歯に衣着せぬレトリックと全方位的レトリック
このnoteの続きです。
私もこの件についてツイートでいろいろ触れていたら、滝沢やすこ先生という江戸川区議会議員の方から個別にコメントを頂戴しました。まずは御礼を申し上げます。
公人の公式アカウントですので問題はないと判断し、画像をアップロードさせていただきます(不都合があればすぐ削除いたします。ツイッターのDMを常時開放していますのでいつでもおっしゃってください)。
https://twitter.com/ut_examer/status/1656321062144192512
書き口について興味深く感じました。
もちろん政治家の方ですから、特定の有権者が傷つくような言い回しはしませんし、それでいてポジティブに推奨できる部分はおしていく、これは歯に衣着せぬスタンスのたちばなさん(元のツイ主)とは異なるレトリックです。
まず、話題となったのは簿記2級、FP2級、宅建の3つの資格について列挙されていましたが、滝沢先生は宅建を中心に言及しています。簿記2級、FP2級は単独で就職に直結できるものではなく、他の営業や事務の経歴と掛け合わせて活用する性質だからです(だからこそツイ主は数年の空白が埋められないと主張しているのです)。
しかし、宅建に限っては、人手不足の不動産業があれば未経験で入り込める可能性がありうるという差があります。宅建保有者は多数いますし、司法試験のような超難関資格でもありませんので、給与所得者としての営業やデスクワークの経験がない人だと志望者の中で相対的に厳しいのも事実ですが、他2つよりは希望があるのでそこに注目をされたのだと思います。私も政治家や公人の立場で全方面に配慮しつつ何らかの反応・反論をしなければならない場合は、こう書いたでしょう。
ただ、昨日のnote(上記リンク先)にも書いたように、宅建が数年のキャリア、ここでは正社員5年と換算して約10000時間の経験が埋められてしまうとするならば、今度は汗水たらして10000時間働いてきた給与所得者の日々の労働や努力があまりに軽く扱われやしないか?という考えもあります。こちらも有権者でありますし。
そして、ここが非常にレトリックを感じたのですが、「(そもそも空白なんですか?)」という文言は上手です。
ツイ主の職業でもあり、同時に今回の話題の対象となる風俗従事者の方への配慮も忘れていないわけです。私の日頃のツイートをご覧になればわかるように、批判・偏見・差別は一切持っておらず、フラットな視点を有していますし夜職のFFも多数おります。私個人も風俗従事者の期間を空白などと考えたことはありません。
それはさておき、ここでいう空白とは何でしょうか。簿記2級、FP2級、宅建ですから、給与所得者的な労働、もっと言えばデスクワーク、営業廻りのような、一般の方がイメージしやすい勤め人像をツイッターの短文で省略をしたのかなと考えます。
上記2つの内容を私なりに考えて省略を【】で補足してみました。
「キャリアの空白が心配な風俗嬢が簿記二級やFP二級や宅建を勉強しようとするのをよく見かけますが、数ヶ月の勉強で取れる資格で数年【、正社員5年と仮定して2000時間×5年=約10000時間】の【給与労働者における】キャリアの空白を埋めることは不可能です」
先のnoteに書いたように、私個人としては100時間~200時間の勉強で取れるこれらの資格が、数年の勤め人のキャリアを埋めるとは到底思わない、ある意味数年の勤め人の実績を軽視しているのではないか?というスタンスですので意見は異なります。しかし、全体を見通し、バランスの取れた滝沢先生のご意見に、歯に衣着せぬたちばなさんとは系統の異なる、優れたレトリックと感性を受け取れたので一本のnoteにしてみました。
※タイトルの画像は言語学の修辞法で有名なソシュールです。