あいうえおnote【き】
器用、不器用
先日、母とLINEで思い出話をたくさんした。
「名札をつけるのに1時間頑張ったよね」
小学1年生の頃、次の日に着る洋服に名札をつけるのに苦労した。安全ピンをうまく刺せずに曲がったり、背中側の布まで留めてしまったりして、結局1時間、私は畳の上で名札と格闘していた。
「あと逆上がりも」
クラスの大半の子ができる逆上がりを、私はなかなかできるようにならなかった。週末はいつも公園へ行き、年下の友達と一緒に練習した。タオルを腰に巻いて鉄棒に結んでみたり、補助台を使ってみたり。手にまめができるくらい、何度も、何度も。
「そう考えると、お姉ちゃんは結構要領がいいけど、恵美は努力という才能をもっているよね」
優しいお母さんはそう言ってくれた。「頑張り屋」「努力家」。嬉しいことに、周囲からもそう評されることが多い。
だけど本当は、ちょっと違う。
本当は、みんなよりも頑張らないと人に追いつけないだけ。一生懸命頑張って頑張って、不器用な私はやっとみんなと同じラインに立てている。
こんな自分に落ち込むことも多々あるけれど、今はそれを悲観しているわけじゃない。母にはこう返信した。
「私の本当の才能は、努力というより『人に愛されること』かもしれない」
どこに行っても、人に恵まれているのを感じる。たくさんの人が私を愛して、支えて、優しくしてくれる。ちょっぴりおこがましい考えかもしれないけど。
落ち込んだら慰めてくれる友達がいるし、道に迷ったら一緒に考えて、出口を探してくれる友達がいる。旅行に行けばお土産を買いたいと思える友達がいるし、離れていても会いたくなる友達がいる。友達だけじゃなく、大好きな家族も、尊敬できる先輩もたくさん。
そんな優しい人達が助けてくれているお陰で、こんな不器用な私でもここまで生きてこれたのは疑いようもない事実だ。
きっとこれは、私の数少ない自慢できることの一つ。
お母さんとのLINEで、あらためて周りに感謝しないといけないなあって思った。そして私も、みんなにもらった愛を返していきたい。相変わらず不器用だから時間がかかるかもしれないけれど。
感じたこの気持ちを、ありがとうの心を、忘れないように。これからも不器用なりにまっすぐ、生きていこうと思います。
*おまけ*
お母さんとのLINE。優しくて大好きな自慢のお母さんです。