2020年の新入社員の記録 ー新入社員を受け入れる上司の視点からー
●今回のテーマは「2020年の新入社員の記録 ー新入社員を受け入れる上司の視点からー」
2020年は世界の人々が、今までに経験のない事態に直面しました。
当たり前の日常が突然のように断ち切られ、就業環境が激変する中で、エクサの新入社員がどんな体験を経て成長を実現しているのか。
新入社員を受け入れる「上司の視点」から2020年を振り返ってみます。
そこには、激動の1年だったからこそ、企業の持つ文化が表れているはずです。
今回ご紹介する加藤俊弘(かとうとしひろ)は1994年の入社。
2020年1月から9人ほどのメンバーをマネジメントする室長の役割を担って、チームをスタートさせた矢先に、激変の波はやってきました。
●新しい部署がスタートした2020年
——加藤さんのお仕事と部署について教えてください
私は入社以来、ずっと製造業に関連するシステムに、ITアーキテクトとして関わってきました。
製鉄業や精密機械の企業をお客様に、さまざまな課題に対して自分が深めた専門的な技術で貢献するという仕事でした。
2015年からは大手製鉄業のJFEグループをITでサポートする事業部に入って、2019年にはチームリーダーを経験しました。年齢的には、ベテランと言われるようになって初めて「人に成長してもらうにはどうしたらいいか」という課題と向き合う経験をしたわけです。
2020年1月に事業部の中に「データサイエンス推進室」という部署ができて、その室長になりました。メンバーは現在9名です。JFEの製鉄所の中にあるセンサーで記録されたデータをもとに、先進的なIT技術を利用して操業や品質についての課題を解決しようというチームです。
チームの中には常に幾つかのプロジェクトが進んでいます。
私はその全体を見て、他のチームと調整したり、メンバーに育ってもらうためのサポートをする役目です。
——2020年に部署がスタートすると、リモート環境になってしまいますね
やはり最初は戸惑いました。
ただ、私たちのようなITの仕事は、他の業種に比べて、日常の業務をリモートに移行させること自体はそれほど難しくないと感じます。
もともと決められた期間、品質、コストでプロジェクトを進めて、成果物を出すことが仕事の基本になっています。
リモートになるずっと以前から、常に必要な作業を洗い出して、一人ひとりに業務をシェアして、それをマネージャーがケアすることで進捗を管理する、という手法や文化がありました。
それがリモート環境に移ったとしても、業務自体を進めることはできるわけです。
——それでは、問題はなかったのでしょうか?
私は心配性なので、問題はたくさんありました(笑)。
日常業務は問題なく進められるとしても、同じ場所で仕事をする場合に比べて圧倒的にコミュニケーション量が減ってしまったように感じました。
メンバーのうち半数は自立したベテランたちなので、情報共有にあまり心配はなかったのですが、半数は20歳代の若者たちなので、皆とのコミュニケーション量を維持するためにはどうすればいいのかを考えました。
若い人は経験が少ないので自分で解決ができないことが多いはずです。
近くにいればすぐ声をかけることができるのですが、リモート環境でも、メンバー全員が自分の意見や気持ちを気軽に、自由に言えるような場所と雰囲気を作っていくことが大切になりますす。
●新入社員を迎えて
——新入社員の育成には課題がありましたか?
私のチームには8月に一名が配属になりました。
リモートでしたので、どんな気持ちなのか、困っていないか、と心配でした。
エクサでは、新入社員にはチームの先輩が1名、専属のチューターに任命されて日頃から相談に乗るという制度になっています。
通常では、異なったプロジェクトの先輩をチューターにする場合もあるのですが、今回は同じプロジェクトを進める若手の先輩社員にチューターになってもらって、毎日一緒に仕事を進めてもらうことにしました。
日常的なコミュニケーションはチューターに任せて、上司である私とは、日報や週報で連絡をもらうことと、月に何回かデータサイエンス室全体でミーティングを行う際に話しています。また年に3回、目標管理のための個別面談を行いますので、その際に直接話を聞きました。
——新入社員の様子はどうですか?
この数ヶ月間、本人も楽しそうに笑顔で話してくれていて、とても安心しています。
チューターとも良好なコミュニケーションをとってくれています。
チューター自身も新人を指導することで成長しています。
また、お客様からも前向きに取り組んでいるという評価をいただいています。
やはり、たとえリモートであっても、お客様と接することは大きな刺激になるのだと思います。
キャリアのスタートはとても大切ですので、新人時代にいい体験をしてもらえるようにサポートしたいと考えています。
——エクサの社員にとってリモートの問題点は何でしょうか?
リモート環境が続いていることで、改めて何気ないコミュニケーションの楽しさや、チームで仕事を進める楽しさに気がつきました。
私自身、仕事の中で先輩やお客様から色々な話を聞いて、刺激を受けながら新しい技術と出会うことができました。そうして少しずつ成長することができたと感じています。
エクサの仕事にとってコミュニケーションは、単に業務を円滑にこなすためだけのものではありません。
ITの世界では、自分で考えて、行動して、専門性を高めていくことがとても大切です。
周囲と楽しくコミュニケーションすることから多くのことを学ぶことができますし、そうして初めて、自立したシステムエンジニアに成長していけます。
リモート環境の中であっても、皆が新しい出会いや、体験や、学びを実現できるような場を作っていくことが、エクサにとってとても重要なことだと考えています。