【2人声劇】俺のお宝、私の財宝
タイトル:俺のお宝、私の財宝
キャラ:
バレット・ホークス
狙った獲物は逃がさない凄腕ガンマンのトレジャーハンター
ルーン・グレイス
憧れのトレジャーハンターが認めるホークスを慕う若いトレジャーハンター
関連作品:【4人声劇】私のお宝、俺の財宝
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バレット:腰に下げた俺の相棒、ブラックホーク
俺はこいつで狙った獲物を必ず撃ち抜く、神出鬼没のトレジャーハンター…バレット・ホークス
…の、はずだった
バレット:「嬢ちゃん、このエウネロパの金色像は俺が目ぇつけてたお宝だぜ…
一足遅かったんだ、うちへ帰んな」
ルーン「そうはいかない…私がミッションをしくじることなどありえないのだから」
バレット:「やれやれ…誰なんだ?お前は」
ルーン:「私はララ…世界最高のトレジャーハンターだ」
バレット:「…あ?ふざけてんじゃねえ
その名前は…って、あら?像がねえ!」
ルーン:「この宝は私がもらう
さようなら、名も無いトレジャーハンターさん』
バレット:「待てっ!!…ってあぁ、行っちまったなぁ、意気揚々と
…俺が用意した偽物持ってっちゃったよ」
バレット:ララ…時に奪い合い、時に協力し合った、腐れ縁のトレジャーハンター
今は、国家公認のトレジャーハンターとなって財宝を保護する側になっちまったかつての悪友だ
いつもふざけてて癪に障る奴だったが、その技術も知識も、そして仕事に対するプロとしてのこだわりも…その全てを俺は評価していた
だが、それは…
バレット:「あんたじゃねえ」
ルーン:「あなたはっ…!?
ごほん…また君か?どうしてここがわかった」
バレット:「そらあんたがお粗末だったからさ…いいアジトじゃないの?
こないだ俺から奪ってったパチモンの像は飾ってないのかい?」
ルーン:「黙れ…!私がお粗末だと?
私はララ・エスタニア…世界最高の…」
バレット:「やめときな…その名前は、あんたにゃ荷が重いぜ、お嬢ちゃん
ララの名前を騙って撃ち殺されたくはないだろ?」
ルーン:「やれるものなら…って、えっ!?その銃…!?まさかあなた…!?
バレット・ホークス!?」
バレット:「…あ?」
ルーン:「バレット・ホークスと言えば、ララ・エスタニアが親しくしていたという数少ないトレジャーハンターの一人…!この業界では名を知らない者なんかいないほどの超々有名人ですよ!!
スケーム・ルーガ製のブラックホークですけど…細部に色んな改造が施されてますよね…!
この距離でも私わかります!めちゃくちゃ調べたんで!!」
バレット:「な、なんなんだ?てめえ…」
ルーン:「ファンです!ララさんの!」
バレット:「ララのファン?」
ルーン:「はい!バレットさんにもいつかいつか会えればって心から願ってました!感涙です!!
…最近ララさんってあのテオ・ラグナスティンに勧誘されて、国家公認トレジャーハンターになっちゃったって言うじゃないですか…!!
悲しかったぁ…私の理想とするララさんはもういない…ならば私がララさんに!!
私こそが世界最高のトレジャーハンター、ララ・エスタニアになろうと!!」
バレット:「本人と全然違うじゃねえか」
ルーン:「会ったことが無いので…妄想で…えへへ
あ、私、ルーン・グレイスといいます!」
バレット:「はぁ…こんなアホの相手をしてたのか俺は…今後は馬鹿な真似はやめろ…こないだの像は記念にやるよ、じゃあな~」
ルーン:「あ、あの!?待ってください!それなら私を弟子にしてください!」
バレット:「はぁ!?やだよ!なんでそんなことしなきゃならねえ!」
ルーン:「お願いします!ぜひとも!ぜひともぉ!バレット・ホークスはトレジャーハンターたちの憧れですし…!ララさんの生(なま)の情報を知る数少ない方なんです!ここでみすみす逃せません…!」
バレット:「だ~!くっつくなよ!邪魔くせえな!
俺は子守をする気はねえんだよ!」
ルーン:「お願いします~!!」
バレット:「わかったわかった!ただし条件がある!」
ルーン:「はい!なんでしょうか!」
バレット:「メリットだ…俺は今までも相棒はブラックホークだけだし…これからもその予定だった
だから、お前を俺の近くに置いておくメリットを示せ!いいな!」
ルーン:「わかりました!では…連絡先を教えて…」
バレット:「馬鹿野郎、トレジャーハンターなら調べて探せ」
ルーン:そのとき私は思ったのです
今までの私が積み重ねてきた知識や技術はこの瞬間のためにあったんだって
そして、私なんてまだまだ未熟だと気づかされるのはそこから約1年後…
ホークスさんに会えるのは2年後のことでした
ルーン:「ホークスさぁぁぁぁん!」
バレット:「おわっ!?びっくりした!何!?誰!?」
ルーン:「忘れたんですか!?私です!!
