BUMP OF CHICKEN知らない人いる?
バンプオブチキン(以下バンプ)。僕が初めて音楽にハマったきっかけのバンド。
今の中高生にはバンプがどう見えているんだろう?
アニソンやゲーソンに強いバンド?
きっと僕が中学生だったころとは全く違う感じ方だと思う。
このバンドはここ10年で劇的に変化したから。
厚かましいけれど、昔話をさせてほしい。
それと、僕の知る数々の名曲も紹介したい。
バンプといえば?
バンプで皆が一番初めに思い浮かべる曲はなんだろう。
きっと多くの人は、『天体観測』と答えると思う。
そのくらい、今の20代30代にとって明確なキャッチコピー的な定番曲だった。
カラオケでは誰かが必ず歌っていたし、バンプを知らない人でもこの曲だけは知っていた。
天体観測という題材を使って、人生や恋愛を表現している歌詞。
「”イマ”というほうき星」というフレーズが忘れられない。
メロディーもキャッチーでイントロがかっこよくて、午前2時の情景が目に浮かぶ。
ボーカルの藤原基央(通称:藤くん)の才能が歌詞にもメロディーにも溢れ出ていた。
当時は中学生ながらにバンプの音楽性の高さ、今まで聴いたことのない演奏のかっこよさと藤くんの描く世界観に惹きつけられて、当時のアルバムを全部借りて、暗記して歌えるくらいにリピートしまくっていた。
音楽性について
バンプの凄さはなんといっても情景描写の精密さだと思う。
『車輪の唄』では自転車を2人乗りしている気分になれるし、線路沿いの電車を追いかける映像が鮮明に想像できる。「君だけのドアが開く」や「何万歩より距離のある一歩」といった詞で恋人との最後の別れの重さ、切なさがこみあげる。
『スノースマイル』では”雪の絨毯”という見事な表現で新雪に足跡をつける様子を描いたり、『まだ乾いたままの空のカーテン』で冬が来てないことを表している。結局、雪の絨毯に”君”と足音をつけることは叶わない夢だった、という切ない物語。
この2作品に共通するのが恋人と別れてしまう直前の情景を表しているということ。線路と雪景色。
それを”自転車の車輪の悲鳴”、”雪の絨毯”といった言葉で表現するところが藤くんの非凡なセンスだと思う。どうやったらその言葉に辿り着けるのか。彼の人生に興味がわく。
この2曲が収録されている『ユグドラシル』というアルバムは個人的に一番の傑作。ほかにもギルド、ロストマンなど絶対バンプにしか作れないような楽曲が詰まっている。知らない人も1度でいいから是非聴いてみてほしい。
BUMP OF CHICKENの転機
そんなメッセージ性、独自の世界性が強いバンプだったが、ある時から方向性が変わり始めた。一番の転機は初音ミクとコラボした『RAY』からだろう。
今までは藤くんの描く唯一無二の世界観がまずあって、そこに演奏が乗っているイメージだった。つまり、音で魅せるというよりは歌詞を最大限に引き立てる演奏。でも、RAYはEDMを取り入れた電子音のインパクトがすごく、テクノボイスも使っていて、最初聴いたときはまったく違うバンドかと思ったほどだ。PVだって初音ミクがバンプと一緒の映像に出てる衝撃と違和感がすごくて、見てはいけないものを見てる気分にさえなった。
「なんで?こんな流行りに乗らなくてもバンプにしか出せない音楽があったじゃん。どうしてこんなに変わってしまったの?」
正直な気持ちだった。もうそこに僕の好きだったバンプはいなかった。
そこから5年、バンプは数多くのドラマ、アニメやゲームのタイアップをしてきた。Mステなどの音楽番組にも多く出演するようになった。以前は、テレビ出演も皆無といっていいほどなく、タイアップ曲も少なかったから、この変化には本当にびっくりした。
「アニメやドラマに寄せて歌詞やメロディーを作るなんてバンプらしくない。テレビに出ないでミステリアスな部分を残してほしかった。」
そんな気持ちばかり浮かんだ。
バンプが変わった理由
そう、バンプオブチキンは確かに変わった。
でもそれは時代の流れを汲み取って、新しいものへの挑戦をしたということでもあった。
以前のバンプのままでずっと音楽を作り続けることよりも、時代とともに変わり続けてより多くの人に届けようとしたのだと思う。
とても大きな決断だったに違いない。
そしてもう一つ気づいたことがある。
それは僕自身が変わっていなかったということ。
バンプはチャレンジすることを選んだ。
それなのに僕は以前のバンプばかり見ようとしている。
違う、人間だって一生同じままではいられない。
何かを乗り越えるためには変わるタイミングが必要だし、時代によって変わらざるを得ない時もある。
バンプは”昔の言葉”ではなく”今この瞬間”の言葉で音楽を伝えたいのだと思う。
だから僕もバンプと共に変わることに決めた。RAYから続く3つのアルバムをこれからしっかり聴こうと思う。昔と”比較”してではなく、初めて耳にするバンドとして。
バンプとのこれから
それでも、昔のBUMP OF CHICKENを忘れることはできない。
だから、昔の曲もたくさん聴く。勇気をもらったり、その世界観に浸り込む。
そして現在の”第二”のバンプオブチキンの世界も知る。
怖いけどワクワクする、そんな気持ちだ。
これからどんなバンドになっていくのか楽しみで仕方がない。
見せてください、「臆病者の一撃」を。