いをもたらした。
エジプトの王ファラオはこのことで、その真実を知り、
アブラムにエジプトを去るよう命じた。
エジプトを出て、アブラムたちは、元いた地へと戻ってきた。
今は、アブラム、ロトともに多くの富を所有していた。
しかし、そのため、二人が抱える人々の間に争いが起きはじめ、
共に暮らすのが難しくなりかけていた。
そこで、アブラムはロトにこう言った。
「今後わたしたちの間に争いの起こることのないよう、
この地を離れてはくれまいか。
あなたが、左へ行くというのなら、私は右へ行こう。
あなたが、右へというのなら、私は左へ行こう。」
こうしてロトは、ソドムとゴモラの地、ヨルダンへ向かった。
しかし、ここソドムの地は邪悪極まりない町なのであった。