2年前に弟子にしてくれるって約束したじゃないですか!」
バレット:「あぁ!あの時のララのに偽物女か!言ってねえよそんなこと!」
ルーン:「チっ!勢いで行けるかなって思ったのに…
メリットです…私を近くに置いてもいいって言うメリットを持ってきたんです!」
バレット:「2年かけてほんとに隠れ家見つけ出すとは…お前のこと舐めてたぜ…
まぁいいや…それで、何を持ってきたんだ?話くらいは聞いてやるよ」
ルーン:「やった!見てください!これです!この写真に写ってるもの…ご存知ですか?」
バレット:「竜の鱗…だよな?有名なソルド遺跡壁画だ」
ルーン:「はい、ソルド王朝は竜を飼育していたと様々な文献に残っています」
バレット:「各国の権力者達は竜の素材を求め、中でも美しく輝く鱗を奪い合った…だが、ソルドはその圧倒的な軍事力で竜を独占し、素材を他国には漏らさなかった」
ルーン:「結局は、度重なる内乱によって国は崩壊…その際に行方が消えてしまった竜に関する素材…もちろん鱗も現在に至るまで見つかっていません!
その鱗に関する情報を見つけてきたんです!この資料を見て下さい!」
バレット:「へぇ…予想よりずっと面白そうな情報を持ってきたな…」
バレット:実際、この隠れ家を見つけ出した時点でもう優秀だと言える
資料も適当に作った物ではなさそうだ…
ルーン:「見つけましょう!私たち二人で!ね!ね!?」
バレット:「あぁもうわかったよ!わかったからくっつくな!」
ルーン:ついに私はやったのです!
しかも!今回のターゲットである竜の鱗は、ソルドがあった地に隠された遺跡にあることまで掴んでいました!
しかもバレットさんもついていて鬼に金棒!簡単なお仕事!…の、はずでした
ルーン:「うぎゃあああああ!!」
バレット;「そっちに行くな!!死ぬぞ!!」
ルーン:「無理です!こっち行かなくても死にます!」
バレット:「クソっしょうがねえな!」
ルーン:遺跡には調べ切れていなかった罠がわんさかあったのでした
バレット:「はぁ…やっぱりな…」
ルーン:「やっぱりって…どういうことですか…?」
バレット:「アドラダ騎士団だよ」
ルーン:「アドラダ騎士団…もう無くなっちゃったアドラダ教の巡礼者達を護衛してた組織ですよね?」
バレット:「「騎士団っつっても名ばかりだ
裕福な信者に支えられ、潤沢な資金を元手に莫大な資産を生み出した商人集団だよ」
ルーン:「ベルダン教の台頭で、解散に追い込まれていったと聞いていますが…
その騎士団が何なんです?それがソルドと何の関係が…?」
バレット:「2年経っても詰めが甘いな…ソルド王朝の王族達が秘密裏にアドラダ教の中枢とずぶずぶにつながってたってのは歴史の流れから見ても固い論説だ
裕福な信者はソルドの為政者だったと仮定して…お前、アドラダ騎士団の最盛期と言われているのはいつか知ってるか?」
ルーン:「ソルド王朝滅亡からの50年くらいですよね…あれ?
バレットさんの仮説が正しいとすれば最大のパトロンがいなくなった後に最盛期が来るのはおかしいですね…」
バレット:「アドラダ騎士団はソルドの資産を火事場泥棒でまるっと盗んだんだ
その中には当然竜の素材が含まれてる
ソルドから武力提供も受けてたであろう騎士団員が資産を隠した要塞…それが遺跡の正体だ
ベルダン教徒がアドラダ騎士団の資産を探しても見つけられないわけだぜ
お前も…もう少し柔軟に予測を立てて…」
ルーン:「…バレットさん」
バレット:「あん?なんだよ話してるだろ」
ルーン:「すいません…でも…あれ…!?」
バレット:「あぁ…?なるほど…これは予測できなかったな…」
ルーン:そのとき、私の視界に広がっていたのはボロボロの甲冑に身を包んだ動く骸骨の群れだったのです
ルーン:「ががががが…骸骨ががが…う、動いてますよぉ…!!?」
バレット:「あ~動いてるなぁ、俺らも動いた方がいいぜ…走れ!!」
ルーン:「はい!うわ!向こうも走ってきました!剣とか持ってますよ!」
バレット:「見りゃわかる!なんだってんだあいつら!」
ルーン:「騎士団は名ばかりじゃなかったんです…!
財宝を守ってるんですよ!!」
バレット:「はっ、やっぱり宗教家って奴はいつの時代もきな臭いんだな!」
ルーン:「今からでもアドラダ教の神様に祈れば助けてくれますかね!!」
バレット:「勘弁してくれ…俺は神には祈らねえ!
