【生産者さん紹介】「田んぼから新しい価値を生み出そう」。愛媛県・田力本願の新たな挑戦
みかん王国愛媛県。その南西部にある西予市は東西約70km、海抜0m〜1400mまで多様な地形を擁し、本州の旨いものならなんでもそろう一次産品の総合デパートです。
なかでも宇和町は標高250mの高原性の盆地で2000年以上の歴史をもつ米どころとして少しだけ知られています。100年先もコメ農家が続けられる環境を作るために何ができるのか?4人の農家は地元のお米をブランド化して全国に発信し、ファンを増やす取り組みを始めることにしました。
田んぼの土づくりにはみかんジュースの搾り粕を発酵させた「みかんボカシ」を用い、化学肥料や農薬の使用量を必要最低限に抑えたオリジナルブランドの「田力米」(たりきまい)は国内最大規模の食味コンクールで数々の賞をいただき品質の高さを証明されています。
今回は、田力本願株式会社の中野聡さんに、お米づくりのこだわりやPocket Ownersでオーナーの皆さんとやってみたいことついてお話を伺いました。
田力本願とは?
みなさん、はじめまして。田力本願株式会社の中野と申します。田力は「田んぼに力」と書きます。田んぼの「田」と「力」を組み合わせると「男」という漢字になりますよね。田力本願は、「田んぼで力を発揮するのが男だ」というコンセプトで、地元の専業農家4人で立ち上げました。地元愛媛のおいしいお米を全国に知ってもらうため、ブランド化に取り組んでいます。
田力本願のお米はどのような特徴があるのでしょうか?
田力米は、みかんジュースの搾りかすを肥料に使っています。「愛媛といえばみかん」なんでけれども、「みかんだけじゃないぞ!」ということで、お米も知ってもらいたいと思っています。
ただ、やはり愛媛のみかんというイメージは大切にしたいなと思い、地元で採れるみかんジュースの搾りかすのほか、産業廃棄物で捨てられていた、米ぬかでなどを使って発酵させ、田んぼの土づくりに使っています。できるだけ化学肥料や農薬を使わずに育てたお米が田力米というブランドになります。現在、田力米の中には、コシヒカリ、にこまる、ミルキークイーン、松山三井、ひめの凛という5種類の品種があり、この5本立てで全国に展開をしています。
Pocket Ownersでオーナーを募集している「ひめの凛」はどのようなお米ですか?
ひめの凛は愛媛県のオリジナルの品種で、まだ3年目の品種です。愛媛県の研究院の方が16年という長い歳月をかけて育ててこられた品種になります。一番の特徴はやはり大粒で甘みが強いということですね。
愛媛県の公式キャッチフレーズは「冷めてもおいしい、ひめの凛」になっていますが、実は冷めてからの方が、ひめの凛の独特の香りがあって、どちらかというと上品な女性的な、お花の香りに近いような、とても良い香りがあり、冷めてからすごく際立っていきます。ですから、公式は「冷めても美味しい」なんですけども、私たちは「冷めたら美味しい」とご案内をしています。
実は、冷めるとデンプンの質が食物繊維に近くなるという研究成果もあるんです。腸内環境を良くする働きもありますので、炊き立ての温かい状態でも美味しいのですが、冷めた状態で食べることも試していただきたく、お弁当やおにぎりなどで使って頂ければと思っています。
お米づくりで大切にしていることを教えてください
お米は毎日食べるものなのですが、毎日食べるお米がやっぱり美味しいと日々のテンションが上がるといいますか、そういう経験が私たち生産者にもありまして。日々の食卓が、家庭が明るくなるような、質の良いお米を安定的に届けていくというのが私たち農家の、田んぼの力を発揮する男たちの務めかなと思っています。
シェアオーナー制度に取り組んでみようと思ったきっかけを教えてください
私たちは愛媛県で生産をしていますが、お客さんは首都圏や関東圏の方が多かったりするんですね。実際その方たちと面と向かってお会いする機会も少ないですし、作り手と食べ手の方の距離感を、いかに近づけるかということが、私たちのこれからの取り組みに必要かなと以前から思っていました。
しかし作るのが専門な私たちは、その溝をどう埋めるかのノウハウも技術的なことも全く持っていなかったんですね。そんな中、Pocket Ownersのお話をいただきました。いいきっかけだなと、前々から思っていましたこともあり、ぜひにということで今回始めました。
また愛媛に限らずなのですが、日本各地で掘り出し物のような美味しいお米の産地も結構あり、その中の1つとしてまず愛媛のお米を知っていただきたいことも理由の一つです。
愛媛はみかんが美味しいと言うのは、自然が豊かだというベースがあるからこそで成り立つものであって、その一つがみかんであったり、お米でだったりするんですけども。実はこれをきっかけに地元のもっと美味しいもの...海岸の魚やお野菜もありますし、畜産も盛んな場所ですし、これを機会に地元のもっとおいしいものを知ってもらいたいと考えています。オーナー制度をきっかけに、愛媛の西予市のいろんな産品を知っていただくきっかけになればと思っています。
オーナーの皆さんとやってみたいことはありますか?
