【旧約聖書:11】出エジプト記⑥
神は、モーセに言った。
「アロンに言え。
『あなたの杖を伸ばして、地の塵を打て。
そうすれば、その塵はブヨとなり、エジプト全土を埋め尽くす。』と。」
アロンはその通りのことをした。
ブヨは、エジプト中の人や家畜に付いて回り、人々を困らせた。
しかし、ファラオはいまだ頑なだった。
神はモーセに言った。
「明日の朝早く、ファラオの前に進み出てこう言え。
『私の民を去らせよ。
去らせないなら、あなたとあなたの家臣と民の家々にアブの大群を送り込む。全ての家がアブの群れで満ちるであろう。』と。
しかし、私は、その日、わが民が留まる地、ゴシェンにだけアブを取り除こう。そのことで、私が神であることを知るであろう。
これが、私の民とそれ以外の印である。」
その通りになった。
アブの群れがエジプト全土を覆いつくし、地を荒れ果てさせた。
ファラオは二人を呼び寄せて、言った。
「さぁ、この国の中において、生贄をささげよ。」
モーセは答えた。
「それは相応しくありません。
私たちは、神の仰る通り、荒れ野を3日彷徨い、
生贄をささげなければなりません。」
ファラオはこう言い放った。
「では、お前たちを去らせよう。しかし、決して遠くへ行ってはならない。
私のために祈ってくれ。」
モーセは答えた。
「今、私はあなたたちの下から去ります。
明日、アブはあなたがたから離れるでしょう。
ただ、また私たちを欺くことがありませんように。」
モーセは祈り、その言葉通りのことが起こった。
しかし、王は心を変えモーセの言う通りになった。
神はなおもこういった。
「ファラオにこう伝えよ。
『民を去らせなければ、
野にいる全ての家畜、馬、ロバ、駱駝、牛、羊の上に、
重い疫病が起こるであろう。
しかし、イスラエルの民の家畜からは一切それは起こらない。
私は、それを明日行う。』と」
翌日、言葉通りのことが起こった。
それでも、ファラオは頷くことはなかった。
神は、モーセとアロンに言った。
「お前たちは、かまどの煤を両手いっぱいに取りなさい。
そして、それを天に向けて撒き散らせ。
それは、エジプト全土にわたって、埃となり、
人や家畜について、膿を出す腫れ物となるであろう。」
二人はその通りにした。
そして、その通りのことが起こった。
しかし、それでもなおファラオは聞き入れなかった。