【Vol.5】なぜ必要な色が正しく見える照明が使われないのか?
前回は、照明についての話をしました。照明の質は、単に見た目の色が白いかどうかではなく、その成分が大事という内容でした。赤でも黄色でも青でも全ての色を正しく見せるための照明とは、全ての色(の波長)をバランスよく含む光のことです。何度も言いますが、『見た目が白ければ何でも良いわけではありません』
当サロン(系列のサロン)では前回(Vol.4)でお話ししたように、テストカードの判定で確かに、色が正しく見えている環境であることを確認した環境であると言えます(さらに分光分布も専用の器具で測ってもらってもいます)。この使用している照明は「標準光(本来の色を正しくみせる標準の光)」と今後呼んでいきます。
ここまでのお話をお聞きくださった方なら、色が見える原理として最も基本の光の質は、とても重要だと色の専門家でなくても理解してくださったのではないかと思います。では、その標準光はなぜ全国で使われないのでしょうか?プロのアナリストはこの「色が正しく見える照明の下で」パーソナルカラー診断を行わないのでしょうか?その理由を3つに分けてお話しします。
その1 自分なら照明に関係なく診断できるという勘違い
一つ目に考えられるのは、「自分は大丈夫」という思い込みです。適切な光の知識はあっても、自分の目なら影響を受けないと思っている考え方です。例えば「黄色っぽい照明の場所なら、黄色みを少し引いて考えれば良い」「私は何千、何万人も見てきたから自信がある」「目が順応するから慣れてくればちゃんと診断ができる」という考え。総じて言えば勉強不足に他なりません。
そもそもの話ですが、世の中には「色評価用照明」というものが存在します。それは、色を厳密に見分ける場所においては、この光で分析をしましょうという(我々が使う標準光のことですが)照明です。そして、その照明は印刷、デザイン、映像、コスメの研究開発をはじめ、正しい色の判定を行う場所では当然として使われているものです。他の業界では、専門職であればあるほど徹底して管理されるのが照明なのですが、パーソナルカラー業界では全くと言っていいほど整備されていません。上記のように、関係ないと明らかに勘違いしているからです。
色評価用照明の存在意義が、「人間は照明に影響されず、常に正しい判断が下せるわけではない」ということを証明しているのです。さらに「順応するから関係ない」という考え方も大きな誤解です。「色が正しく見えない照明に順応する」ことは、悪条件であることに馴染み過ぎてその自覚すらなくなってしまった(言い方が良くないのですが、目がバカになった)状態という意味です。順応とはどんな場所に行っても、目が調整されて常に正しい色の見分けができるという便利機能では決してないのですが、そのように思われているケースも多いようです。
その2 具体的に照明環境の対策の仕方がわからない
次に、照明の重要性は知っているけど、その環境をどのように用意したら良いかわからない、という理由も考えられます。分光分布の理屈はわかっているけど、ではどの照明を購入したら良いかがわからないというケースです。基本的に、パーソナルカラーはスクールに通い、ある程度実績を積んだプロのアナリストから指導を受けて学びますので、それは指導を受けた先生から教えてもらうべきことと考えます。そもそも先生はどうしているんだろうか?という話ですね。先生が「その1」や「その3」の方ならば、せっかくご自身で勉強されたアナリストも途方に暮れてしまい、照明の対策ができないまま泣く泣く診断を行うしかなくなります。
では、どうすれば?まずこれからアナリストになる方は、その点をスクール選びの基準に入れて検討してください。それ以外にありません。〇〇タイプだから、人気だから、地元だから、だけで選ぶと後悔するかもしれません。照明に関する教育と、サロンの照明管理のサポートをしてくれるかどうかを聞くことです。その時に、照明なんて気にしなくてよいとさえ言われるかもしれませんが。
また、現役のアナリストやスクールの卒業生の皆様に向けては、当スクールでその対策をレクチャーしています。ただ情報を伝えるだけでなく、誰でも使えるオリジナル照明設備(実用新案取得)も購入いただけます(もちろん強制ではなく任意)。セッティングの方法(角度や距離や方向など)まで細かくアドバイスをしている全国でも類をみないスクールだと思います。照明対策にお困りの方にはぜひご相談ください(実技部分の講習を受けない方はオンラインでも受講可能です)。https://www.excolor-cc.com/colorschool
その3 そもそも照明の重要性について習っていないから知らない
最後は、そもそもそんなこと知らなかったというケース。致命的なことなのですが、それはアナリスト自身が悪いのではなく、スクールで教えてもらっていないことが根本の原因。そもそもそういう発想がない方から学ぶと、当然知らないままに育ってしまいます。他の業界なら、先輩から入社した時にまず教わることなのですが。
つまり、知らなかった方々はこれを読んだら、驚いているはずです。実際にアナリストの方々が、このような照明の講義を受けたときに、ゾッとするような表情を浮かべていたという話を聞いたことがあります。ゾッとするというのは、今まで自分がそんな状態で診断をしていたなんて…という意味のゾッとするです。正しい環境でもし診断をしていたら…ということも十分あり得るからです。だからこそ、私たちはお客様だけでなく、アナリストの方々、これから勉強する方々に向けてもこの情報を発信しています。
色が見える原理は3つと前に書きました。パーソナルカラー診断が正しくできるかどうか?は照明だけが要因ではありませんので、照明管理が正しければ100%と言っているわけではありません。ただ、100%の診断を目指そうとするプロのアナリストならば、照明という要素は決して蔑ろにしないということです。私の周りにいる何千人、何万人という実績を持つ方が、そこを徹底しているのです。そこを軽視できる理由がありません。色と光の関係は、最も基本となるところで、もっと深く学ばれるべきところですが、上記の通り、スクールが、先生が理解していない教えられないことがその発端にあります。それだけ触れずにスルーされてきたブラックボックスのようなものなのだと思います。
まとめ:同じ色が見えていないのに、サロンの結果が同じになるわけがない
長くなりましたが、ここまでの結論を言えば、使っている照明がバラバラ、しかも正しい色が見える照明を使っているところは殆どない、それが現状。同じ色が見えていない、正しい色が見えていないのに、正しい診断ができるわけがないと思いませんか?サロンによって違う結果が出ても何の疑問もないということです。同じ人を別のサロンで別のアナリストが診断をしたときに、アナリストの感性や分類方法以前の初歩的な問題で、「同じ色が見えていない」のですから。
長くなりそうなので、今日はここまで。ご質問がある場合は、ぜひいつでもお知らせくださいませ。当スクールは、シンプルに専門職として、理解を深め道を極めたい方を大歓迎しています。
次回は、照明とは別の観点から、パーソナルカラー診断の信頼性について話していきます。