令和の大相撲。
思えば令和に入ってすぐの7月の名古屋場所で朝乃山が優勝した辺りから、幕内下位や十両力士たちの切磋琢磨感が本割の土俵に強く表に出てきた気がする。「俺たち次第でチャンスはある。」という感じが土俵上の関取たちから強く感じられる。勝負への当事者感というか。
「横綱がいないと場所が締らない」というお仕着せの常套句に同調して気が抜けた気分で観ていたアタシも、あの朝乃山の優勝以降、横綱がいなければいないで何が起こるかわからない未知数にワクワクすることに目覚めたような気がする。あの頃から横綱のいない場所は「いつもは横綱に勝てない関取が優勝する場所」ではなく「実力が伴えば関取のそれぞれが普段できない経験をするのを目撃できる場所」になったし、関取たちもそれにあらためて気付いたような。
15日という日数は偶然で優勝まで持っていけるような日数ではないから優勝する関取は間違いなくその場所一番強い。普段優勝から遠い関取が優勝に絡む日々は、観ているアタシたち以上にその本人にとって、神世の世界を垣間見ると言っても過言ではない稀有な経験を体感する日々となっているに違いなく、それを経験した者としない者の差はすぐに大きな差となっていく。
横綱がいない場所をチャンスと見て優勝を競い合うことが己の相撲人生のその後にどれほど意義があるかということを、昨夏の朝乃山の優勝とその後の朝乃山の存在感の変化を目の当たりにした関取たちは実感しているのだとも感じる。
横綱が弱くなったことでの世代交代ということについてはアタシはちょっと違うと感じていて、故障との折り合いがついて体調が良ければ、勝負を決めるまでに多少時間のかかる相撲が多くなってきたとはいえやっぱり白鵬はまだ圧倒的に強い。横綱もまだまだ強くその他の関取たちにも実力が充満していてそれを同時に見ることの出来る幸せな時代が今相撲界に到来していてアタシたちはそれを目撃しているんだと。
令和の大相撲、俄然面白くなって来た〜✨
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