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【旧約聖書:12】十戒⑥
翌朝、民たちは山の峰の方に上っていった。
「とにかく神が言われたあの場所へ行ってみるのだ。
わたしたちは罪をおかしてしまった。」
そこで、モーセは言った。
「上ってはならない。
今はもう、神はあなたたちと共にいない。
だから、あなたがたは敵に打ち負かされてしまうだろう。
敵の剣によって倒れることとなるだろう。」
しかし、彼らはこの言葉に従わず、山へ上っていった。
モーセは宿営の中から動こうとしなかった。
山地に住んでいたアマレク人とカナン人は下ってきて、
彼らを討ち、追い返した。
レビの子孫であるコラは、ダタンとアビラム、オンと共謀して、
モーセに対立した。
族長250人も彼らと共にあった。
彼らは、モーセとアロンに対し、逆らった。
「あなたたちは分を超えている。
民はみな聖なる者である。
神は皆の中にいる。
それなのに、なぜ、あなたたちは神の集会の上に立つのか?」
モーセはこれを聞いて顔を伏せて、彼らに告げた。
「神は、明日の朝、誰が自分に属する者であるか示される。
その者を引き寄せて、ご自分に近づけられる。
こうしなさい。
コラとその仲間たちよ。
あなたたちは火皿を取り、明日その中に火を入れ、その上に香を盛りなさい。
神がお選びになるその人が聖なる者である。
あなたたちこそが、分を超えているのだ。
何が不足しているというのか。
あなたたちを民から分けて、民に仕える者として神はご自分に近づけなさった。
それなのに、祭司の職まで要求しようとは。
神に逆らっているのはあなたたち自身である。」
モーセは人を遣わして、ダタンとアビラムを呼び寄せようとしたが、
彼らは来ようとしなかった。
「あなたは、われわれを乳と蜜の流れる土地に導きもせず、
財産も与えない。
我々の目をくらまそうとしてもダメだ。
我々はいかない。」
これにモーセは激しい怒りを現した。
次の日、天幕のところで、彼らは火皿を取り、火を入れ、香を盛った。
コラは二人に逆らわせるため、民たちを天幕へ呼んだ。
そこに、神が現れた。
そして、モーセとアロンに言った。
「お前たちはこの民から離れよ。
わたしは彼らを滅ぼし尽くす。」
二人は、ひれ伏しこう述べた。
「神よ、一人の人間の罪への怒りが、民たち全員に下されるのですか?」
神は答えた。
「民に告げよ。
コラとダタンとアビラムの住まいの周辺から離れるようにと。」
モーセは民たちにその旨を告げた。
コラとダタンとアビラムたちとその家族は宿営からでてきて自分たちの天幕の入り口に立った。
モーセは言った。
「私を遣わしたのは神であり、私自身の考えからではないことが
あなたがたにもわかるであろう。
神の行いによって、地がその口を開けて、彼らを呑み込み、
彼らを地の果てに送り込むのなら、それは神を侮った罪だと知らなければならない。」
モーセがそう言い終えるとすぐに、
コラたちの立つ地面が割れ、彼ら家族皆のものが地の奥深くへと呑み込まれた。
生きたまま黄泉の国へ引きずり込まれた者の叫び声が響きわたり、
人々は逃げ惑った。
また、神のところから出づる火が、香を捧げていた250人を焼き尽くした。
神はモーセに告げた。
「アロンの子エルアザルに命じよ。
炎から青銅の火皿を取り出し、火を遠くに撒き散らせと。」
これは、アロンの子孫でない資格のない者が、神の前に進み出ることがないように
するためであった。
その翌日、民たちは、モーセとアロンにこう不平を漏らした。
「あなたたちは神の民を殺した。」
そして、二人に逆らって結集したとき、天幕を雲が覆い、神が姿を現した。
そして、こういった。
「民たちから離れよ。
私はこの者たちを滅ぼし尽くす。」
こうして、この罰によって死んだ者は14700人となった。