田力本願の4人のメンバーは、みんなバーベキューのインストラクターの資格を持っているんです。「愛媛はお米に限らずいろんなおいしいものがありますよ」とご紹介しましたが、ぜひ、美味しい新米と一緒にバーベキューで皆さんと楽しく盛り上がって食べたいなと思っていますので、ぜひご期待いただきたいなと思います。ごはんの進むお肉だったりお魚料理だったり、やっぱりお酒も進みますし、うちのメンバーもみんなお酒大好きですので、一緒にわいわいと楽しい時間を過ごせたらと考えています。
お酒といえば、私たちは田力本願米を使ったお酒も作っているんです。私たちの会社のテーマの一つに「田んぼから新しい価値を生み出そう」というのがありまして、その一つが自分達で作ったお米を使ったお酒という形になっています。米農家の一つの夢として、自分たちが育てたお米でおいしい日本酒を作ってわいわい飲みたいっていうのがありましてですね、そのひとつが形になりました。
田力米の中に「松山三井」という、すごくマイナーなお米がありまして。地元の酒蔵に田力米の松山三井を持ち込んで、男のイメージに合うお酒にしてくださいというお願いをして作っていただいたのが田力米の純米大吟醸酒になります。これは寿司や海の牡蠣(オイスター)にもよく合うということで、松山のオイスターバーに置いていただいたりしまして、毎年味は少しずつ変化するんですけれども、愛媛を代表するお酒になってほしいなという風に思っています。
オーナーの皆さんと一緒に作ってみたい商品やプロジェクトなどはありますか?
いろいろ作りたいものはありますが、日本酒の酒かすを使ったお漬物、粕漬けがもう間もなく商品になりそうです。お米に限らず米・麦・大豆が田んぼで作られますが、愛媛県は味噌でも麦味噌という甘めの味噌が有名なんですね。ですから味噌はもちろん、米を米粉にして、せんべいやパンみたいなものでもいいでしょうし...あと、商品が「男の粉(おとこのこ)」って言う名前が決まってはいるんですが、自社だけではなくて地元ですでに商売されている方とコラボして、最終製品まで私たちが関わって、何か面白いことができないかなといろいろ模索しているところです。
私たちは、日々お客さんに届けるお米を精米して出荷することが多いんですけど、その際に出る米ぬかを何かうまく使えないかなと考えています。「お米が白い」と書いて「粕(かす)」と読むのですが、1番栄養素がある部分なんですよね。
発酵に直結するような良い部分を、もったいなくしているなと思うので、ぬか床でもでもいいでしょうし、化粧品みたいな使い方もできるのかなと思ってますが、どうしても自社だと限界がありますし、アイディアもあまりないものですから、このオーナー制度の中で発展できるようなことがあれば面白いと思っています。
今後の目標・展望について教えてください
「愛媛県の美味しいお米が常に安定的にありますよ」ということを知っていただくために、食味コンクールに続けて出品もしています。金賞をいただいたりもするので、このようなチャレンジをずっと続けていくことが一つです。
また商品開発もさらに広げていきたいのですが、もうひとつ大きなテーマが地元の田んぼという生産のインフラを次の世代に引き継いでいくことです。私たちは40~50の世代なんですけれども、この世代が担っていると思っていますので、若い世代にお米を育てる農業を魅力的だなと思ってもらいたいですし、実際に一緒に研修という形で実際に農業に触れてもらって、地元の農業を引き継いでもらうような...バトンを渡すような役割ですね、そういうものをやっていきたいなと考えています。
オーナー検討中の方にメッセージをお願いします
愛媛に「お米」って全然イメージが湧かないと思うんですけれども、「みかんだけじゃないぞ!愛媛!」というところを全力で今、全国にPRしているところでございます。意外にもこんな美味しいお米があるんだと、きっと思ってもらえると思いますのでぜひシェアオーナー制度を使って愛媛の「ひめの凛」という、新しいおいしいお米の魅力をぜひ体験していただきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いします。
田力本願について
愛媛県西予市の米どころ宇和町で、愛媛県産みかんジュースの絞り粕を肥料化し、米作りに活かして生まれた「田力米」。田んぼの力を引き出し地域循環型米作りを実践する会社です。安心で美味しい米づくりを目指して、地産
地消を合言葉に、様々な農業への挑戦をしています!
◆ 田力本願のシェアオーナーのお申し込みはこちらから ◆
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