2025年 三本の柱

旧年中は大変お世話になりました。
三木田です。

常磐大学野球部監督を任せていただき3年目を迎えます。

2024年の振り返りとしては、秋リーグ戦後にXに書いた内容が全てのため、
ここでは多く書かずに今年の意気込みの方を厚めに書きたいと思います。


昨年の4年生は、主将の小関、学生コーチの石塚が中心となりチームをまとめ上げてくれ、目標こそ達成できませんでしたが、野球部の土台を築き上げてくれました。

春は4勝5敗の同率5位、秋は3勝6敗の7位と、一昨年秋の10位(最下位)から大きな進歩となり、上位大学と互角に戦える要素も見えてきました。

新チームも新たな幹部陣の組織体制を整えながら、まずは春リーグ勝ち越しという目標に向けて良いスタートが切れています。

ここでは今年の私の目標=指導にあたる際に1年間持ち続けたい考え方の柱を大きく3つ宣言させていただきます。

①育成して勝つのではなく、勝って育成する


こちら↑は、昨年読んだ栗山英樹氏の著書『監督の財産』に書かれていた表現です。

ファイターズは育成が重視されており、年によっては「勝利<育成」と捉えられているかもしれないが、実際はそんなことはないと。

以下著書から引用。

 優勝よりも育成が優先される年なんてあるわけがない。もし、3年後に優勝しようと思ってやっているチームがあったら、そこは絶対に3年後も勝てない。野球はそんなに甘いものじゃない。
 (中略)「育成」という言葉を、優勝できないことの言い訳、逃げ道に使ってはいけない。それをやっているうちは、チームは絶対に強くならない。

監督の財産より

まさにこの言葉の通りだと思います。

そして「育成してから勝つのではなく、大事な試合で勝つため全力を尽くした成功体験/失敗体験が大きな成長のきっかけになる = 勝ちながら育成する」といった考え方をされていました。

本学も前チームで試合に長く出ていた選手はほぼ引退し、現チームはリーグ戦経験の浅い選手ばかりです。
経験の浅い下級生もその多くが新戦力としてグラウンドに立つことになると思います。

その中でどれだけ勝利から逃げずに全力の準備ができるか、本気で勝利を信じられるか。
ここを問われる1年になるので、決して育成至上主義に走らないように。

一方で勝利至上主義に走りすぎて、特定の選手だけを練習させる・試合に出すことで下級生の育成も疎かにしないように。

勝利も育成もどちらも取りに行く。
勝利の先に育成があると信じて走り抜けたいと思います。

②種まかずして収穫なし


この年末年始を使って、新入生も含めた全部員と個人面談を実施中です。

その中で正直「モチベが落ちてきていまっている」「野球を心より楽しめていない」と訴える選手も少なからずいます。
彼らの共通項として浮かび上がるのは「解像度の高い目標が持てていない」ことです。

目標がないわけではなく、目標がぼやけているといった感じです。
「チームに貢献したい」「リーグ戦に出たい」「やり切りたい」という目標を持っていても、達成している絵が描かなければなかなかそこに向かって頑張り切れないと思います。

「いつまでに」「どういう形で」達成したいのかの締切感・解像度・具体性が高まれば高まるほど、今の自分とのギャップが明確になり、そのために日々やるべきタスク(練習)が決まり、振り返りもできる。

つまりは学生のうちに、この部活動という経験を通して、PDCA能力を身につけてほしい。
それが習得できれば必ず社会人になってからも役に立つはずです。

種まかずして収穫なし。

これは自分が大学時代に言い聞かせていた言葉で、収穫(成果)を得るためには、事前の種まき(目標や計画)が必須となります。

・まずは目標の解像度を高める。達成の期日を決める。
→努力の方向性が定まる
→日々のやるべき練習が明確になる
→振り返りや次のアクションが見つかる
→自然と練習が楽しくなる
→目標の達成可能性が高まる
→次の目標が見つかる

このサイクルを習得するサポートができればと思います。

目標設定能力と書くと難しく感じますが、言い換えれば「妄想力」。
自分の周りにいた優秀な選手たちは総じてこの「妄想力」に秀でていました。

③「強い」組織になるために「強そうな」組織を作る


「強いチーム」を作るのは全指導者の目標ですが、チーム強化という方程式には変数が多すぎてそんな簡単な話ではありません。

ですが「強そうなチーム」は作れるはずです。

つまり、まずは形から入ること。
見た目を強そうにすること。

これは部員たちの意識1つで少しずつ変化を生み出せると思います。

具体的には、
「ユニフォームの着こなし」
「道具の整理整頓」
「全力疾走」
「返事・礼」
などは「頑張り続けるのが大変だし面倒だけど、本気で頑張ろうと思えば誰でもできること」です。

そして、本当の強いチームはこれらがチームの文化として、歴史として染みついており、自然と誰もが実践できています。

球場入りしたときの道具の揃え方、円陣での全員の立ち姿、アップまで向かう走る姿、礼の統一感、アップでの全力疾走、シートノックでの声出し、強いチームはこれらが「強そう」であり、弱者はここで圧倒されます。だからこそ強いのだとも言えます。

けど、これらは繰り返しになりますがいくら野球が下手でも全員が全力を尽くせば誰にでもできることです。

形が整うことで中身もついてくる。
つまり「強そうな」チームになることが結果的に「強い」チームになる第一歩となるはずです。

すでに個人面談の中でも、同様の考えを持つ学生が増えてきており、
「アップで集団走を入れたい」、「練習前に5分だけでも環境整備を入れたい」など「強そう」なチームになるための提案が生まれてきています。

「形から入って心に至る」という言葉がある通り、
最初は形(見た目)だけだとしても、長く続けていくうちに、その背景にある本質もだんだんと理解できるようになる
と信じて、「強そうな」チーム作りに励みます。

以上、これら3点を自分の芯として持ちながら、
3年目はとにかく攻めていければと思います。

なんとか本学が良い意味で連盟の勢力図をかき乱すことを祈念して。

皆さま、2025年もよろしくお願いいたします!

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