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【旧約聖書:14】ダヴィデとゴリアテ①

預言者サムエルという者がいた。
サムエルは神の言葉に従い、サウルという少年を王に立てた。
しかし、王サウルは神の言葉に従わなかったため王位から外された。
神はサムエルに言った。
「新たな王がベツレヘム人エッサイのところに現れる。
 その子を王とせよ。」
サムエルはエッサイのところへ行き、羊飼いをしていた末っ子のダヴィデを認めた。
ダヴィデは澄んだ美しい目をもった、姿の整った少年だった。
サムエルは彼に油を注ぎ、神の霊がダヴィデの上に現れた。

その頃、サウルは神の霊が自分から離れたことにおびえていた。
彼の家来たちは、竪琴の音がサウルの心を穏やかにしてくれることを願い、
竪琴の名手を探し、ダヴィデにたどり着いた。
そして、ダヴィデはサウルの下に仕えるようになり、彼の大のお気に入りとなった。
その頃、ペリシテ人が軍を率いてイスラエルに攻め込んできた。
サウル王は、敵を迎え撃つべく、身構えた。
ペリシテ人の敵の中にひときわ目立つ大男がいた。
その名をゴリアテという。
青銅の鎧を身にまとい、際立って力の強い男であった。
ゴリアテはイスラエルの軍に向かってこう言い放った。
「俺と戦って殺すことができるなら、俺たちはお前たちの奴隷となろう。
 しかし、俺が勝ってお前たちを殺したのなら、お前らは俺たちの奴隷となる。誰かひとり俺と勝負しようではないか。」

エッサイの息子たち、つまり、ダヴィデの兄たちはペリシテ人との戦に駆り出されていた。
エッサイはダヴィデに兄たちの安否確認をするため戦地へ向かわせた。
ダヴィデが、戦場にて兄たちの無事を確認しているとき、
そこにゴリアテが姿を現した。
そこで、ダヴィデはサウル王に告げた。
「私があのゴリアテという大男と戦いましょう。」と。
しかし、サウル王は言った。
「お前はまだ若い、適うはずがなかろう。」
それに、ダヴィデはこう答えた。
「私は羊飼いをしています。
 羊の群れを野獣から救い出すために、それらを打ち殺してきました。
 ライオンでも熊でも戦ってきたのです。
 ならば、このゴリアテというペリシテ人からも救い出して見せましょう。」
それを聞いてサウルは言った。
「ならば、行け。
 神がお前とともにあるように」
サウルはダヴィデに鎧をつけさせ、剣を持たせた。
しかし、ダヴィデはこれを脱ぎ、自分の杖とつややかな石を袋に入れ、
石投げ器を手にし、ゴリアテに向かい立った。
ゴリアテは、ダヴィデを一目みて彼をバカにした。
まだ年の若く姿の美しい少年だったからである。
ゴリアテはダヴィデに言った。
「さぁ、来い。お前の肉を獣たちに食べさせてあげようじゃないか。」
ダヴィデは答えた。
「お前は、剣と槍で私に向かって来ようが、私は神とともに
 おまえに立ち向かおう。
 今日、神はお前を私の手に渡すだろう。
 私はお前を殺してお前の屍を獣たちに食らわせよう。
 おまえたちは私たちの手に渡されるだろう。」
そのとき、ゴリアテはダヴィデに向かって突進してきた。
ダヴィデはすぐさま、持っていた袋の中から石を掴んで、
石投げ器でゴリアテの額めがけて石を投げ撃った。
すると、石は額に食い込み、ゴリアテは突っ伏した。
ダヴィデは剣を使うことなく、ゴリアテに勝利したのである。
そして、ゴリアテの体の上に足を乗せると、剣で彼の首を斬り落とした。
その光景を見ていたペリシテ軍は逃げ出し、
イスラエル人たちは立ち上がって歓声を上げた。
そして、ダヴィデはゴリアテの首をエルサレムへ持ち帰った。
その後、ダヴィデはサウルの命に基づき、各地の戦地へ赴き、
いくつもの勝利を収めた。

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