【旧約聖書:11】出エジプト記③
当時、モーセは、ミディアンの祭祀、舅イテロの羊飼いをしていた。
ある日彼は、神の山ホレブにやってきた。
するとそこに、神が現れた。
神は茂みの中から、モーセに呼びかけた。
「モーセ、モーセよ!」
そして彼に、こう告げた。
「私は、エジプトにいる私の民の苦しみの叫びを聞いた。
私は、その地から、広く良い土地に彼らを導くためにやってきた。
彼らは、エジプト人により虐げられて苦しんでいる。
彼らのところへ行きなさい。
そして、私の民、イスラエル人たちをエジプトから連れ出すのだ。」
これに対し、モーセはこう答えた。
「いったい、私は何者でしょう。
ファラオに背き、イスラエルの民たちをエジプトから導きだす…とは。」
神は言った。
「この私があなたを遣わすのである。
おまえは、民をエジプトから連れ出して、この山で神に仕える者となるのだ。」
モーセはなおも言った。
「私が遣わされてきた者だと彼らに言ったとき、
その遣わした人の名は何であろうか?と人々は私に聞くでしょう。
それに私は何と答えればよいのでしょうか?」
なおも神は言った。
「私は、『わたしはある』という者である。
おまえは、『わたしはある』という者に遣わされたと答えればよい。
こう言いなさい。
『あなたがたの父祖の神、
アブラハム、イサク、ヤコブらの神である…』と。
『その神があなたがたのところに私を遣わしたのだ』と。
イスラエルの長老たちにいいなさい。
『私は、エジプトであなたがたがされていることを見ていた。
そして、その苦しみから解放し、豊かな土地へと導くのである…』と。
おまえは、ファラオのもとへ行き、こう言うのだ。
『イスラエルの神が私たちの下に来てくださいました。
今どうか、荒れ野の道を下る時間をください。
私たちは、我らの神に生贄をささげに行きたいのです。』と。
しかし、エジプトの王はお前たちを易々と行かせることはないであろう、
であるから、私はエジプトにあらゆる手立てを打つ。
すれば、お前たちを行かせるであろう。」
モーセはそれに対し神にこう告げた。
「しかし、彼らは私の声に耳を傾けないでしょう。」
神は言った。
「お前が手に持っているものは何か?」
彼は答えた。
「杖です。」
神は言った。
「それを地に投げよ。」
モーセはそうした。
すると、杖はヘビになった。
神はなおも言った。
「手を伸ばして、その尾をつかめ。」
そうすると、それは杖に戻った。
神はまた言った。
「手を懐に入れよ。」
彼はそうした。
すると、彼の手は何かに冒されて、雪のようになった。
神はさらに言った。
「再び、手を懐に入れよ。」
すると、彼の手はふたたび元通りになった。
「たとえ、彼らがお前のことを信じずに、
このふたつの印にさえも従わないとするなら、
ナイル川の水を汲んで、地面に注ぎなさい。
それは、乾いた地面の上で血となるであろう…。」
すると、モーセは自分の饒舌ではない身を案じ、遣いの者を同伴させてくれるよう乞いた。
神は、モーセの兄アロンが雄弁であろうと告げ、彼の口から自分が語るべきことを伝えると言った。