あそこだっ!あの部屋に入るぞ!」
ルーン:「はい!…よし!扉閉めます!!…はぁ…はぁ…はぁ…助かった…」
バレット:「くっそ…オカルトは専門外だっての…ん?おい、ルーン」
ルーン:「なんです?…ホークスさん、これって…」
バレット:「ソルド文字だ…ってことはソルド人の文献じゃないか…?これだけでも考古学的な価値は計り知れないが…何が書いてあんだかさっぱりだな」
ルーン:「見せてください…これは…日記みたいですね
刀匠…いや、解釈的には武器職人みたいな感じかな…
日常生活の様子と一緒に、加工技術とかそういうことに関する記述があるみたいです」
バレット:「驚いたな…ソルド文字って言ったら、最難関の古代文字だぜ?
俺だって少ししかわからねえのに…ん?おい、ここの記述って…もしかして…」
ルーン:「え?どこですか?…まさか…これって…竜の鱗の保管庫への行き方ですよ!」
バレット:「よくやったぜルーン!大手柄だ!
ソルドの職人は内乱のごたごたで国を捨ててアドラダ騎士団と一緒にこの要塞を作ったんだ…資産の持ち出しの手引きもしたんだろ!どうだ!」
ルーン:「はい!その仮説で間違いないようです!罠の解除方法も記載があります!
これがあれば…!」
バレット:「竜の鱗は俺たちのもんだ!」
ルーン:ついに手に入れた財宝のありかにつながる資料をもとに、私たちは遺跡の地下に下りました
そしてそこに待っていたのは…
バレット:「これが竜の鱗の正体か…!」
ルーン:「…これって…何なんでしょうか?」
バレット:「こいつははるか昔に掘りつくされたソルディライト鉱石だ…文献にも残ってる王朝の強さを支え続けた金属だよ
加工がしやすく、頑丈なのに軽い…大量にあれば現代の機械産業を大きく躍進させる夢の素材だ…!
ほとんど現存してなくて、博物館ものの代物がこんなに…」
ルーン:「薄い楕円に加工して保存していたんですね
だから竜の鱗と呼ばれていた…こんな大量の金属どうやって持ち帰りましょうか?」
バレット:「いや、こんなあぶねえもん持って帰んねえよ」
ルーン:「うぇ!?何でですか!?」
バレット:「あぁ…さっき言ったろ?機械産業…つまりは兵器産業がひっくり返る代物だ
…お宝ってのはな、ただ価値があるもんじゃなきゃいけねんだよ」
ルーン:「どういうことです…?」
バレット:「その日記だって…昔はただの日記だったんだ…でもな、こうやって地面の下に1000年も埋めときゃお宝になる…価値が生まれるんだ」
ルーン:「竜の鱗だってそうですよ!当時から価値があって、今の価値は計り知れません!」
バレット:「こいつが世界にばら撒かれれば、多くの命を奪うぜ?
これから生まれるかもしれない“価値”の源泉たる人の命をだ…そんなこと俺は望んでねえ
俺が欲しいのは“お宝”だけさ」
ルーン:これがトレジャーハンタ“バレット・ホークス”なんだ
私は盲目的にララ・エスタニアに憧れ、ララが認めるホークスさんに憧れた
彼らに追いつくためには…肩を並べるために…私はララの名を騙った
彼らに気づいてもらうために、その名に恥じぬトレジャーハンターになるために…でも、私は何もわかっていなかった
彼らを調べ、ホークスさんと行動し、一番彼らに詳しいのは自分だと…何でも知っているんだと…そう考えた浅はかな自分がなんて恥ずかしいのだろう
私はルーン・グレイス…真に彼らと肩を並べるために目指すべきす心構えを私は理解できた気がした
バレット:「無事、帰れそうでよかったな
骸骨が出てきたときはマジで死ぬかと思ったぜ」
ルーン:「そうですね…手に入った物はこの文献だけですけど…すごくためになる冒険でした!竜の鱗に関するページは破っちゃいましたけど…ソルド人の日記としてすごく価値のある品だと思います!
ちょっと残念でしたけどね、竜の鱗」
バレット:「ま、俺らが持って帰ったもんで作られた武器で俺らが殺されたりなんてことにはなりたくねえからなぁ
…俺の銃を作る分だけありゃあいい」
ルーン:「え?ああああああ!!それっ!!竜の鱗ぉ!!」
バレット:「トレジャーハンターは騙しあいだ、覚えとけ…俺の弟子を名乗るならな」
ルーン:「ずるいです!私にも分けてくださ…って…え?…弟子?」
バレット:「おや?もう独り立ちの予定だったか?そりゃあ悪いことをした
こいつでお前の銃も作ってやろうかと思ってたんだが…いらないかぁ
んじゃ、俺の帰り道はあっちだから」
ルーン:「待ってください!なります!なります!弟子なります!ならせて下さい!お願いします!」
ルーン:これからも私の冒険は…いいえ…私たちの冒険は続くのです!
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