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【旧約聖書:10】エジプトのヨセフ②
そのころ、ヨセフはエジプトの王ファラオの家臣に買い取られた。
そして、彼はファラオの側に仕えることとなり、主人は財産の管理をヨセフに委ねた。
ヨセフはその姿、顔立ちも美しく、
ファラオは、彼に全幅の信頼を寄せ、全ての管理を任せていた。
すると、ファラオの妻はヨセフのその姿の美しさに目をつけて、
彼に毎晩誘いをかけるようになった。
ヨセフは、ファラオの信頼関係を損なうことはできない、と
それを拒みつづけていた。
しかし、ある日、ファラオの妻は彼に強引に言い寄った。
ヨセフはなんとかその手をすり抜け、上着だけを残し彼女から逃れた。
すると、妻はファラオにこう告げた。
「私を誘惑してきたのです、私がそれに大声を上げたので、
上着を残し逃げていったのです…」
ファラオはその嘘を真に受け、ヨセフを捕らえ、監獄に入れた。
しかし、監獄長は、彼を気に入り、その運営管理を彼に任せた。
そののち、ファラオの家臣二人が過ちを犯し、投獄され、
ヨセフと同じ監房に入れられた。
すると、二人は同じ夜にそれぞれ夢を見た。
朝になって、ヨセフが彼らのところへ来てみると、
顔色が悪かったため、二人にどうしたのかと尋ねた。
二人は答えた。
夢をみたのだが、何か意味があるようだ…その意味が知りたい、と。
すると、ヨセフは言った。
「その解釈は、私がしてみせましょう、
さぁ、話してください。」
家臣の一人が、彼に話した。
「私の前に1本のぶどうの木があった。
そのぶどうの木には3本のツルがあった。
それは芽を出すと、花を咲かせ、熟したぶどうの実をつけた。
夢の中で私は杯を持っており、そのぶどうを摘んで、
ファラオの杯にその実を搾って入れたのだ。」
それを聞いて、ヨセフはこう言った。
「その夢はこう解釈できます。
3本のツルとは、3日のことです。
3日の内に、ファラオはあなたを呼び出し、元の地位にあなたを戻すでしょう。
あなたがそうなったら、私のことを思い出してください。
私は、投獄されるようなことは何もしていないのです。
ここから出してくれるようにファラオに頼んでください。」
それを聞いていた家臣のもう一人の男は、ヨセフに自分の夢の話をした。
「私の夢では、頭の上に枝編みのかごが3つあった。
一番上のかごには、ファラオに捧げるあらゆる食べものが入っていたが、
鳥が、それを全部食べてしまったのだ。」
それに対し、ヨセフは答えた。
「それはこういう意味です。
3つのかごとは、3日のことです。
3日のうちに、ファラオはあなたを呼び出し、あなたを木に吊るし上げます。
あなたの肉を鳥たちはついばむことになるでしょう。」