【旧約聖書:12】十戒④
翌日、モーセは再び山へ入っていった。
そして、民の罪を告白して赦しを乞いた。
神は言った。
「私の前に罪ある者は皆誰であれ、私の書物から名を消し去る。
しかし、今は私が告げた場所に民を導け。
私が報いる日に、彼らの上にその罪の報いをしよう。
民たちを伴い、この地を上り、私が誓った土地へ行け。
乳と蜜の流れる地にお前たちを行かせよう。」
その後も、モーセは宿営から離れたところに天幕を張り、
そこで神と言葉を交わすようにした。
神はモーセに言った。
「前のものと同じような石の板を二枚切り取れ。
私は、そこにあの言葉を記す。
朝までに準備し、シナイ山に上り、その頂で私を待ちなさい。」
モーセはその通りにし、神は雲の中から降り立った。
そして、こう告げた。
「我は、あわれみ深く、情け深い神、怒るのに遅く、恵みにとても富み、
恵みを千代まで保ち、咎と背きと罪を赦す。
しかし、罰すべき者は必ず罰して、父の咎を子に、さらに子の子に、
三代、四代に報いる者である。」
モーセは答えた。
「あぁ、神よ。
もし私の心に沿ってくださるのならば、
どうかあなたが私たちの中にただあり、お進みくださりますように。
確かに、人々は強情で信心深い民ではありません。
しかし、どうか私たちの咎と罪を赦し、私たちをあなたの所有としてくださることを。」
神はそれにこういった。
「今ここで、私は契約を結ぼう。
私は民のみながいるところでこれを行う。
これはかつてどの地にあっても起こらなかった恐れるべきことである。
そこにお前たちは私のわざを見るだろう。
私が命じることを守れ。」
モーセは言葉を書き記し、山を下りた。
そして、人々にこれを伝えた。
民は、神に対して、激しく繰り返し不満を述べた。
神は、これに怒り、この怒りの火が宿営を吹きわたった。
すると、人々はより一層泣き叫び、祈った。
彼らは、パン以外のものが手に入らないことに不満を募らせていた。
エジプトで食していた、スイカやキュウリ、ニラ、玉ねぎ、にんにく、肉。
今ではすべてが手に入らないことに絶望して泣いた。
そのたびに、神の怒りは燃え上がった。
モーセにはこれが辛いことであった。
そして、神にこう言った。
「なぜ、あなたはこんなに人々を苦しめるのでしょうか。
なぜこの民たちにこんな重荷を背負わせるのでしょうか。
なぜ、あなたが誓った豊かな地に連れていけとおっしゃるのでしょうか。
もう、私ひとりでこの民全体を支えることはできません。
どうか私をこんな悲惨な目に遭わせるのなら、いっそ殺してください。」
神は答えた。
「イスラエルの長老たちを連れてきなさい。
民の司となる者70人を私のために、天幕に集めよ。
私は彼らの下へ降りていき、お前の上にある霊の一部を彼らの上に置こう。
そうすれば、おまえ一人がなにもかも背負うことはなくなろう。
私は言う。
おまえたちはこれからは肉をずっと食べられるようになろう。
吐き気を催すほど嫌というくらいになるまで。
おまえたちの神を蔑ろにして、エジプトが懐かしいと言うのなら。」
モーセはこれに反論したものの、長老たちを天幕に呼び寄せた。
すると、長老たちは預言をした。
がしかし、それきりだった。
一方で、宿営に残っていた長老エルダデとメダデも預言をするようになった。
しかも、それはその時だけではなかった。