人間は数学というものを本能的に理解しにくい生き物だと思っている。
突然ですが、モンティーホール問題というものをご存知でしょうか?
そのモンティーホール問題を説明する前に、この人をご存知だろうか?
IQ228でギネスブックにも掲載されている、世界で最も頭のいい女性。
それがこの、マリリン・ボス・サバント氏。
ちなみにIQ228とはスタンフォード・ビネー検査によるものとされています。
バナナフィッシュという作品でのアッシュ・リンクスはIQ200。
宇宙猿人ゴリが300というのがあるがこれはお話の世界です(笑)。
ちなみにIQ200と言うのは、8歳の子供が16歳の思考力、考え方ができるというのを表しています。
IQ検査は大人にやっても意味がないと言われていますが、まあ、世界で最も頭のいい女性だったことは恐らく間違いないだろう。
そんなマリリンを有名にしたのが『パレード』という雑誌のワンコーナー
「マリリンに聞いてみよう」というコラムでした。
ここでは、天才のマリリンにいろんな質問をして、それに答えるという内容で、神はいるのですか?とか、人生相談、ありとあらゆるパズルなどが送られてきてそれにマリリンが答えるという人気コーナーだった。
その中で、モンティ・ホール問題と言うものがあった。
モンティ・ホール問題とは、テレビ番組『Let's make a deal』という番組で、司会者のモンティ・ホールがやっていたコーナー。挑戦者の前に3つのドアがある。1つには高級車があって、残りの2つはヤギがはいっている(ここで言うヤギっていうのはハズレと言う意味、恐らく東京フレンドパークのタワシのようなものの扱い)。
挑戦者はどれかひとつを選択して、選ばれなかった2つのうちのひとつを司会者のモンティ・ホールが開けるとヤギが入っている(これは絶対)
そこで、モンティ・ホールが挑戦者に、今選んだドアをチェンジしますか?と聞く。
この場合選択肢を変えたほうがいいのか?それとも、最初に選んだ選択肢のままのほうがいいのか?マリリンさんどうすればという質問が届いたのだが、マリリンは即答で「それは変えた方がいい」と答えた。
これが当時のアメリカの数学界で大ブーイングに・・・
2分の1の確率は変わらないマリリンの意見をどれくらいの論文で覆すことができるだろう女に数学、統計学なんて分かりっこないという差別発言まであったそうです・・・
そこでマリリンは反論として、ドアが3枚じゃなくて100枚なら、100万枚ならどうなんだと・・・
そこで、マリリン否定派の数学者が、モンテカルロ法というプログラミングで実際に試してみた所、マリリンの説が正しいと実証されました。
考えてみれば当たり前。最初に選んだ扉を選んだ場合 当たる確率は3分の1。
でも選択を変えた場合、残ったハズレが無くなるのだから、当たる確率は3分の2になります。
こんな単純なことが当時のアメリカの数学者達はわかりませんでした。ようは直感で感じたことと、論理的に突き詰めた答えが違うことはよくあるということ。
人間は、映像のイメージが強くて、数字のイメージが本能的には理解できない生き物ではないかと言われています。
違う例を出しますと、昭和40年代後半から50年代、日本のゴールデンタイムでは超能力を取り上げる番組が度々放送されていました。
そこで、スプーン曲げができるようにパワーを送りますとか、壊れた時計をテレビに近づけてください、すると動くようになりますよ何ていう、ショー的な物を生放送で放送していたそうです。
その中で、ある回では、テレビの前の視聴者にサイコロを6個用意してもらって、スタジオから電波を通じてパワーを送ります。そのパワーを受け取ってサイコロを一辺に降ると、面白い結果になります。面白い結果になった、下に表示されている電話番号に電話をください。
的なことをやったそうです。
すると、スタジオ内にスタンバイされていた電話受付のお姉さんたち50人の電話が一斉になりました。
これを見た視聴者は、凄いことが今起こっていると大興奮・・・
でも、これちょっと考えてみてください。
当時、こういうスペシャル番組は、平気で視聴率25%から30%を取っていました。
日本の世帯が当時3000万世帯として、その25%の750万世帯の人が見ていたとしましょう。
そして、サイコロまで用意していたのがその10%としたら75万のサンプルがあります。
サイコロが6個全てゾロ目になる確率は(1/6)の6乗分です。
ちなみに確率でいうと0.00214%。
これに75万を掛けると16.05。
ピンゾロですら16世帯の可能性があるわけです。
1のゾロ目だけでなく2から6のゾロ目まで含めるとこの6倍。
いや、1から6すべて1つずつ出る確率になると、1.5%と普通にありえる確率になります。
50台の電話が一斉に鳴るという絵はヤラセでなくても簡単に作ることが出来ることはご理解いただけたでしょうか?
人間は、感覚で数学、特に確率というものを理解できない生き物かもしれないというお話でした。